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東方饕餮記  作者: 待ち人
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九話

ケロちゃんちにお宅訪問の巻



後書きにアンケートがあります。答えてくれると嬉しいです。

 あの後藍に見送ってもらいながら、紫のスキマを通って移動した。

 スキマを通って出てきた目の前には立派な神社。今は人間となって霊力のみの状態になっているのだが、妖力に比べて少ない霊力では気圧されてしまう。


 どうやらかなりの神力を蓄えた神がいるらしく、以前変化したオシリスとかいう神程ではないが、その辺の十把一絡げの神ではお話にならないくらいの神力の大きさだ。


 なるほど紫が警戒する訳だ。もし感付かれて戦闘にでもなったら紫じゃ負けるかもしれない。

 あいつの能力は便利だが、強すぎる相手には干渉出来ないからな。些か能力に頼りすぎるきらいがあるあいつでは厳しいかもしれん。


 さて、これからどうしようか?考えなしに出てきてしまったが、なるべく神の近くにいられるといいのだが……

 いっそのこと神社に勤めてしまうか?巫女がいれば師匠なりになればいいだろうし、いかに妖怪時に劣るとはいえ、今の霊力の大きさに迫る人間などは滅多にいない。力の運用に関しては年季が違う。


 とにかく行動しなければ始まらない。とりあえずは神社の周りでも回って誰かいないか探ってみようか。


 そう思って境内をぶらついていると、一人の巫女服姿の女性が本殿を掃除しているのを見つけた。緑の髪で整った顔立ち、歳は十代半ばくらいであろう。


 あれがこの神社の巫女かと思っていると、いきなり背後に気配を感じた。

 ばっ、と振り向くとそこにいたのは幼女。金髪で見た目十歳くらい。頭に目玉のついた妙な帽子を被っており、にこにこと可愛らしい笑みを浮かべている。

 ただ、最大の特徴は彼女から大きな神力を感じること。つまり彼女がこの神社の祭神ということ。


「おーい、お兄さん。いきなり固まっちゃったけど大丈夫?」


 さすがに彼女の見た目と神力の落差に戸惑って固まっていると、彼女の方から話しかけてきた。


「あぁ、すまない。ちょっと予想外だったから……」


「むぅ、それはどういう意味?もしや私が幼女だっていいたいの!?こう見えて五百年以上生きてるんだよ!」


 過去に見た目のことでからかわれたことでもあるのだろうか。両手を振り上げこちらを威嚇するその姿に威厳など微塵も存在しない。


「は、はぁ、さようで…」


 ますますこの幼女と神が結び付かない。俺の中では神様っていうのは、あのラーみたいな威厳あるものだったんだけどなぁ…


「うーん、それにしてもお兄さん何者?私の力に驚いているようには見えなかったし、人間にしては強い力を持ってるね」


「俺は大陸から渡ってきた妖怪退治屋さ。この辺りに大きな神社があると聞いて、一度見ておこうと思ってね」


「へぇ、大陸かぁ。

 ねえお兄さん、お兄さんはもう仕事は受けてるの?」


「いや、まだだが」


「じゃあ私が依頼をしてあげよう!内容はお兄さんの冒険譚を私に聞かせることと、うちの巫女に大陸の呪術を教えること。報酬は依頼中はお兄さんの寝食をこっちで保証するのでどう?神社で寝泊まりすれば妖怪に寝首をかかれることもないよ」


 おぉ、いきなり好条件で目的達成できたな。


「願ったり叶ったりだ。俺の名前は青だ。こちらからよろしく頼むよ」


「私は洩矢諏訪子、よろしく!」


 両手を上げる諏訪子を見て、自然と手がのびて彼女の頭を帽子越しに撫でていた。

 なぜか帽子の方は気持ちよさそうに目を細めていたが、諏訪子自身は子供扱いされていると思ったのか涙目で見上げてきた。

 というか帽子よ、お前には意志があったのか。

『あ~う~』とか言っているが可愛らしさを助長しているだけである……藍との間にも子供が欲しいなぁ。

 妖怪同士の異種間では滅多なことでは子供が生まれないらしい。

 千年経っても駄目だったから、いっそ妖怪の捨て子でも拾って育ててみるのもいいかもしれない…


 こちらに気づいた巫女が声をかけるまで、涙目の神様とそれを上の空で撫で続ける男という奇妙な光景が続いた。







「初めまして、諏訪子様の巫女をしています東風谷彩音と言います」


「初めまして、今日からしばらく師匠をやらしてもらう青だ。大陸の呪術を中心に教えていくが、こちらからこの土地縁の呪術について質問するかもしれないから、そのときはよろしく頼むよ」


 本殿で向き合って挨拶をする。彩音の霊力だがかなりの量がある。俺といい勝負かもしれない。これなら技術面を補ってやれば優秀な巫女になるだろう。


「いやぁ、助かったよ。最近は不穏な空気が漂ってるから、彩音が力をつけてくれれば心強いよ」


「不穏な空気?」


「そう。なんでも最近は大和の神が信仰を奪いに次々と他の神の社を攻め落としているらしいよ。私は土着神の頂点だから逐一報告は入ってるんだけど、相当の手練れらしいね。

まぁこれは神社同士の戦い、ひいては私と彩音の問題だから青は安心していいよ」


 なるほど、やはり噂は本当だったか。

しかも信仰目当てで侵略しているとなると満足しないで大陸までやって来る可能性も否定出来ないな。

出来れば諏訪子に勝ってもらえればいいんだが…


 さすがに諏訪子並みの神同士の戦いに介入するほど無謀なことをするつもりはないが、彩音を鍛えておけば多少でも勝率は上がるかもしれない。

 それにもし彩音も戦うなら、相手が下級神でも生半可な鍛え方では逆に彩音の命に関わる可能性もある。これからお世話になるのだから、彼女が生き残れるだけの技量をつけてやらねばなるまい。


「よし、世話になる以上全力を尽くして彩音に俺の技術を教えよう。覚悟しろよ?」


「は、はい!よろしくお願いします!」


「よーし、話もついたところでご飯にしよう!

 その後は青の話を聞かせてね。なかなか大陸の話は仕入れられないから楽しみだなぁ」


「大陸ですか…そういえば諏訪子様の使われている武具も確か大陸由来のものでしたよね?」


「あぁ、この鉄の輪のことかい?」


「お、鉄か。確か西方の民族が鉄の武器を使って繁栄した時期があったらしいな。俺も手に入れたかったが極秘機密だったらしくなかなか…」


 諏訪子たちと会話しながら本殿へと向かう。神と同居なんて初めての体験だが退屈はしなくてすみそうだ。俺の話を聞いて楽しそうに笑う諏訪子と、目を丸くする彩音を見てそう思った。



第9話投稿でした。


なんだか最初のころは3日毎とか言っていたのに、最近は毎日連投している奇跡。ここまで来たら力の続く限り連投してみるつもりです。


今回はオリキャラの彩音が登場しました。容姿はまんま早苗、蛇の髪飾りがついていなかったり服が違ったりするくらいです。東風谷の姓は代々諏訪大社の巫女名乗っている設定で。ちなみに彩音も現人神です。


で、アンケートなんですが、読者のみなさんに聞きたいんですが、青の女性関係はどうしたらいいと思いますか?一途な青も好きですが、書き進めていくうちに青に好意をもつ女性を無視するのがつらくなってきたorz

言ってもハーレムみたいではなく、やるなら三~四人くらいで藍が正妻の扱いです。


感想でどちらがいいか書いてもらえると非常に助かります。

よろしくお願いします。

追記:どちらにしても青に惚れるキャラは出ます。

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