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第9話∶蟻

 

 しばらくすると、依頼主と団の代表のような人物が現れ、軽く依頼についての説明がされる。

 主に、施設についての説明が行われた。

 説明が終わり、食糧は支給され、すぐに食べれるとのことで、エール達は食事をしようとする。

 出された食べ物はなかなか豪勢であり、ほとんど宴のようなものだった。

 そして特にその日は何もなく、与えられたテントで一日を終える。


 次の日、太陽がもう少しで頂点に到達しようとしている頃。


「蟻が来たぞ〜!!!!」


 そろそろ来るから準備をするように言われたため、エール達は準備を済まており、いつでも戦闘ができるようにしていた。

 すると麦畑の近くの森から、黒い人影のようなものが見えてくる。


 エールはよく目を凝らすと、人と同じ程の背丈を持った二足歩行の蟻が軍隊のようにこちらへと向かっていた。

 エールはどうしたら良いのかと周りの様子を伺うと───


「うおおおおおおおお!」

「行け〜!!!」


 ───それぞれが自由に突撃をしていた。

 エールは少し遅れて、突撃する勇士達の背を追う。

 進むに連れて勇士達は散らばり、ちらほらと戦闘が始まる。

 エールも遅れて森に近づくなり、戦闘になる。


(ジャイアントとか言ってたっけ?なかなか硬くて手強そうだな…)


 ジャイアントと呼ばれているらしい巨大な蟻は、顎をカチカチ鳴らし、腹の辺りからはギィギィと音を出している。


(…どう来る?)


 エールは相手の出方を伺っている。

 そうしていると、横から慌ただしい足音が聞こえてくる。

 ジャイアントはエールに集中していて迫りくる足音に気付いていない様子だ。


「どけっ!」


 横から槍を持った男がエールと相対しているジャイアントを蹴り飛ばし、颯爽と駆けていく。

 突然のまさかの出来事に、何が起きたのか分からず、エールもジャイアントも混乱する。

 しばらく間があり、お互いに見つめ合う。

 蹴り飛ばされたジャイアントは、触角をしきりに動かすと、エールに身体を向ける。

 これは────


(怒ってらっしゃる?)


 ────怒り心頭、いや怒髪天、その言葉が相応しい。

 姿形、言語の違いがあれどもわかる。

 エールに向けられているのは、触角だけでなく怒り。いや、これが殺意なのかもしれない。

 そんな意志にエールの全身の毛が逆立つのを感じる。


 鋭く強靭な顎がエールに襲いかかる。

 エールは鞘から剣を抜くとそのまま防御する。顎の強さが、剣越しに伝わってくる。

 エールはジャイアント胸を蹴り距離を取る。

 十分な距離は取れたが、蹴りでの攻撃はあまり効果がなかった様子だ。


(攻撃が効いてない?いや、当たりどころが悪かった?)


 そのまま向かってくるジャイアントの顎や足を躱して、今度は少し下の腹部を蹴り上げる。

 すると今度は攻撃が効いたのか後退り、そのままどこかへ逃げていく。


(胸は硬いけど、腹は柔らかくて内臓に攻撃が伝わりやすいのかな?)


 そう考えていると、次々にジャイアントがエールの前に現れる。


(…これは…撃退だけじゃ厳しそうだな…)


 襲いかかるジャイアントの攻撃を避け、首を切りつける。

 細い首はそこまで硬い訳では無いが、切り離すには相当な力が必要だ。

 ジャイアントは即座にエールの剣を掴み、エールに噛み付こうとする。


(…まずい!)


 この距離は避けられないと思い、エールはこの状況をどう切り抜けるか考える。すると突然、横から炎の槍のようなものが横切る。


「熱っつ!あっぶな!」


 思わず振り返ると、チアは片手で、指揮杖の様なをかざしていた。

 そしてエールは急な熱気に驚いただけで、そこまで危ないわけでも熱くもなかった。


「エール!大丈夫?援護するよ!」

(そういえばチア、魔術師なんだ…知らなかった………)


 チアを心強く思いながら敵の方へ向き直ると、炎を恐ろしく思ってか、あたふたと逃げ出そうとしていた。


(案外、どこの世界も命は大事なんだな…)


ジャイアントの慌てふためく様子に、なんだか微笑ましい気持ちになり、その姿を見送る。


 ジャイアントを見逃すと、周りを見渡す。

 そうしてエールは次の場所へと、ジャイアントの撃退に向かう。

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