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人民の代弁者、神の恩寵を受けた我らの指導者に万歳!  作者: こっくん


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14/15

第十四日 崩壊

ーーーあらすじーーー

昨日、オスカーの上官を密告した結果、上官が粛清され、幹部による大汚職がパルチザンの新聞によって発覚した。そして..

ーーー人物紹介ーーー

・オスカー・ガルフィリノ(27)

20代で第77人民正常化部隊の隊長となった。軍に入ったのは、家庭の貧困化によるものであった。

 パルチザンらの朝刊を見た市民たちは、狂信的な人民友愛主義者を除いて不安に感じた。これだけ大きい腐敗となると、株価などが大暴落することなどを心配した。しかし、いざ朝9時から数時間、株式市場を見ていると、少し下落しているとはいえあまり変わっていない。そのため、このパルチザンの新聞はデマと決めつけていた。


 しかし、昼に国営企業である第22株式会社の幹部が逮捕されたという情報が、国営ラジオから流れてきた。政府はこれを機に治安の維持を狙いとしていたが、現実は逆であった。一斉に市民が銀行へ押しかけ、自分たちの僅かながら、しかし重要な金銭を引き出そうとしていた。特権階級の投資家は株式市場に必死に株を売ってくれと懇願している。


 そして、ATMの画面には資金が尽きたという文字が出た瞬間


 「もう終わりだ!誰も助けてくれない!」


 と群衆の一人は叫んだ。そして、炎よりも早く民衆の怒りは頂点に達した。まるでこの前起きた人民広場におけるデモのようであった。


 この状況にオスカーら第77人民正常化部隊は緊急でこの暴動を鎮圧するよう命令が下り、急いでトラックへと向かった。しかし、その暴動を鎮圧する気ははっきり言って部隊の中にはなかった。


 数百メートル近くに停車し、他の部隊が作ったバリケードの先を見ると、そこは地獄であった。


 ATMやゴミ箱、椅子などは倒され、店は燃やされ、群衆は略奪をしていた。正義という槍は、腐敗どころか国家までも貫き、破壊していたのだ。いやむしろ、正義だからこそ真反対であったこの共和国は崩壊の崖っぷちにまで追い込まれているのだろう。


 第77人民正常化部隊がバリケードの前に立って混沌から防衛をしようとしていた時、広場のラジオからこんな声が聞こえてきた。


 「..もう"指導者"の命令に従う必要はない!人民よ、立ち上がれ!数年前からの計画により、我々党幹部8名は党を離脱し、第二都市、ピアにて新政府を立ち上げた!人民防衛隊の諸君も、我々に寝返ることを祈る!」


 ..まるで10分で10年の経験をしたような気分だった。物語のメトロノームが急に速くなっていった。共和国第二の都市、ピアにて党幹部の一部が新政府を立ち上げたというのだ。オスカーら部隊はどうするべきかを考えた。


 そして、自らバリケードを撤去し、混沌の津波に対するダムを自ら破壊した。群衆は疾走し、その様はまるで獲物に向かっていくチーターのようであった。そして、オスカーはそれを見ることしかできなかった。あの一つの密告書が、まさかこんな事態になるなんて、オスカーは想定すらしていなかったのだ。


 すでに反体制派組織は地方の確保に向けて動き出しているだろう。もう、人民防衛隊の制服を着るのは意味がないかもしれない。まず、オスカーが先に制服を脱ぐと、他の隊員もぞくぞくと脱いでいき、トラックへと投げ入れた。


 しかし、これから何をすればいいのか?反体制派と接触?どうやって?群衆と一緒に行動?なぜ銃を持っている?..全員がこのような考えをしていた。


 そんな中、隊員の誰かからの無線機が聞こえてきた。


 「...ブブッ、ブーブーブー、おい、あっちだ!あっちに撃て!」


 「第54部隊が離反した!あのクソったれ共!」


 「あの倉庫の後ろだ、あっちに行け、おい、何やってるんだ!?」


 ..まさに、この街を表したような「混沌」であった。


 そして、津波がいった先を見ると、そこには老人と子供がパン一切れを奪い合ったり、「人民に友愛を!」というプロパガンダポスターが群衆破り捨てられていた。


 ...いまだにオスカーはあの密告書を触り、ペンを握った記憶を忘れられない。友愛はこういうものだったのだ。正義も、友愛も、風に虚しく風に乗っているだけであった。

...

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