それで良いの?
目を開けるとそこには遙の顔が…
「和が起きた!!」とにこにこしている。遙…生きていたのか良かった。ここは…病院っぽいな。
…?そうだ!!要は!?
「要は無事なのか!?」と俺は遙の肩を掴み聞いた。
「うん無事だよ〜ウィズさんが助けてくれたから」と遙はにこにこしている。
「どうしたんだ?そんなに笑って?」と聞くと遙はこう言った。
「だって、二人とも私の事助けようとしてくれたでしょ?それが嬉しくて…」と言い、遙は下を向いた。
…俺は要のように、ウィズのように人を助けられるだけの実行力が欲しい。助けようとしても助けられなければ意味が無いんだ。俺はあの時、自分が犠牲になってでも助けようとはしていなかった。俺は非力だ。俺はやっぱり誰も守ることが…
「和」と呼ばれ、顔を上げた。
「和はさ、これからどうするの?」と遙は、聞いてきた。
「どうするって……今まで通り暮らしていくに決まって…」
「それで良いの?」
…それで良いのかって?良いに決まってる。俺は非力な人間だ。非力な人間は何をやっても無駄なのだ。俺が動かなければ父さんだって…
「大宮 和、力は欲しいか?」と入口から松平先生がやってきた。
「お前の友達の夏目 要は、ウィズと話していたぞ。お前も動かないのか?行動しないのか?それでお前は後悔しないのか?」
…後悔しないわけないじゃないか。力があれば俺だって…
「力が…欲しいです。友達を守るだけの力が!!」俺は松平先生の目を真っ直ぐに見つめて言った。すると松平先生は少し笑い、こう言った。
「とりあえず知識不足だ。図書館で勉強してこい」
…勉強すれば俺は強くなれるのか…?後悔したくない。この人を信じてみよう。もう大事な人を亡くしたくはないから!!
「遙、本探すの手伝ってくれ!!」俺は勢いよく立ち上がった。
「うん。良いよ」今までで1番可愛いのではないかと思えるほど、輝いて見える遙の笑顔だった。
「じゃあ、行ってきます。松平先生」と言うと松平先生はこう言った。
「頑張れよ。大宮 和」
大宮 和の最初の1歩であった。