表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

隣に下宿している子

作者: 尚文産商堂

もう、大半の人が持っている携帯電話。

俺は、大学3年生になってやっと持つことができた。

周りからも、早くも手と言われていた中での携帯の保有は、やっとかと言った感じで、友人たちあkらは受け止められていた。

その中で、一番最初にメアドを交換したいといってきたのは、俺が予想していなかった、大学で下宿先がすぐ隣になった女子だった。


「ああ、もちいいさ」

俺はそう言って、赤外線通信で、メアドを交換する。

完了を告げる電子音がして、互いが受け取った情報を確認する。

「うん、入ってる」

「あたしのも入ってる?」

「ああ、もちさ」

俺はそう言って、名前を入力する。

誰のかわからないことがあるため、簡単にメモを取っておくのだ。

川田一陽(かわたいちよう)だったな」

「うん、あたしの名前ね」

彼女はそういって、俺の名前も聞いてきた。

「偶然だとは思うが、俺も川田なんだ。川田鈴榛(かわたすずはる)

「そうなんだ。偶然だね」

彼女は、そんな感じで喜んでいた。


彼女とメールをするのは、1か月に2回か3回といった、結構頻度は低かったが、それでも、なかなかいい関係を続けていた。

その関係を進めたいと思った矢先、大学で彼女を見つけた。

5人ぐらいの男に取り囲まれて、なにかとても嫌がっているような感じだ。

「こらっ!」

巻き舌気味に言って、肩をいからせ、体を斜に構え、持っていた傘を突き指しながら、俺は彼女を救うべき、男たちのところへ近寄った。

「なんだよ、お前は」

「そいつの友達だ、お前ら離れろ」

「ああ、そうですかって。そんな簡単に離れるわけないだろ。お前みたいな野郎には、こんないい女はもったいないんだ。だから、俺たちがちゃんと育ててやるさ」

その顔は、侮蔑の表情も含まれていたと思う。

そんなことを気にする前に、鎖骨の根元を傘で一瞬で突いた。

続いて、左肩、右肩の関節部分。

それから、股関節を突き刺す。

これで、脱臼をするはずだと、俺は思った。

そして、その場に、その男は倒れた。

痛そうに呻いている。

そこに、誰かが読んでくれたのであろう、警備員も駆け付けた。

俺は倒れているやつをまたいで、彼女のもとへ寄る。

「大丈夫か」

「うん、大丈夫。来てくれたんだね」

「いや、偶然見かけたからさ、助けなきゃって思ってな」

俺は、倒れそうになっている彼女を支えながら、抱きしめていた。

「あ…」

抱かれていることに気付いた彼女は、俺から離れようとはしなかった。

「大丈夫ですか」

警備員が俺たちに聞く。

「ええ、こちらは大丈夫です」

「それで、この倒れている男は…」

「この子を強姦しようとした感じだったので、動けなくさせました」

「分かりました。ここから動かないで」

警備員は持っていた無線機でどこかと連絡を取る。

「ねえ…」

「どうした、どこか痛いのか」

「じゃなくて、ありがとうって。助けてくれて」

「ああ、それぐらいどうってことないさ」

俺はそういったが、彼女は何か思っているようだ。

「…ねえ、さっきの鈴榛、かっこよかったよ」

「そうか」

俺は自分がどんな感じに見えていたのかわかっていない。

「そうだよ。だからね、そんなかっこいい人と、付き合いたいなって…」

彼女は耳まで真っ赤にしながら、言った。

「そうかい」

俺はさらに強く抱きしめた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