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東方饕餮記  作者: 待ち人
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十三話

平穏な日常の巻




なんか改めて読むと思ったより甘くない…

でもこれが作者の限界です。

藍たちとの思わぬ再会のあと、俺たちは3日ほど休んだところで紫の見つけてきた家に移り住んだ。


3日で見つけた割には立派な木造の家で、一般的なものの二倍くらいの大きさ。諏訪子の神社の近くに紫の計画の候補地の一つである霊地があり、土地から力の補給を受けられることもあってそこに家を建てた。人目につかない静かな山奥で、ゆっくりするには最適な場所である。

そこで俺たちはしばらくの休養ということで悠々自適の生活をおくることにした。


だがすぐに問題が発生。

なんと彩音が追いかけてきたのだ。最初は遊びに来たのかと思って家にあげたが、いきなり『あなたの従者にして下さい!』なんて言うから噴き出してしまった。

どうも諏訪子の許可を得て来たらしく、新しい巫女は再び諏訪子の神力で里の女性に宿してもらったらしい。

しかも事前に紫に頼み込み、紫の能力で人と神の境界を操作、もともと現人神だったこともあって、完全な神ではないが不老になることに成功。しかも不完全な神化だったため、神力による奇跡は起こせないが信仰要らずという妙な神になった。

ちなみにこの結果に紫はひどく興味をもち、なにか利用できないかとぶつぶつ呟いていた。


こうして見事な不退転の覚悟を示した彩音を無下にすることも出来ず、藍も『いいんじゃないか』と軽く流したことから、彩音が俺の従者になることが決定した。

もともと諏訪子の身の回りの世話を一手に引き受けていた苦労人だったのでその家事能力は高く、今ではたまに藍が彩音の手伝いで家事をする以外は我が家の家事のほとんどを取りしきっている。


それに彩音が素直でいい子、しかも十代だったこともあって、藍と二人で娘のように彩音を見ている。俺たちの間には子供が出来なかったから、いきなり大きな娘が出来たと藍も喜んでいた。彩音も娘のように扱われてまんざらではない様子だった。


