6-③ 本気と書いてウルトラ
<アエツ、タカト、ユウト>
ドォォォンッ
土煙の中からアエツが飛び出す。
(ユウトの"服従"の能力でタカトの力を無理やり底上げ!……無茶苦茶な戦い方しやがる!……)
土煙から飛び出したアエツを遠方から狙うユウトの銃撃。
バンッバンッバンッ
アエツはそれを防御のジレで受け、銃撃のあったほうへ狙撃し返す。
「天使の射る矢!」
ドンッ
アエツの放ったビームが着弾と同時に大きな音をたてる。
「ジゼルディラズ!」
ユウトは攻撃を躱わしたのか、ユウトの叫び声の後、別方向から無数の羽根の刃が飛ぶ。
(それに加えて、テンジョウ家の言葉…………!………アイツが実家嫌いで救われてるな!…………護符でも準備されてたら詰んでた!……)
アエツは翼で飛び立ち、羽の刃を躱わすが、躱わしたはずの攻撃が自動追尾してくる。
ドォォォンッ
「女神の閃光!」
羽根の刃がアエツに命中して大きな音をたてた直後、目が眩むほどの閃光があたりを照らす。アエツの姿も確認出来なくなる。
「大天使の注ぐ矢。」
少し離れた、まだ土煙が晴れていない場所。その中にいるであろうタカトを狙って上空から無数の弾丸が降り注いだ。
バンッバンッバンッ
攻撃をしかけている最中のアエツに向かって、ユウトが銃撃をしかける。
(アエツさんは僕の攻撃を無視できない……!ジャンクには効きませんけど、対人なら、効果抜群ですもんね!…………でも、調子乗ってたら……!!)
「天使の射る矢。」
ユウトに向かってアエツの攻撃が放たれる。常人なら躱わせないそれを、ユウトは決死の思いで躱わしていた。
(…………こっちもしっかり狙ってくる……!一撃でもくらえば死ぬ……!…………タカトさんと離れすぎると、確実に僕を仕留めてくる……!…………それに、エネルギーを溜める時間なんて与えてないのに……。平気で大技打ってくるんだから……あの人!………………!)
「ぴぃぃいいいい!」
土煙から飛び出したタカトは、まだ上空にとどまっているアエツに向かって体当たりをする。
「女神の慈悲!」
アエツは翼を球体のように変形させてタカトの攻撃を受けとめた。
ガチンッ ギリギリギリギリ
タカトの全身は青みを帯びていて、体そのものが刃のような攻撃性を持つ。
(ジレは防御に強くない!……タカトさんの攻撃を直接受けると、崩れますよ……!)
ユウトは、タカトの攻撃を受けているアエツに向かって追撃の手榴弾を投げ込んだ。
その様子を目の端で捉えたアエツが言う。
「…………………………大天使の裁き」
「!!!!まずい!!!!タカトさん!!!」
ドカァァァアアアアアン
まるで一度、昼間になったのではないかと思うくらいの眩い閃光と爆発音がする。
ユウトは伏せの姿勢で爆風を何とか受けていた。
「何で打てるんだよだよ?!……ほんと、化け物だな!あの人!!!………………!」
(でも、1番最初ほどの威力はない!……あと、大技の後はエネルギー切れって知ってるんですよ……。)
「ぴぃぃいいいいいいい!」
あの爆撃をどうかわしたのか、タカトは少し距離をとった場所からアエツに向かって羽根の刃を打っていた。
しかし、それをジレのコントロールと身体能力でアエツが躱わす。
(あの2人がやりあってるスキをつく…………!!)
バンッバンッバンッ
ユウトも体制をたてなおして銃撃を加える。
「ジィクリオ!!」ユウト
タカトの全身の青みと光りが強くなる。
「くっそぉ!きっちぃなぁ?!おい!!」
タカトが物凄いスピードでアエツに突っ込む。
ガチンッ
それを一部のジレで受け流したアエツだったが、タカトの攻撃を受けたジレは散り散りになって弾け飛んだ。
「よし!削った!!」
「堕天の殴打!」
キィィンッ ドンッ
アエツは素早くタカトの背後に周りこみ、短く小さな大砲をタカトの背中に近づけると、甲高い音と爆発音と共に、タカトの背面に見えない攻撃があたった。
「タカトさん!!」
「ぴぃぃ!ぴぃ!!」
タカトは大きくよろめいたが、すぐに体制を立て直す。
バンッバンッバンッ
ユウトがアエツに銃撃を加える。アエツがそれを躱わすことで、自然と3人それぞれ、一定の距離が空いた。
「ユウトもやるようになったなぁ!!」
「おかげさまで!でも、喋ってる時間なんて与えませんよ。あなたに時間を与えて良いことなんてないですからね!」
「違うだろ?タカトの電池切れの方が心配なんだろ?!無理すんなよ!」
「ぴぴぃー!」
「まだまだいけるそうですよ?!」
戦闘は激化していく。
――――――――
<イーネ>
息を止めて5分経過した所でイーネは能力を発動させた。
(囲いの端へ…………余計なこと考えると酸素使う……!とにかく進む……!)
何度も能力を発動させ、見えている範囲で最大の移動を繰り返す。
ジリッ
(…………!なんかこの変…………嫌な感じしたな……。)
そう思った所で立ち止まる。辺りを見渡す。既に息を止めてから6分、7分、8分と時間は進んでいた。
(あーやば……。護符…………。)
歩きながら周囲をよく観察する。地面の上なのか、竹の側面なのか、はたまた上空なのか。見たこともない護符とやらを捜索する。
(無茶だったか…………。)
その時だった。
竹の側面に短冊でも掛かってるかのように、白い紙切れの端が見えた。
それが正面から見える位置まで移動する。
そこには、白い長方形の紙に見たこともない文字が書かれていた。
(…………これか?)
その護符を勢いよく剥がしとった。
案外に紙は簡単に取ることができ、手に取って見るとただの紙切れにしか見えない。
「…………っはぁぁ………………!。」
息を止めるのが限界に来て、大きく息を吸い直して呼吸を整えた。
「…………これが……多分護符だよな……。なんの変化も感じねぇけど……。」
(これで外に出れんのか?……それともやっぱ一枚ごときじゃダメか?………………アイツらも、まだドンパチやってやがる…………。どうするか…………。)
スンッ
匂いが変わった。
それが何を意味するのか、イーネは直感的に感じ取っていた。
イーネが不敵に笑う。
きっと、誰かがイーネの表情を見ていたら不気味に思っただろう。それは不敵で、子供のようで、悪いイタズラを思いついたような。心の底から楽しそうな笑みだった。
(……………………馬鹿が!……焦ったなぁ!…………。)




