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6-① 本気と書いてウルトラ

「出口を教えてくれる」というシキとサクヤの前にアエツ、タカト、ユウト、イーネが集まる。

 

「おし、じゃあ教えてくれ!」

 

 バインドワイヤーで拘束されたまま胡座で座るシキとサクヤに、アエツが笑顔で聞いた。2人はお互いの顔を見合わせると、一緒に同じ方向を見て言う。

 

「あっち。」

 

「おお!そうか!ありがとうなぁ!よし!じゃあ行こう!」

 

「まてまてまてまて。」

 

 疑うことなく進もうとするアエツをイーネが止める。

 

「あの顔みて何でそーなる。どっからどう見ても嘘っぱちだろうが……。」

 

 シキとサクヤの表情は、誰がどう見ても嘘をついている子供の表情だった。

 

「ええ?そうかぁ?………………うん……。確かに……。娘も時々あんな顔してるな……。あの顔は悪いことしてる時の顔だ……。」

 

 そこでユウトが子供達に話しかける。

 

「君達も、出口を聞いてないんだね。」

 

「………………。」

 

 2人は答えなかったが、子供というのは表情だけで答えがよく分かる。ユウトの言ったことは当たりのようだった。

 

「おそらく、もし捕まった時にはこう答えなさい。と言われているんでしょう。この子達も出口を知らないんですよ。」

 

「そうかぁ……。なら、やっぱり飛ぶか?!空から見よう!」

 

 アエツがそう言うと、それにシキが答えた。

 

「無駄だよ。」

 

 シキの方に全員の視線が向く。シキは続けて話した。

 

「上から見たって無駄だよ。この場所はユキハル様の護符に囲まれてるんだ。上から見たって出口なんて分からないよ。」

 

 シキの言葉に、ユウトの顔色が悪くなる。「いつのまに……。」と誰にも聞こえない様な声量で呟いていた。

 

 アエツが言う。

 

「うーん。じゃあ、やっぱり、子供達の言う方向に進んでみるか!」

 

「何でそーなるんだよ。」イーネ

 

「だって、ユキハル様の護符に囲まれた中にいて、脱出が難しいんだろ?なぁ?ユウト。」

 

「え?……あ……。そう……ですね……。しかも、その護符で囲われた中をモミジさんの香で満たしているんでしょう……。今の所、僕に打開策は無いですね……。」ユウト

 

「それじゃあ、逆に、この子たちが指し示している方向だけが、俺らに与えられた情報だぁ!そっちにいけば、罠かも知れないが、何かあるかもしれないってことだろ?!」

 

 アエツの言葉に皆んなが沈黙する。


 その提案は真っ当でもあり、非常に危険すぎる手段でもあった。


 さらにアエツが付け加えた。

 

「俺1人で行ってくる!皆んなはここで待っててくれたらいい!」

 

「そ、それは……アエツさん!危険すぎます!それに、モミジさんの能力がある!1人で行って、ここに帰って来れる保証はないですよ?!」

 

 ユウトがそう言うと、アエツはいつになく真剣な眼差しで答えた。

 

「ここは敵さんの術中。立ち止まってるのも危険だ。俺は機動力もあるし、ヤバかったら、もうピカーッて光らせるよ!もう辺り一体ビカーッてなるくらいな!逆に、こっちにこーい!って感じだったら、ビカッビカッビカッってこう、煌めく感じにピカらせてやるよ!それが合図だ!」

 

「それは……。確かに……気づけそうですが……。」


 アエツの目は真剣だった。

 

「俺はお前らを信じてる!お前らも俺を信じてる!進む俺が危険か、ここに残るお前達が危険かは分からんぞ!それに、俺がまんまと罠にはまるなら、お前達が助けてくれ!そんなもんだろう!アハハハハ!」

 

 誰も何も言わなかった。


 正直な所、それしか方法がなく、機動力だけでなく、単純な強さや、応用の効く能力、判断力の高さなど、何を鑑みてもアエツが適任であった。


 ユウトが言う。

 

「……………………絶対助けますけど、絶対死なないで下さいよ……。」

 

「何を言っている。親父はこんな所で死ねんよ。」

 

 アエツは顔に似合わないウインクをすると、ジレを翼の形に変化させる。


 バサッバサッ


 翼を数回はためかせる。

 

「れっつごー!ごまふあざらし!」

 

 ビュンッ

 

