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東方饕餮記  作者: 待ち人
23/51

二十二話

大当たりの巻



短い、短すぎる…

次話とのきりがよかったので普段の半分近い量に…


でも重要な回です。

今日も妖怪の山にある家では普段と変わらぬ光景が広がる……はずだった。

この1日を迎えたときに予期しなかった出来事が、ここ数百年で一番の驚きを伴ってやってきたのだ。



始まりは朝食の時だった。


「どうした、三人とも?あまり食べてないようだが」


「いえ、なんだか食欲が…」


「私もないな」


「あたしもなんだか調子がわるいねぇ」


なぜかいつもに比べて箸が進んでいない藍と彩音と葵。心配した青は声をかけるが、三人とも食欲がないとだけ答える。


そして朝食を食べ終わったその時


「うっ…すいません、ちょっと失礼します!」


いきなり彩音が口を手で抑えて手洗い場に走っていった。青が不審に思い藍たちのほうを見れば二人とも若干顔色が悪い。


「おい、本当に大丈夫なのか?」


青が声をかけ、天魔も心配そうに様子をうかがう。


「母上、葵、部屋で休んだほうがいいのでは?」


「…そうだな、少し気分が悪い。悪いが休ませてもらう」


「あたしもちょっと休むよ。にしても、これは………」


何やら思い付いた風の葵だったが、その様子に気がつかなかった青はそのまま二人を部屋に運んだ。

その後手洗い場で吐いていていた彩音を発見。慌てて駆け寄って背中をさすってやり、体調を聞けばやはり少し気分が悪いとのこと。

原因が分からないので、藍たちと同じように部屋に運んだ。




青が彩音を運びこんで部屋を出ていったあと、葵が残りの二人に声をかける。


「ねぇ、二人とも。ちょっとこれを食べてみてくれないかい?」


そう言って小さな木の実を取り出す。何かと思いながら二人とも口に運ぶ。


「ん、美味しいな。これならいくらでもいけそうだ」


「本当ですね。食欲はありませんがこれなら」


「…やっぱりねぇ。しかし三人同時とはねぇ」


「ん?一体何の話だ?」


「ふふっ、それはね――――――――」


「「えええええっ!!」」


葵の言葉を聞いた瞬間家に響き渡る驚きの声。


「どうしたっ!」


それを聞き付けて慌ててやってくる青。部屋にたどり着いてみればにやにやした葵と固まったままの藍と彩音。よく見れば彩音は顔が赤い。


「あははは、そんな驚くことはないだろう。なにせこのあたしがいるんだからね」


「どういうことだ?」


固まったたままの藍と彩音に聞いてもしょうがないと思い、葵に尋ねる青。


「ふふっそれはね、三人とも出来ちまったのさ」


「は?」


「要するに子供に恵まれたってことさ。しかも三人同時にねぇ。あたしのご利益も捨てたもんじゃないねぇ」


葵の言葉に青も固まる。

そして徐々にその言葉の意味が浸透し、しまいには歓喜が爆発する。


「ありがとう!三人共!俺たちの子供だ!」


青が三人まとめて抱きつく。それに正気をとり戻した二人も応えて抱き返す。


「ええ、青様に授かった子供。大事に育てましょう」


「ふふっ、いつになっても新しい命を授かるってのはいいもんだよ。あんたが相手なら尚更ね」


最後に藍が涙を流しながら喜んで青に口づけをし、


「やっとだな。お前と私の子供だ、嬉しいだろ?千年越しの願いがようやく叶った…」


溢れる想いを青に告げる。惚れた男と何度体を重ねても子が出来なかったのは藍にとってはつらいことだった。一時は子が作れない体なのかと思い悩んだ時もあったほどだ。

でも、これでその憂いは晴れた。青も珍しく顔をくしゃくしゃにして頷き、三人を抱きしめる腕に力をこめる。

四人はいつまでも抱き合っていた。





「なによ、久しぶりにきてみればこの疎外感。思わず境界をいじくりたくなったわ」


最近なかなか来なかった紫が緊急連絡を受けて居間にやって来た感想がこれだ。


「無駄ですよ紫殿、こうなったら止まりませんよ。貴女が私に教えてくれたのではないですか」


「えぇ、でもこれは…

数が増えて威力が上がってるんだけど…」


口の端をひくつかせる紫と、何か諦観の念を感じさせる雰囲気の天魔。

二人の目の前では現代のバカップルもかくやと言うほどにイチャイチャする青たち。

そのくっつき具合を見て更に紫が口の端をひくつかせる。


「…ねぇ、私最高の緊急性の札が反応したから大急ぎで駆けつけたんだけど、これはなに?」


「ん、あぁ紫か。聞いてくれ子供が出来たんだ!しかも三人いっぺんにだ!」


全く体勢を変えずにイチャイチャしながら喋る青。

それを見て紫のこめかみに血管が浮き出る。


「確かにあなたたちに子供が出来たのは喜ばしいわよ。

でもねぇ…まさか、まさかそんなことはないと思うけど、この私を呼び出してのろけるだけなんてことはないわよね?」


「ん?別にのろけてなんかいないが…あと、報告はこれだけだ。出来ればこれから生まれる家の子も可愛がってやってくれ」


「……ねぇ、天魔。私怒ってもいいわよね?私は間違ってないわよね?」


「…溜め込むのは良くないかと」




ふざけんじゃないわよーーーーーーっっ!!!




独身妖怪の虚しい叫び声が響き渡った。

第二十二話投稿でした。



前書きにあった通り、次話の文字数ときりの良さを考えてこの短さになっちゃいました。



今回はとうとう藍と青に子供が…

そして彩音と葵にもヒット。一気に家族が増えます。


この子供たちは以後のイベントを起こすために活躍してもらいます…フッフッフ。



そして紫、ごめんよ!

うちではなぜか紫の扱いが不憫になる件。

慌ててかけつけてみればバカップルののろけを見せられる…私ならぶちギレてます。ええ、昔似たような経験をした私だからその鬱陶しさはよくわかります。


改めてごめんよ紫。

きっといつかは陽の目をみるはずさ!…多分、おそらく、めいびー…




感想待ってまーす。

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