こんな小説が読みたい
おもしろい小説って何だろう?
まぁ、それに明確な答えが無いことが多くの小説、物語が毎日作られ続けているという証左なんでしょう。
なにかおもしろいものが書けないものかと考えていると、解らなくなってきたりとか。
思い出すためにも昔に自分が、これはおもしろい、と思ったものを読み返してみたり。
そこで改めて気がついたこと。
自分がおもしろいと感じた小説。
友人も知らない。これ、おもしろいよねといった話をすることも無かったり。
ドラマ化してない、アニメ化してない。
知ってる人がまわりにいない。
そういうものをおもしろいと感じる性分だったという。
ヒットして話題になるものの中には、おもしろいと感じるものが少ない性分だったと。
それはウケるの書けないかー?。
先日、ハンバーガー屋でぼんやりしていると近くの席で学生が話をしていました。
アニメの話で盛り上がっていました。
今時の若者の『おもしろい』が解るかと聞き耳を立てていました。
アニメのフェイト/ゼロがおもしろいという話でした。
では、どこが彼らの琴線に触れたのか?
「あれは重いテーマ扱ってるよね」
「いやー? 俺はストーリーとかテーマとかどうでもいい」
え? 物語のストーリーがどうでもいい?
「あれの1番いいところは、おっさんふたりが酒を呑みながらネチネチと女を言葉でいたぶってるところ」
「あー、そんなシーンあったなー」
「話とかテーマなんてどうでもいいんだよ。プライドの高い女がおっさんにボッコボコにされてるシチュエーションが見たいだけだから。ストーリーはその添え物で」
なるほど、そういう楽しみ方というのもあるわけか。
なんかさみしくなりました。
物語になにか求めるというのも感傷でしょうか。
それで今の自分が読みたいものはなにか、というのを考えていると思い出したものがあります。
友人と見に行った演劇、これの小説版、またはコミック版が読んでみたい。
いやこれは今出版されてもウケるんじゃないの?
大の大人が笑って泣けるヒーローもの、をテーマに活動してたTEAM・発砲・B・ZINの作品。
発想とセンスが凄いと思うんですよ。
飛行機事故で亡くなった家族が東京で独り暮らしの息子を心配して、魂が彼のもとにやって来る。
ある日いきなり冷蔵庫が、
「トランスホーム!」
「おかん!?」
家電製品や家具に家族の魂が乗り移ってガションガションと人型に変型するホームコメディ。これでテーマは家族愛。
『トランスホーム・リフォーム』
三十路を過ぎた魔法少女の悪戦苦闘。結婚は? 職業は? これからどうすんの? 旬を過ぎたことを認めたくない、認められないそんな女のマジカルコメディ。
『マジヨ』
(余談ですが、アニメの魔法少女の変身シーンを舞台で再現。友人と見に行った公演ではハプニングで変身シーンが予想外のサービスシーンに。女優さんはなにも無かったように続けてました。流石プロ。公演後のカーテンコールで『今日の変身シーンは忘れて下さい!』と叫んでましたが、この回が見れた人は幸運では無いかと)
「独り寝の、枕を濡らすその夜は、呼んでくだせぇ、テングメン!!」
股間に天狗のお面を着けた忍者が夜の江戸を暗躍する。ほんのり18禁。
『テングメン』
ラストのテングメンと敵のボスとの対決は激しい忍法対決で、テングメンの股間の天狗のお面の鼻と敵のボスの股間の天狗のお面の鼻が、ガッツンガッツンとぶつかり合う爆笑必至の忍者活劇。
もちろんテーマは愛。
男がセーラー服で女が学ランの世界の男女逆転コメディ。
『オス!』
2003年のTS物。本当の男らしさと、本当の女らしさを世に問うた。時代を先取りしてたのかも。
いろいろあるけど、今の時流には合わないのかな? キスで悪を追い詰める、宇宙刑事ジャスキスとか、小説版とかコミック版とかで見てみたいものです。
そんなわけでTEAM・発砲・B・ZINの舞台のノベル版を文庫で希望。
もしくは、あーいうのが今、再び欲しい。
テンポが良くてバカバカしいのにテーマはまじめで中身が熱い。見終わった後にちょっと考えさせられるとこがある。
そういうの。
ここまで書いといて思うのは。
客の注文ってわがままでめんどうですねぇ。ほんとうに。
1読者としての希望でした。
友人が亡くなりました。ソードアートオンラインが大好きな友人でした。彼がおもしろいと思えるような小説を書いて見せようとしてました。
しかし、書き上げることも彼を楽しませることもできませんでした。
彼と一緒に演劇を見に行ったことを思い出して書きました。そんなエッセイもどきです。