 そう言ってアエツはシキとサクヤが示した方向に飛んでいった。

 

「……じゃあ、待ちますか……。」

 

 ユウトがそう言い、他のメンバーはその場で座り込んでアエツからの合図を待つ。


 ――――――――

 それから、どのくらいの時間がたっただろうか。


 どれだけ待ってもアエツからの合図はなかった。

 

「…………おそいな。」イーネ

 

「ぴぴぃ……。」

 

「そうですね……。何の合図も無し……。」ユウト

 

「……やられたか?」イーネ

 

「やられたとしても、何か爪痕残すと思うけどね。あの人なら。そもそも戦闘音も何もないしね……。」ユウト

 

「罠にハマって一撃で死んだ、もあるだろ。」イーネ

 

「考えたくも無いね。」ユウト

 

 ユウトは重い腰をゆっくりと上げ、一度伸びをしてから周囲を見渡した。

 

「ん?………………んんー……。あれ……。」

 

 すると、ユウトはある一点を指差す。


 そこは、アエツが向かった方向とは全く別の場所で、遠くの方に淡くて白い光が漏れていた。

 

 ユウトの指差す方向を確認する為にイーネも立ち上がり、タカトはユウトの肩に止まった。


 イーネが言う。

 

「また罠……か?……。」

 

「うーん……。君たち、この光が何か知ってるの?」

 

 ユウトがシキとサクヤにそう聞くと、2人とも口を揃えて言う。

 

「知らねー。」「知らないよ。」

 

 どうやら、その言葉は嘘では無さそうで、ユウトが話す。

 

「うーん。僕達の選択肢は3つ。イチ、全員であの光の元へ行く。ニ、ここでひたすら待つ。サン、二手に分かれる。」

 

「それ、全員で行く場合は、このガキどーすんだ。」

 

「そこだよね。連れてって戦闘になったら、子供達に構ってなんてられないだろうし、下手すれば、2人を解放されて相手の手札を増やすことになる。子供達を置いていってもそうだよね。なんなら、前後で挟み撃ちにされるかも。きっと、この子達を人質にするっていう戦法は通用しないだろうしね。」

 

「二手に分かれる場合は、このガキの子守側と、あの光りに進む側……。そーやって、1人ずつ散り散りにされて、1人ずつやられていく落ちじゃねーの?」

 

「まぁ、相手にしてやられてる感はあるよね。」

 

 二人は暫く考えこむ。タカトはというと、顔はキリっとさせているが、何も考えてはいなさそうだった。ユウトが言う。

 

「僕としては、僕とタカトさんで、あの光の方へいく。ここにイーネが残る。かな。」

 

「……………………。まぁ、消去法でな。」

 

「危険があった時、何か問題があった時の合図は、タカトさんの鳴き声だ。だいぶ遠くまで聞こえるとは思うよ。」

 

「ま、その約束が無いよりはマシかもな。そんな約束して、音沙汰のねぇ奴が既にいるけどな。」

 

 タカトを肩に乗せたまま、ユウトは淡い光りが見える方に進みだした。


 数歩進んだ所で、ユウトは立ち止まってイーネの方を見る。

 

「頼むから死なないでくれよ。」

 

「どー考えてもこっちのセリフだろ。」

 

「ぴぴぃ!」

 

 ユウトは光の方へ進んで行く。暫くすると、ユウトの後ろ姿は完全に見えなくなった。


 イーネはまた地面にあぐらをかいて座り、ただただ合図を待つ。


 ――――――――――

 タカトを肩に乗せてユウトは竹林の中を進む。


 目指す先の白くて淡い光は着実に近くなっていた。

 

 月明かりしかない竹林の中を光だけを頼りに進む。

 

 白い光は少しずつだが全容が見えてきて、一点の光だったものは、徐々に半円状に形をかえる。

 

 さらに進む。


 光は近づく程に強くなり、光の中心の何かも照らしていた。


 ユウトはまだ暫く進み、光の全容が見えた所で歩みを止めた。


 いや、本当はもう少し手間から気づいていたが、ちゃんと"話し"ができる所まで歩みを止めなかったのだ。

 

「………………………………。」

 

 光の正体は大砲の様な形をしており、それが4つ、半円状に浮かんでいた。

 

「………………アエツさん。」

 

 そのジレの中心でアエツが、覚悟を決めた目をして立っていた。

 

「…………………………どーゆーことですか。」

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