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第九日 悪化

ーーーあらすじーーー

昨日、郵便調査局での非番の仕事を遂行したオスカー。その代わり、今日は休暇が設けられた。

ーーー人物紹介ーーー

・オスカー・ガルフィリノ(27)

20代で第77人民正常化部隊の隊長となった。軍に入ったのは、家庭の貧困化によるものであった。

 ..オスカーはまたもや闇市にいた。配給のじゃがいもの3分の1くらいがもう芽が出てきていたからだ。そのせいで食料難となり、また安価な食材を買いに来たのだ。しかし。今日はあまり人が少ないように見える..というか、あのおばあさんはどこに行ったのだろうか?話を聞いてみよう..


 「あぁ、そこのおじいさん?」


 「なんだい?」


 「そちらの隣にいた、あの片目が盲目のおばあさんって..」

 

 「あぁ、彼女は別の闇市に行ったよ。何よりも、最近不作らしいからねぇ..」


 「ふ~ん..というか、おじいさんの商品、全然ないじゃないですか?」


 「もう最近は全然採れなくてねぇ..今はいもが3袋しかないんだよ..」


 「なるほど..ところで、その後ろにある箱はなんですか?」


 「あぁ、これか。知らない人がこれを投げ渡してきてね。金も要求されたから驚いたんだけど、中は大量の野菜だったのさ。」


 「へぇ~..なんでそれを売らないんですか?」


 「まぁ、わしにも生活があるからな。余っているのを売ろうと思うんだ。」


 「そういうことだったんですね~..ありがとうございました。」


 「なんか一個でも買ってくれよ~?」


 「あとで行きますね!」


 「あいよ~」


 オスカーは疑問に思っていた。後ろの箱には、共和国の食料管理庁のスタンプがあったからだ。


 食料管理庁は交通や道路工事などの仕事をする管理省の傘下の庁で、配給や食料の徴収などの仕事をやっているが..その庁から投げ渡した人間は盗んだということなのだろうか..


 それにしても、初めてきたときよりは売店が少なくなっている。衰弱している人間やホームレスがそこら中に倒れて寝ている..


 オスカーがうろうろと周りを見ていたころ、どこかで見たことがある顔を見つけた。クリスティーナだ。あのパルチザンの隊長..


 「..ここで何やっているんですか?」


 「あぁ、オスカーか。何って、ここでもの売ってるが..」


 オスカーが商品を見ると、肉や野菜もあるが..そこには「粉」もあった。


 「..捕まったりとかはしないのですか?」


 「いや、してたらもうここにはいないさ。むしろ、国はこの闇市を支援しているのだがね。」


 「支援って..どういうことなのですか?」


 「はっ、お前はどこまでも純粋だな。いいか?この箱があるだろう?」


 「は、はぁ..」


 「これは食料管理庁からもらったやつさ。そこの腐敗した役人が食料をこっちに持ってきて、こっちが売った金をあげる。単純だろう?」


 「そんなことが..」


 「お前も軍なんてやめて、腐敗した役人と一緒に金転がしすれば?その方が今よりもずっと豊かになれるぞ。」


 「..一旦考えます。」


 そういって、オスカーは闇市をそそくさと去った。


 ..腐敗する役人、週ごとに減少する配給、高級品ばっか持っている上官...もうこれ以上、体制側に居続ける必要はないのかもしれない。

政府は完璧だ!人民よ、安心したまえ!

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