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東方饕餮記  作者: 待ち人
3/51

二話

前話以上に色々と強引です。捏造の嵐です。


ちなみに四凶というのは昔の中国のやばい妖怪四天王とでもおもって下さい。

※4/30一部修正

旅を始めてはや半年、その間にちょくちょくとこの体のせいで面倒事があった。


まず最初に饕餮としての捕食本能が都の友人を訪ねた俺を襲った。

饕餮というのはもともと人間や魔のものも区別なく襲っては食べていたらしい。そのせいで妖怪の間でもかなりやばい奴だと認識されている近くに獲物がいると探りたくもないのに人間や妖怪などの多種多様な味のが頭に浮かび上がってきて大変な目にあった。

……記録としての味の良さは人間>妖怪>その他の肉、栄養は妖怪>人間>その他の肉であった。


とりあえず本能に呑まれて友人を喰らうなんて真っ平ごめんなので足早に都を出た。

この本能の制御は半年前からの今も続く課題である。 多少はましになったが気を抜くと涎が口の端にかかっているので要注意だ。


さて都を出てから二番目の問題に突き当たる。

動物に遭わないのだ。


人間は食べたくないし妖怪もいきなりはちょっと遠慮したかったので、森や川で食料を探そうと思ったのだが、動物や魚は一匹も見当たらず探せども探せども見つかるのは野草や茸の類いだけ。


残念なことにこの体はあまり燃費がよくなく、野草やら茸ではとてもまかなうことが出来なかった。


しばらく考えて原因に思い当たった。

この垂れ流しの妖気はかなり強大だ。野生の生き物のような勘のするどいやつなら避けようとするだろう。

 こればかりは無視できる問題ではなかったので、一旦人間状態に変化しなおして霊力に切り替えておく。その後は獲物も見つかりなんとか飢えをしのぐことが出来た。


 最後の問題は妖力。

 扱いには多少慣れてきたので技量的には一応戦闘に使える程度にはなったが、最近は徐々に妖力の総量が減ってきているのだ。


 まぁ原因はここ半年の自分の行動のせいだろう。

 まだ人間のときの癖が抜けないらしく、旅の途中で困った人を見るとついつい手助けしてしまうのだ。


 もちろん妖怪は人間のおそれがあってこその存在だというのは知っているだが、この身が大陸中に轟いているのだから多少は大丈夫だろうと思っていたし、なにより心情的に見過ごすことができない。


 最初は変化した人間の姿ならごまかせると思ったが、変化して見た目は違っても本体は妖怪であるので、手助けして親しみなんかをもたれてしまうとやっぱり妖力は減っていく。


 あまり弱体化してしまうと他の妖怪に狙われてしまうので改善策を考えなければならない。さっきも言ったように饕餮自体が有名だからある程度の弱体化は防げても、下がりすぎるのはよくない。


 人間を傷つけずに妖力を回復する手段として効率がもっともいいのは同じ妖怪を喰らうことだ。これを行えば手早く妖力を回復できることはこの体の記憶からわかっていた。分かっていたのだが……どうにも躊躇いが捨てきれなかった。


 饕餮になって半年たったが未だにこの辺の踏ん切りがつかない。

 饕餮の特性から言って妖怪を喰らえば妖力は回復すると思うのだがこればかりは勘弁してほしい。


 代替案として思い浮かんだのは人間を驚かすということ。

 化ける程度の能力はこれには最適だし、実質人間には大した被害はでない。たまたま出くわした人間には申し訳ないが、妖力補充の手伝いをしてもらうということになった。


 以上のようなことが起こり今現在に至る訳だ。




 そんなこんなで今日も今日とてふらふらと大陸をさ迷い歩いている。


 ちなみに西方には行ったのだが一面草原だったり砂漠だったりとあまりに味気なかったので早々に他の地へと向かっているところだ。


 最近は困っている人を見つけては手助けをし、心根が曲がっている人を驚かしている日々だ。これはこれで思ったより楽しいもので、妖怪としての二度目の生を十分に満喫している。


 ちなみにこれは完全に饕餮という妖怪の今までの行いとは反するもの。 聞いたところによると饕餮とは弱きを挫き悪しきを助けるやつだったらしい。まぁ俺と饕餮は体は同じでも別物なのだから気にしないことにしている。


