新参者、登場
すごーくニコニコしながら入ってきたのは先生だった。
スラッとした長身、巷で噂のイケメン顔、どこかズレたイントネーションに長めの金髪(自前かは不明)と、○×船長!!と叫びたくなるような眼帯。
「えと…蓮目[ハスメ]先生…?」
『ハーイ!!ゴキゲンようアキツキ!!』
ヒラヒラと入り口付近で手を振る英語担当に曖昧に笑う。
どうして先生がここに?
そう思って聞こうとしたら、逆に爆発発言をかまされた。
『フフ…アキツキ?不純性行為はサスガに私の前では止めてほしいナー、なんて』
「…は?」
フジュンセーコーイ?
そう言われて自分の体勢確認。
ソファに押し付けられる私、のしかかって押さえつけるモッサリー。
うん。
「はっ、はなれろぉぉお!!」
『っぃて、』
な、なななななな…!
「貞操の危機…!!」
『勘違いすんなあほ』
殴られた。ひどい。
『oh、無理やりだったの?カワイソウなアキツキ。こんな男に迫られて…』
『だから勘違いすんなっつってんだろがこのボケ!!』
『ふふん、口の悪い男はモテないヨ?』
『余計な世話だ』
ガリガリと髪をかきあげ(フケとんでそう)また玉座にふんぞり返るモッサリーに蓮目先生は肩をすくめた。
『で?アキツキがここにいるってことは部活勧誘だロ?それとも自分のテリトリーで告白カイ?』
「ち、ちが」
『寝言は寝てから言え。こんな五月蝿い女願い下げだ』
オィ、ムカつくんだけど。
「私だって、モッサリーなんかゼッタイヤダし」
『ぶっ!!!』
思わず言い返したら、ものっすごいふかれた。
『オイ…』
「だだだって!!モッサリーが先に…!」
『ぶぷぷ…!モッサリー…!!ぶっ、ふふふっ!!!』
笑ってないで助けて蓮目先生ぇぇ!!今私生命の危機なんですが!?
『カズ!いつまで笑ってんだ殺すぞ!!!』
イライラしてるのか、カツカツ肘掛けを指で鳴らしながら殺害予告するモッサリー。
それをうけながしながら笑い続ける蓮目先生はツワモノ…いや、生徒の立場から教師に殺害予告するモッサリーのがツワモノなのか?
『ぶふっ、ぶぷぷ…!いや、ゴメ…だって、ね?今のスズにはそのアダナ言い得てミョウってヤツだよ』
『チッ』
蓮目先生の反撃に、やっぱり思うところがあるのか舌打ちだけ。
てか…
「あの、<今の>って?ていうか<スズ>って誰ですか?」
『『…。』』
あ、あれ、なんかスッゴい気まずい。
『…ネェ、スズ。もしかしてキミ、自己紹介もせずアキツキを入部させようなんて…してナいよね?』
長い沈黙のあと、口を開いたのは蓮目先生だった。
しかも、声が物凄く低い。
『ね、アキツキ、どう?』
「へっ!?どうっ、て…」
自己紹介はおろか、ここがどこなのかも分かんないんですが。
そう言うと、蓮目先生は溜め息をついた。