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東方饕餮記  作者: 待ち人
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十話

諏訪大戦の巻



史実ではたしかもっと後なんですが大人の都合でねじ曲げました…


あと前回の後書きの話についても結論を書いてあります。

 諏訪子のところで暮らし始めてから一年がたった。

 彩音は非常に覚えがよく、こちらの教えたことを片っ端から吸収していった。今なら彩音に勝てるのは大妖怪くらいだろう。相手が神でも下級神程度だったらひけをとらないくらいにまで成長した。

 初めは知らなかったが、昔諏訪子の神力でとある女性を受胎させて生まれた巫女の子孫が彩音らしい。つまり現人神。どうりで伸びしろが常人離れしている。まぁ普段の様子からはそれは全く窺えないが。

 こちらとしては娘の成長を見るようで微笑ましいものがあるのだが、当の本人は必死だったに違いない

なにしろ知識を詰め込んでは弾幕に晒して即実践、という方法で鍛えてきたのだから。

身に付けなくては大変だと思ったのか死に物狂いで覚えていた。

 当たっても気絶程度ですむようにしているのだが、実際に大量の弾幕を目の前にすればそんなことは頭から抜け落ちてしまうものだ。

 大体実戦で当たってしまえばそれで終わりなのだから。ついでに弾幕に当たったら夕飯抜きにしていたのだが、修行を始めたばかりのころに毎日被弾しては夕飯抜きを食らっていたから、力が出なくて倒れてしまったことがあった。(※この時代に昼飯はない)


 この後諏訪子と相談して、2日連続で抜いたら翌日は勘弁してやるということになった。それを伝えたら彩音は涙を流して喜んでいた。そんなに夕飯抜きは厳しかったのだろうか…


 日常生活の方も充実している。彩音はこれだけの広さの神社と諏訪子の世話を一手に任されているだけあって家事には長けていた。毎日上手い飯と暖かい寝床が黙っていても提供されるのだ。これだけで神様になる価値がある気がする。

 こう見えて藍と一緒にいた時は当番制で家事をしていたので、軽い気持ちで修行の合間に彩音の手伝いをしてやったらひどく感激されてしまった。

 苦労してるんだなぁ……


 諏訪子の方は相変わらずだ。いつも境内をぶらついて、たまにふっといなくなる。そういえば諏訪子は普通の人には姿が見えないらしい。きっかけはある日、諏訪子と話しているときに参拝客が可哀想なものを見る目でこちらを見ているのに気づいたからだ。

 諏訪子に問いただすと案の定の答え。にやにや笑って『いやぁ、面白そうだったから』とかいうもんだからお仕置きしてあげた。具体的には小さい子供に対して定評のあるお尻ぺんぺんである。勿論本殿の中に入ってやったが。

 後で彩音に聞いたら、泣きながら謝る神様と、鬼気迫る表情でその神様のお尻を叩く男という異様な光景が広がり、その気に当てられて近寄れなかったとか。

 あの後、ちょっとやり過ぎたと思ってちゃんと謝っておいた。『あーうー、恥ずかしかったんだぞ!』とか言っていたが、神力使って逃げ出そうとしなかった諏訪子も悪いとおもったのは内緒だ。そんなこと言ったら祟られてしまうからな。




 そんな日々をおくっていたある日、とうとう例の大和の神がここに攻めいってくる準備をしていることがわかった。今回の戦いは今まで数々の神を下してきた大和の神と、全ての土着神の頂点に立つ諏訪子の戦い。おそらくは配下の神も含めた総力戦となり、戦いは熾烈を極めるだろう。

 諏訪子もこのことを聞くと、いつもの雰囲気を一掃するような真剣な表情をしていた。


 そしてやはり今回の戦いには彩音も参戦するらしい。一年手塩にかけて育てた弟子に死なれるのは嫌なので、自分の持てる技術をもって札に呪を刻んだものを渡した。この札があれば生半可な攻撃では使用者に傷一つ付かない。