 そんな感じで今日も人間探しをしていると、かなり大きな妖気が近づいてくるのを感じた。

 この身には及ばないが、人間の時の霊力ではおそらく相当な苦戦を強いられるであろう。


 とりあえずは用心して小鳥に変化して霊力や妖力も切ってから近くの木にとまって様子を見ることにした。


 しばらく待っていると妖気の持ち主がとうとう姿を現した。


それはふさふさとした綺麗な毛並みをもつ狐であった。

それだけなら実に愛くるしいのだが尻尾が九本ある。

つまりは九尾だ。


 九尾の狐、それは狐が長い時をかけて格を上げていきたどり着く尾獣としては最高位の妖獣だ。


 一応物の怪相手に商売をしていた俺もこの目で見るのは初めてだ。

 一説には千年は生きている必要があると言われており、当然その長さを生き抜くことができる数など妖獣になれたとしてもごくごく僅かだろう。


 その九尾は今眼下できょろきょろと辺りを見回している。

 大方俺を探しているのだろうが何が目的か分かったものじゃないのでまだ様子見だ。


 再びしばらく待っていると今度は九尾が人間に変化した。

 その姿は毛色と同じ色の髪をもつ美しい妙齢の女性だ。頭には布で出来た被り物を着けており、二か所が飛び出ていることから狐の耳が隠れているのだろうと思われる。

 そしてなにやらぶつぶつ呟きだした。


 次の瞬間何かの呪いだと思われる干渉を感じた。

 咄嗟のことだったので呪いの種類は分からなかったがつい妖力を解放して呪いを弾いてしまった。


 すると九尾は俺の妖気に反応して此方に目を向けた。


 やはり戦闘かと人に変化して身構えるが


「待って下さい!私は聞きたいことがあってあなたを探していたんです。

先ほどの呪いはあくまで貴方を探すためのもので害をくわえるものではありません。

どうか話を聞いてくれませんか?」


 などと言われてしまった。


 俺としては大いに戸惑う話だ。

 妖気にあてられて挑みかかってきたりするなら分かるが、かつて妖怪まで喰らってきたこの身に話をしにきたというのはどういうことなのだろうか。


 こちらとしてもこの九尾に興味がわいてきたので、話をするのは吝かではない。


「……分かった、話を聞こう」


「ありがとうございます!」


 見るからにほっとしているようだな。


「話というのはですね、人間についてなのですが……」


「人間?」


「そうです。妙に思われるかも知れませんが私は人間に興味があります。

 私たちは種類によっては群れをなしますが、大半は単独行動をしています。私も狐として生を受けてから今まで一時的な仲間はいたにしても、それは利害関係によるもので結局私は一人で生きてきました。

 しかし人間は違います。

 何時だって群れて、いや補い合いながら生きている。

 最初は群れなければならない弱い生き物だと私は思っていました。

 でも年月を重ねてきて感じたのは集団としての人間の強さ。時に利益を無視してお互いを助け合う姿勢。

 お互いに助け合うことで遥かに強大な力をもつ妖怪にも勝利をおさめている姿は私には新鮮でした。

 そう考え始めた時から私は人間に興味をもち、彼らの行いを観察してきたのです」


「……それが俺とどういうつながりが?」


「貴方を見かけたのは都を観察していた時、あれは二年くらい前でしょうか。

 なかなか大きな霊力を持っていたので注意はしていたのですが、半年ほど前に帰ってきた貴方が纏っていたのは妖力でした。

 都に入る前に霊力に切り替えたようですが、妖力を纏っている以上人間ではないということ。

 しかし半年間貴方の行動を見てきましたがどうにも妖怪のするようなこととは思えないのです。

 纏う妖力の強大さとその行動がちぐはぐ、人助けをする大妖怪なんて聞いたことがないです。


 どういう経緯か分かりませんが、もしや貴方は人間から妖怪になったのではないですか?」


「それは……」


「いえ、詳しい目的も明かさずにこんなことを聞いても怪しいだけですよね。

 私はこれを人間に人間について聞くいい機会だと思っているのです。

 普通の人間に話しかけても逃げられるか攻撃されるかのどちらか。ならば今や私たちと同じ存在になった貴方になら話を聞くことが出来るかもしれない、と思ったのです」


 ふむ……正直本音かどうかは判断がつきづらい。

 何しろ俺とこの九尾では生きてきた年数が違うから、もしかしたらこれは演技で本当は何か企んでいるのかもしれない。


 だが……


「……分かった」


「本当ですか!? ありがとうございます!」


 この九尾から熱意のようなものを確かに感じた。

 今俺の返答を聞いて目を輝かせているのを見れば、おそらく間違いはないだろう。


 まぁ話をするくらいなら問題もないだろうし、俺の正体も察しがついていたようだから放っておくのもまずいだろう。


……ん?そういえば彼女は俺が饕餮であることを知っているのだろうか?


「ちなみに君は俺がなんの妖怪が知っているのか?」


「いえ、妖力が大きいのはわかりますが、種族までは……」


「そうか、ではこれが俺の本体だ」


 変化をといて久しぶりの本体になる。


「っ!!饕餮!なぜ貴方が饕餮に!?」


「まぁその辺の事情はまたあとで話そう。

 まずは自己紹介といかないか?俺は(せい)という」


「名前……ですか。今まで考えたことがなかったですね……でも貴方という話相手が出来たのですから人間のように名前を考えた方がいいですね。

 では私は(らん)とでも名乗りましょう。貴方の名前を参考にさせてもらいました。いささか安易ですが」


 そう言って藍は苦笑しつつもこれからが楽しみなのかふさふさとした九本の尻尾をゆらしている。

……うっ、これはなかなか可愛い……いや、落ち着け!相手は妖怪、小動物ではないのだ!


「あの、大丈夫ですか?」


「ん?あ、あぁ大丈夫だ。立ち話もなんだしどこか休める場所にでも行って話そうか」


 ふぅ、危なかった。何が危なかったのかは言わないが……

 さて妖怪で初めての話相手が出来たことだし、こちらからも妖怪について色々聞いておくとしよう。


問題作の第二話投稿でした。批判がこわい…


やっと原作キャラとの邂逅です。

名前の件は安易ですいません。ずっと別の名前というのも違和感があるので。あと青をチンと読まないでやって下さい、セイですよ、セイ。

あとなぜか藍が敬語。まぁ自分より妖気が大きかったから下手に出たとでも。

っていうか原作で藍は霊力持ってましたが式の影響でしょうか?

種族は妖獣なのになぁ……霊獣つながり?


作者は原作知識が穴だらけなので色々教えてもらうと助かります。

おそらくこれから3日毎くらいで更新しますんでよろしくお願いします。


追記:藍が主人公を問い詰めている場面ですが、彼女は確証を得ているわけではありません。いわゆる山勘w

文章中にあったとおり根拠はありましたが確信は持てなかったので直接問いただしに言ったわけです。

その辺の言動のおかしさは修正しましたが、まだ何かおかしかったら一報をば……



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