こうして一波乱はあったが、全て丸く収まり我が家は平穏そのもの。

これから語る1日もそんな平穏な日々の内の一つ。




~~~~~~~~



「朝か…んっ…おはよう、青」


「…ん…おはよう藍」


日が昇ると共に隣で寝ている藍の口づけで起きるのが日課だ。

千年続いた日課だったから、諏訪大社にいた時はこれがなくて物足りない気分になることもしばしばだった。


起きるてすぐに藍の尻尾の毛をすく。いつも寝るときは尻尾を出しているので、朝起きたら整えないといけない。ちなみにこれは俺の要望で、尻尾をモフモフしながらの睡眠は最高だ。ただあまりやり過ぎると藍が『私と尻尾のどっちが大切なのだ』と言って拗ねてしまうから気を付ける必要がある。


ゆっくりと時間をかけて九つの尻尾全てをすき、指を通して確認する。それが終わると藍と一緒に居間へと向かう。


居間にたどり着くとそこにはご飯、焼き魚、味噌汁といった朝の定番料理が並ぶ。これは全て彩音が準備してくれたものだ。毎日俺たちと同じように日が昇ると共に起きて朝食の準備をしてくれる。


「お師匠様に藍様もおはようございます」


最後に漬け物を持ってきた彩音がこちらに気づいて挨拶をする。

諏訪子には悪いが、彩音は本当にいい従者だ。文句のつけどころがない。

諏訪子も最初は彩音を出すのを渋ったらしいが、あの身長の諏訪子に涙目+上目遣いという難易度の高い技を駆使して泣きついたらしい。

三人そろって朝食を平らげたあと、彩音は洗濯をしに行き藍はその手伝い、俺は最近の趣味をしに外へと向かう。


外には樹が生い茂っているが、家の側面に不自然な広い平地がある。

そこで俺が行っているのは農業だ。これが今の俺の趣味だったりする。

この体は野菜を食べなくても問題ないし、むしろ栄養的には肉だけ食っていればいいのだが、それだけでは味気ない。

彩音が漬け物を出してくれるが、山奥ということもあってなかなか新鮮な野菜を食べられなかったので、俺が自家菜園を作って新鮮な野菜を提供している。

初めは土地の養分が少なくて苦労したが、里の人間にわざわざ助言を聞きに行ったりしたおかげで今では立派なものになっている。


外へ出て気が済むまで土いじりをすると日はもう中天を過ぎていた。再び家の中に戻ると洗濯は終わったらしく彩音は掃除、藍は部屋に戻って何かを木簡に書き込んでいる。

藍がいうには式を扱う術式らしいのだが、俺には断片的にしかわからない。

一応人間だった頃にはその手の術式も見てきたのだが、藍の使っているものは一段と複雑であり、藍自身の能力も相まって大きな力をもつ。基本的に死骸や無機物に使用するのが式なのに、生きている者まで使役が可能なものだ。


藍の作業を後ろで壁に寄りかかって座りながら見ていると、一段落着いたのか伸びをしてこちらへやって来る。


「疲れたな、少し休ませてくれ」


そう言うとそのまま胡座をかいている俺の足の上に座り、こちらに体重を預けてくる。

こうなると俺の全身は尻尾に包まれる。ふさふさとしてとても温い。

顔と手だけをその尻尾の海から出し、後ろから藍を抱き締めて顔を肩にのせる。そして温もりを感じながら藍と一緒に心地のよい眠りに落ちた…






外から差し込む赤い光に気がついて目を覚ませば、もう日が暮れかかっていた。藍も眠ったままらしく寝息が聞こえる。

とりあえず起こそうと思って身動ぎすると、右肩だけにやけに重みを感じる。首を回してそちらを見ると、藍の尻尾越しに俺の右肩に寄りかかった彩音を発見。

あまりに安らかに寝ているものだから、とても起こす気にはなれない。日頃お世話になっているのだから、と思ってそのまま二人の重みをしばらくの間感じていた。




その後はまず彩音が起きた。目を覚ました直後は呆けた顔で辺りを見回していたが、こちらに目線やって固まり、『す、すみませんでしたー!』と言いながら走り去ってしまった。別に謝ることなんかなかったのだが…


「ん…」


彩音の声で藍が目を覚ましたようだ。


「おはよう、藍」


「あぁ、おはよう。少し寝すぎたかな」


「確かに少し寝すぎたかもな。さ、毛をすくからおりてくれ」


そう言って少し前に座り直した藍の尻尾を丁寧にすく。一々手入れが必要なので人によっては面倒くさいと思うかもしれないが、これは俺と藍の日々の日課で触れ合いのようなものだ。それに何度もいったが藍の尻尾は至高だ。日々の疲れを吹き飛ばす程度の能力は今日も健在のようだ。


しばらくしてから部屋を出て朝と同じように居間へと向かうとしっかりと夕飯が準備されていた。

若干彩音が挙動不審な気がするが、いつも通りの美味しい夕飯だ。三人で食卓を囲みながら食べる。


たまにここに紫がまじったりもするが、これが我が家のいつもの風景だ。しかし、我が事ながら奇妙な縁で繋がっているものだと思う。元人間の妖怪と最高位の妖獣の夫婦、それに付き従うのは不完全といえども神の彩音、そしてたまに遊びにやって来るスキマ妖怪。

とんでもない人外魔境だ。人間の頃の俺が聞いたら飛び上がって驚くだろう。

でも、この形が今の俺にとっては一番大切なものなのだ。妖怪になるなんて数奇な運命を辿ってきたが、こんな穏やかな日々をおくれるのだから人生、いやこの場合は妖怪生も捨てたものではない。

俺は今幸せだと胸を張って言えるのだから。








我が家としての活動はこれで終わりだが、俺と藍はこの後にも色々とある。

具体的に言えば一緒に風呂に入って一緒に布団に入って…

まぁここから先は察してくれ。



第十三話投稿でした。


…あるぇー?もっと甘くなるはずだったのに改めて読むと微妙…

書いてる間はこちらが恥ずかしくなるのになぁ。

やっぱりテンポなんだろうか…




そしてちゃっかり彩音さんは従者になりました。

あれです、咲夜さんのような従者を付けてみたかったんです。諏訪子のところで家事全般をこなしていたのでなんでも出来ます。

しかも人外になったから戦闘力アップ。神力は使えなくても基礎能力は人間時を遥かに凌駕します。

じつは藍より強いかもしれない…ま、藍には幻術がありますけどね。


そう言えば農耕って始まってたっけ?

まぁ大陸では始まってるのでいっか。



前回も言いましたがこれからしばらくは家族を中心にしたほのぼの路線で。

でも初の青主体のガチバトルがこのほのぼのの中に入っていたりもします(汗)



こんな小説ですがこれからもよろしくお願いします。


そして最近感想が増えてきて私の意欲が右肩上がりです。

おかげで受験間近に一話浮かんできたから、仕上げちまったよ!


感想待ってまーす。


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