第七日 監視
ーーーあらすじーーー
昨日、とある漁村にて大虐殺を遂げた人民正常化部隊。今日は人民保安省に呼ばれたようだ。
ーーー人物紹介ーーー
・オスカー・ガルフィリノ(27)
20代で第77人民正常化部隊の隊長となった。軍に入ったのは、家庭の貧困化によるものであった。
「オスカー隊長、至急人民保安省に来るように。」
朝に来た電報は単純なのであった。至急という言葉を使うとは、それほど緊急なのだろうと、オスカー隊長は首都へと向かうバスの中で揺れながら考えた。
人民保安省に到着して上官の部屋にいくと、中には上官と2人の衛兵らしき人間がいる。どうも重苦しい空気になっていた。
「座り給え。」
「は、はぁ..」
オスカーが木の椅子に座る。
「まずは結果から話そう。君の父親は..オスカー・フィヨードルフだな?」
「はい、そうですか..私の父の身に何が起きたのでしょうか?」
「そのオスカー・フィヨードルフが、今日連行された。」
「れ、れんこう..?」
一瞬、オスカーはその単語を理解することができなかった。しかし、すぐにその意味を理解した。
「な、なぜですか!なぜ私の父が連行されるようなことを!」
オスカーが暴れようとすると、角にいた衛兵2人がオスカーの肩を抑え、椅子に座らせる。
「落ち着きたまえ。」
「なぜ落ち着けというのですか!あなたの父が連行されたと言われたら、あなたはどう思うのですか!?」
「落ち着けと上官が言っておるのだ!落ち着け!」
衛兵の一人がそう叫ぶ。オスカーは数秒の過呼吸の末、落ち着いて席に座るようになった。
「はぁ、はぁ..」
「ようやく落ち着いたか。衛兵を2人置いといて助かったよ。
「..で、なんで私の父は連行されたのですか..?」
「あぁ、罪状は「パルチザンとの違法な取引」だったのだが..」
オスカーは一気に背筋をピンっと立てた。
「まぁ、あくまで匿名の通報であっただけで別に確定はしていないさ。数週間ぐらい臭い飯を食べたら出てくるだろう。」
「..というか、なんでそんなこと自分に伝えたんですか..」
「そりゃ、家族のことなのだから伝えるのは当たり前だろう。これで報告は終わりだ。兵舎に帰って休んでおいたらどうだ?」
「はい..わかりました..」
オスカーがドアを開け、強く閉める。まるで自分の無力さ、無能さを噛みしめるかのように。
人民保安省からバス停までの道のりで、とあるプロパガンダポスターを発見した。
「家族こそが最重要であり、共和国と同じく守らなければならない」
「隣人を愛せよ、自分を愛せよ。」
..今すぐにポスターを破り捨てたくなった。その気持ちを拳に押し殺して、バス停へと戻った。
帰ったあとも、何か虚無感に包まれたような気がした。ベッドの上で天を見上げているうちに、一瞬で一日が終わってしまった..
人間愛はすべてを超越する。