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世界を守る者  作者: Ria
1/1

転生

「.....んぅぅ....

ある日の深夜、一人の少年が目を覚ました。

(なんだろう....いつもこんな時間に起きないのに。

んぅ...おかあさん?いつも朝帰りでこんな時間にいないのにどうしたんだろ...

それに笑ってる...?なんでだろう、いいことでもあったのかな。)


「フフッ...ごめんね、私のために...いや、私たちのために死んでちょうだい?」

(えっ?なにいって....)

そういって、少年が母と呼ぶ人は片手に包丁を持ち大きく振りかぶった。


(包丁....?なんで...!!避けられない!)

少年の母親は片手に持った包丁を両手に握り直し、少年の体を確実に殺さんと

深く刺した。


「ッ!! 痛いよ...な..なんで...おかあさん...」

少年は刺されたところから大量の血を流しながら、なんでと繰り返し母親に

問い続けた。


「なんでって....何を当たり前のことを聞くの?あなたが邪魔だからに決まってるじゃない」

そういい母親は少年を見下ろしながら言った。

少年はその言葉を聞いて涙が止まらなかった。頬から零れ落ちる水滴が

止まることなく、流れ続けている。


「ッッ!!!ぅぅ....!」

(声が出ない...苦しい。息もできない!!痛くて体も動かせない!

なんで..なんで....なんで!!なんで僕はこんな痛い思いをしなくちゃいけないの?いい子にしていたのに!)

少年は刺された痛みで言葉を発すことも耳で聞くことも、体を動かすこともできなかった。

それに加え、少しずつではあるが、呼吸もできなくなり苦しかった。

呼吸ができない苦しみから動けば、刺された箇所から激痛が走り、血液が

絶え間なく流れ出てくる。

少年はこの世で最も痛く、苦しく辛い、数十分を体感している。


(苦しい...なんで僕がこんな目に...なんで...)

少年の視界が少しずつ暗くなっていく。少年の心の中にはこれから

自分は死ぬんだと。そんな気持ちで溢れかえっていた。)


「殺してやる...もう信用しない...誰も!誰も!!昔は優しかったお母さんも

今では僕を手にかけるほどクソになった!結局は子であろうと自分しか

考えてない!!偽善だ。もう俺は...誰も信用しない。)

少年の視界がすべて暗黒に染まろうとした時。ふと自分を包丁で刺した

時に言われた言葉が頭の中をずっと残っている。

「邪魔だからに決まってるじゃない」と。きっと走馬灯だろう。

その言葉が過り、少年の中ではすべてが壊れた。


刺した母親は自分の子を包丁で刺した後邪魔、と吐き捨て逃げるように

去っていた。

だが。誰もいないはずの少年の亡骸の横には一つの影があった。


「いいじゃねぇかぁ!!その殺意!!だが、可哀想だなぁ。

実の母親に邪魔と言われ殺されるとは。これほどの殺意を逃せば、こんな機会

今後来ないだろう。あのクソ野郎共がいる限り俺は何もできないが、

このガキを転生させるだけの力はある。

そうすればいずれは....そうと決まればやるか。いい拾いもんをしたぜ。)

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