 彩音にこれを渡したら、『ありがとうございます、お師匠様!私の勇姿を後ろで見ていて下さい!』と張り切っていた。素直で本当に良くできた弟子だ。

 こうして着々と準備を整え、諏訪子配下の土着神も続々と集まってきた。


 そしてある日、とうとう神々の戦いの火蓋が切っておろされた。




 対峙するは神々の大軍。

 そこから一歩前に出てきたのが両軍の大将、片方が諏訪子、もう片方は胸に鏡のついた真っ赤な服を着た妙齢の女性。

 両者が中央までやって来るとお互いに口上を述べる。


「私は大和の神、八坂神奈子だ!今回はお前たちの信仰を譲り受けにきた!我が身が惜しければ大人しく私に従え!」


「私は洩矢諏訪子、土着神を束ねる者。彼らの上に立つものとして信仰を譲るわけにはいかない。私に祟られる前に逃げ出すがいい!」


 両者の口上が終わった途端両軍から雄叫びがあがり、次の瞬間には無数の弾幕が戦場を埋め尽くした。




<彩音side>



 諏訪子様と敵軍の神が口上を述べた瞬間に両軍が動き出しました。私は諏訪子様の計らいで比較的後ろの方に位置どっていましたが、目の前の無数の弾幕に一瞬気圧されかけました。でも、お師匠様との修行を思い出して気を取り直します。あれくらいの弾幕、お師匠様との修行に比べれば!

 次々と迫る弾幕をかわしながらも、間隙をぬってこちらからも弾幕を撃ちます。

 状況はやや劣勢、戦いなれている向こうの神の方が若干上手のようで、こちらの神はどんどん被弾してその数を減らしていきます。

 戦場の中心では諏訪子様と八坂とかいう神が戦っていますが、激しい戦いで粉塵が舞っていてよく見えません。


 この状況をどうにかしなければいけないと考えていると、諏訪子様に指揮を預けられた神が白兵戦を仕掛ける合図を出しました。確かにこのままでじり貧、ならば白兵戦にかけるしかないでしょう。

次々と他の神が突撃していく中、私は彼らが弾幕で迎撃されないように、向こうから放たれる弾幕を打ちおとしていきます。

 大体半数くらいが突撃に成功した辺りで弾幕が止み、戦場は混沌とした白兵戦へと変わってきました。私は身体能力は神には勝てないので、他の味方の神への援護をしながら戦場を飛び回ります。

 しかし、しんどいです……

 援護をしていると鬱陶しく思われるのか、何度か弾幕を撃たれました。それだけならいいのですが、今度は背後にも敵がいるために不意打ちをくらうこともしばしば。お師匠様の札がなかったら危なかったかもしれません。

 一旦離れて戦場全体を見渡そうと思い、後方に下がっていきます。


 それが間違えでした。

 後方に下がったことで一瞬気を緩めてしまったのですが、いつの間にか後ろに敵が!

気づいた時には大量の弾幕。回避しようとしますが無理な態勢で振り返ったために捌ききれません。

 どうも中級神以上らしく、一発にこめられている威力も半端ではありません。


 すいません諏訪子様、お役にたてませんでした。お師匠様、出来の悪い弟子でごめんなさい……




<青side>



 俺は戦いの様子を後方の上空で眺めていた。

 両軍の大将が中央で戦っているが、その様子は凄まじいの一言に尽きる。確か諏訪子の能力は『坤を創造する程度の能力』だったか。地面から槍のような形の土が次々と八坂に向かって飛び出していく。

 すると、八坂の周囲の空気が揺らいだかと思うと土の槍が弾け飛ぶ。あれもおそらく能力なのだろう。


 他の神たちの戦いに目を向けると、弾幕の撃ち合いから白兵戦へと変化していくところだった。

 それでもやはり諏訪子側が劣勢か…やはり数々の戦いを勝ち抜いてきた八坂の軍とでは地力が違う。じりじりと諏訪子側が押されている。

 そんな中飛び回る彩音を見つけた。どうやら自分の不利を悟っているらしく、肉弾戦は挑まずに支援に徹しているようだ。

 時々ひやりとする場面もあったがなんとか持ちこたえて弾幕を放っている。

 ある程度たった所で後方に下がり始めた。ふと、彩音の向かっている場所に目を移して愕然とした。

 そこにはやられたらしい諏訪子側の神々と物陰に隠れる敵の神。おそらく後方に下がってくる神を確実に潰そうとしているのだろう。悪いことに今の消耗している彩音ではおそらく勝利は覚束ない。

