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宿で

 宿に戻ると、平野がやってきた。


「よう、どうした」


 俺が尋ねると、平野は本を差し出してきた。


「これ返す。魔法を覚えるのはあきらめるよ」


 平野が差し出した本は俺の魔術書だ。凛から借りたのだろう。


「ふーん。あきらめるの。凛もあきらめたのかな。こんなに早く帰ってくるとは思わなかったよ」

「いや、凛はいくつか魔法を使えるようになったらしいよ。さすがに全部覚えるわけにはいかないから、使いそうな部分だけ紙に書き写したらしい。僕は魔具を使うことにしたんだ」

「魔具買ったの?」

「うん。これが魔具なんだ。一番安い魔具しか買えなかったんだけどね」


 平野はポケットからブレスレットや指輪を出した。これが魔具のようだ。


「まだ使ってないんだけど、これがあれば魔法使いと同じように魔法が使えるって魔具を売ってるお店の人が言ってた。明日どこかで使ってみるつもりなんだ。寿命になったら砕け散るらしいけど、魔具に魔力が残っていたら繰り返し使えるらしいよ」

「何の魔具を買ったんだよ」

「高速移動と防御と炎の魔具だよ。肌に直接触れさせて、使う魔法を強くイメージすれば魔法が発動するらしい」




          *          *          *



宿 1階 食堂


 俺たちは1階の食堂の隅の席に集まり、今日の町でわかったことや、明日からどうするか相談を始めた。


「何か、日本へ帰る方法見つけた人いる?」


 凛がみんなを見渡したずねた。


「俺は全く手がかりなし」

「僕も。ここが地球じゃなさそうだとはわかったけど」


 詩乃も頷いている。


「ねえ、明日はどうする?このままこの宿を借りるかそれともほかの宿へ移るか、家を買うか借りたりするか、それともほかの町へ移るか。何かいい方法ないかしら」

「家を買ったら。金のあるうちに拠点となる建物は確保しておきたい」

「でも、なんとなくここまで一緒に来たけど、もうそろそろ別々に行動してもいいと僕は思うんだけど」

「亮太君はみんなと一緒にいるのは嫌なの?」

「いや、そういうことじゃないけど……」


 先のことを考えると、よくないことばかりが頭に浮かんでくる。地球にいる両親は心配しているだろうし、いつまでも持ってきたものを売って生活するには限度がある。たとえ地球に帰る方法が見つかったとしても、何年も行方不明でしたでは今更高校へ通い直すわけにもいかないだろう。俗にいう時間の流れが異なっていて地球では数秒しかたっていませんでしたなんて都合のいい話もないだろう。


「マジでこれからどうするかなあ」


 ため息交じりで俺は言う。


「いっそ、この世界でお店でも開いて、お金を稼いで、地球に帰る方法を買うとかしたほうがいいかなあ」


 凛の思いがけない提案に


「あれ、それいいと僕は思うよ。手がかりも何もなしに探すより、言葉は悪いけど金任せに情報を集める」

「確かに。それが一番現実的かなあ。でも何のお店を作ったらいいんだろう」


 凛は意外と乗り気な亮太と俺に驚いている。


「思いつきで行ってみただけだよ。お店とか無理だよ。詩乃ちゃんも無理だと思うよね?」

「あの、わたしもお店を開いて見てもいいと思います」


 凛は詩乃の発言にがっくりと肩を落とした。詩的にいうならブルータスお前もかと言ったところか。

 結局何のお店にするか決まらず、各自何のお店にするかを考えることになった。


          *          *          *



 食堂で夕食を済ませると一人、部屋に帰ってきた。記憶にはないが地球に帰る魔法がないかユノを呼び出し確かめることにした。今までなぜ確認しなかったのか不思議なぐらいだ。


「ユノ出てきてくれ」

「何かご用でしょうか」


 魔術書に声をかけるとすぐにユノが現れた。


「地球に帰る魔法、何か知らない?」

「魔術書にはそのような魔法は存在しておりません」

「やっぱりなあ。念のため確認するけど、ここ異世界だよな。催眠術を使ったドッキリだったなんてことはないよな」


 俺は無い知恵をひねり、ありとあらゆる可能性を考えた。


「ここは地球ではなく、俗にいう異世界だと思われます。ドッキリではありません」

「そもそもどうやって、異世界へやってきたのかわからないか」

「この異世界へ来る際とアンケートに答えた際、奇妙な魔力を感知しております。方法は現時点では不明です」

「なんで、今まで言わなかった」

「今まで聞かれませんでしたので。また危険性はなく、一瞬でしたので、報告の必要はなしと判断しました」

 

 そういえば、今まで聞かなかった。なぜ聞かなかったのだろう。


「ほかに何か報告してないことや、気付いたことはない」

「とくにございません」

「じゃあ、もういいよ。おつかれ」


 ユノがいなくなると、部屋の中は静かになった。時折、廊下から人の声がするがそれだけだ。日本のようにパトカーや救急車のサイレンや自動車の音など人工的な音はまったくしない。窓からは星がいっぱい輝いている空が見える。この世界には電気が全く存在しておらず、機械も一つも目にしていない。地球とこの世界の技術差がお店の役に立つかもしれない。


 その後は特にやることもない。こんな時は寝るに限る。地球にいたときより早いが寝ることにした。






短くてすいません。感想、評価お待ちしています。

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