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文才無くても小説を書くスレ参加作品

夏の定番

文才なくても小説を書くスレで、お題を貰って書きました。 お題:ひやしあめ

「なんだよこれ!」

 そういう叫び声が聞こえた。

 いつもの彼なら、人の家に遊びに来ているとってもそこまでの声は出さなかったはずだが、いかんせんあの衝撃は彼には強すぎたようだ。

「あー、一気に飲んだな?」

「飲んだな? じゃねーよ、悪戯のためにわざわざ仕込んだのかよこれ!?」

「ちげーよ。飲みもんだよ、普通に」

 俺はそう言いながら近づいて、テーブルの上に残っていたビンから茶色の液体を手近なコップに少し注いで、飲み干した。

 甘さの中にピリリとした辛さと、穏やかな香りがした。

「ほら」

「……飲んだの少しだけじゃねーか」

「だから、飲んでもいいけど少しだけにしろって言ったろ?」

「この季節に冷えてる茶色の液体見たら麦茶だと思うだろ! しかも飲んでもいいって……」

「麦茶だったら、それくらい遠慮せずにどんどん飲めって言うよ」

「……そうか」

「そうだ」

「そう分かっても、なんかイラつく~ッ。口の中も妙な感じだし」

 どうやら理解と気持ちはまた別問題らしい。

 彼は口をヘの形に曲げて不快感を顔一面で伝えてきてる。

 まあ、その気持ちも分かる。暑い中をわざわざ遊びに来たんだ。汗もかいただろうし咽も渇いただろう。

「ま。うがいでもして少し待ってろよ。氷もあるしすぐに茶を沸かすから」

 でも自業自得だから普通に待っててもらうけどな。

「分かったよ。ああ、酷い目にあった」

「そこまで言うか?」

「言うよ。っていうか、今でも普通の飲み物と思えねーよ。健康食品かナニかか?」

「残念だが、コレでも嗜好品だ」

「……コレでも?」

「コレでも」

 ハァ? と顔に書いたような表情をして、彼はマジマジとひやしあめの瓶を見つめる。

「ちょっと変わった味だけどな……」

「ちょっとじゃねーよ」

「そういうなよ。それでもいいものなんだよ」

「コレが?」

 未だ疑わしげな眼差しを前にして、俺は冷えたひやしあめをまた少しだけコップに移して、今度はゆっくり時間をかけて飲み干した。

 無骨な味と言うのだろうか。

 甘さは単純な甘さだ。砂糖と蜂蜜をベースにした、誰もがイメージする甘さ。そこに生姜の味と香りが混ざるくらいだが……それはきっと想像だけでは補えない境地だろう。

 きっと他に味わいがないせいだ。生姜の辛さがキツすぎて、心の準備がなければ飲んだことがあるやつでもきっと驚く。

 それでもその刺激と香りが胸のうちをスッとさせるのが心地よくて、気付けば夏の飲み物として手放せない一品になっている。

「どうした?」

 飲み終わった後もずっと俺のほうをマジマジと見ていたのでそう聞いてみると、

「本当にソレ、飲み物だったんだなあ……」

 と、呆けたような感想を述べてきた。

「飲み物だよ」

 そう笑いながら答えると、

「……少しだけ」と、彼はひやしあめの瓶に手を伸ばして、ほんのちょっぴりコップに注いだ。

「ああ、慣れればおいしいから安心しろよ」

 手にもって少し逡巡していたようなので、俺は彼にそう言った。

 その言葉に背中を押されたのか、

「そうか」

 といって彼は覚悟を決めたようにぐっと飲んで……、

「ブホッ」

 ()せた。

「あーあ」

「あー、じゃねえよ。慣れたらおいしいってお前、今言ったろ!」

「慣れたら、な。二回程度じゃまだまだだよ」

 俺が笑いながらそういうと、彼はむくれっ面を隠そうともせずに言った。

「ソレって、慣れるまではマズいってことじゃねーか。ナニが安心しろよ、だよ」

「ごめんごめん。未来のお前に言ったんだ」

「未来って?」

「ソレに慣れた頃の将来のお前」

「慣れねーよ!」

 そうこう彼をからかっている間にやかんの麦茶が沸いていた。

「いまお茶を用意するから、機嫌直せよ」

 新しいコップ二つに氷を幾つか入れながら、俺の部屋に向かう彼にそう声をかける。

 氷がパキパキと音を立てて溶けて、夏の定番の冷えた麦茶が用意できた。

「やっぱ夏はこうじゃないとな」

 ちょっとした罪悪感のせいか、独り言がこぼれていた。

 夏に麦茶を切らすとは、俺もまだまだなってない。そんな事を考えながら、やかんを桶に浅く張った水につけて早く冷えるようにしておいた。

 もうこれで麦茶は大丈夫。

 次に、机の上に置きっぱなしになっていた瓶の蓋を閉めて、冷蔵庫に入れた。

 これも今後は切らさないように気をつけないとな。そう思いながら。 

 きっと来年は、ひやしあめがもっと減ることになるだろうから。


 もう少し軽い文体で、もっと爽やかなイメージにしたかったのですが……なかなかうまいこといかない。

 例えるなら、夏の日差しで明るい街中で、蛍光灯をつけなくても見渡せる薄暗い室内の一幕……みたいな、しっとりとしたイメージになってるみたい。

 独白的な地の文が重いのかな?


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191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/30(火) 19:57:34.25 ID:v9QWYpBr0

お題下さい

192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/30(火) 20:12:13.49 ID:17BJZSppo

>>191

ひやしあめ

193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/30(火) 20:33:26.51 ID:v9QWYpBr0

>>192

把握しました


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