 舌打ちをしてその場へと向かうが間に合いそうにない。


「くそっ!」


 これで今回の計画はおじゃんだと自分を嘲笑しながら妖力を解放して極大の光線を放った。




<彩音side>



 一体何が……

あの時諦めかけていた私の目の前に突如として現れた巨体な光線。それは弾幕と相手の神を巻き込んで地面を抉っていきました。そしてぼろぼろになった敵の神に影が突っ込み、流れるような動作で連撃を叩き込み腕を突き刺すと、敵の神は断末魔と共に消滅しました。

 助かってほっとしましたがすぐに疑問を感じます。問題は今感じたのが“妖力”だったということ。そしてあの攻撃はまるでお師匠様のような…

 改めて影に目を凝らすと、そこにはお師匠様が一人で仁王立ちしていました。


えっ……それじゃあこれはお師匠様が?

 私の頭の中は混乱していました。お師匠様が妖怪……じゃあ何で霊力が?

 そんな疑問で頭が一杯になっていると、ふと頭に温もりを感じ、見上げてみればお師匠様が私の頭を撫でていました。


「今まで隠していてすまない。この戦いが終わったらちゃんて話すから今は待ってくれ」


 そう言ってお師匠様は私の目をじっと見つめてきます。

 お師匠様は妖怪かもしれない……でも、私が危機に陥ったときにそれがばれるのも構わず助けに来てくれました。ならやっぱりお師匠様はお師匠様。他の誰でもなく、ただ私の唯一のお師匠様なのです。


「わかりました。待ってますからきちんと説明して下さいよ」


 気持ちに整理のついた私は微笑みながらお師匠様に返事をします。

 それを見たお師匠様も嬉しそうに微笑むと、戦場へと目を移します。

 私も戦場に目をやると、そこには残り少ない味方の軍と、自慢の鉄輪を錆びさせられてしまった諏訪子様の姿がありました。

 どうやら大勢は決してしまったようです。諏訪子様が降伏を宣言すると敵軍は勝鬨をあげ、味方の神は項垂れます。



 こうして後に諏訪大戦と呼ばれる戦いは大和側の勝利によって幕を閉じました。



第十話投稿でした。



ストックもいい感じにかけたのでこんな時間に投稿。

だがしかしこれは色々と問題作。

実際は諏訪大戦は紀元前300年らしいのですが、どうしてもこの時期にやって欲しかったので大人の都合により捏造。作者は日本史をとらなかったので、古代日本には詳しくないのです。


まぁ一応東方では神話の時代となっているからいいんじゃないかなーと、いたっ、石を、岩を投げないでーー


でも縄文時代に社が建てられるのか…あれだ三内丸山のやつみたいにやれば…

作者は日本史をry



で次はテンプレ的ヒーローの青さん。書いてて虫酸がはしったぜ!

そして彩音に妙なフラグ。これは恋愛?フラグですね。

ヒロインになるかは…不明で。


前日の複数ヒロインについてのアンケートは受容票2に反対票1。だから多数決というわけではないですが、話の進めやすさや整合性もとりやすいので複数ヒロインでいきたいと思います。ただし、メインはあくまで藍。そこは譲れない!正妻+妾といった形で行きます。


藍の他のヒロインはストックを書き進めて現段階で二名確定。今出ているキャラがなるかどうかはお楽しみにー。

あともう一人だけ出るかもしれませんが、幻想郷が出来てからになるかと思います。


色々とごたごたしてますがこれからも読んで下さると嬉しいです。


感想待ってまーす。


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