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第7話∶準備

 

 しなくてはならないことや、管理の甘さを反省しているエールだったが、そうしていると今度は、依頼の受注がチアについていくだけで終わってしまった。このままではチアにおんぶに抱っこになってしまうということに、エールは大きな不安を感じている。


 今度は鍛冶屋に向かうようで、チアは駆け始めた。


「行くよ!早く!」


 満面の笑顔でそう言う。何故こんなにも急かされているのだろうか。そんなことを思いながらもエールは付いていく。


「無邪気すぎるな…チア…」


 天真爛漫なチアに、振り回されっぱなしのエールであった。


「エール!早く!」

「今行くよ〜」


 鍛冶屋に着くと、そこには多種多様な武器が飾られており、未だ見ぬ戦いを連想させる。

 その中でエールは大鋏に目が留まる。

 こんな武器もあるのか、そう思っているとエールは声をかけられる。


「坊主、触ってみるか?」

「えっ、いいの?」

「ああ…重いぞ、その両手剣」

「あっ、両手剣」


 視線の少し下に飾られていた両手剣の話であることに、エールは少しショックを受けるが、胸は高鳴っていた。

 無愛想な雰囲気を感じさせる、店主と思しき人物は、両手剣を軽そうに持ち上げるとその場に突き刺し、そのまま両手剣は沈む。


「抜いてみろ、坊主」


 試すようなこと言うなぁ、と思いつつもエールは柄に手を掛ける。

 しかし───


(この剣重いぞ、抜けるのか?いや、そもそも持てるのか?)


 ───そう思わせる程、両手剣は深く突き刺さっていて動かない。


「どうだ?重いだろう?」

(相変わらず試すようなことを言ってくるなぁ…

 でもまだ、もう少し…諦めたくない)


 そうしていると、少しだけ両手剣が上がる。


(くっ…だめか、ここまでだ)


 エールは柄から手を離す。

 そして店主の顔を見ると、驚いたような、何かを思案するような顔をしていた。

 そしてそのまま、店主は店の奥へと消える。

 エールはチアの顔を見ると、チアも何かわかっていない様子だ。

 少し待っていると、店主が帰ってくると何やら武器を抱えていた。


「坊主、試すようなことして悪かったな」


 そう言うとレバーのような物がついていて、一番上に紐のようなものがあり先端が折られている棍棒を見せられる。


「クラウンマンティスと鉄毒蜘蛛の大鎌だ、普段は棒に見えるが、ここを引くと大鎌になる。」


 そう言ってレバーを引くと、刃が出て大鎌になった。

 この大鎌は峰の部分にも刃がある大鎌で、突くように動かしても切り裂く事ができそうだ。


「柄の中に鉄毒蜘蛛の糸が入っていて、更にレバーを引くと両手剣にもなる、見た目は歪だが、切れ味もよく、見た目よりだいぶ軽い、どうだ?こっちの防具は────」


(無口で無愛想な人かと思ってたけど、すごい喋るな…)

「どうだ?坊主、試した詫びにお代はいらん」

「あ、じゃあ片手剣で」

「そうか…………」


 少し悲しそうな顔であった。


 そんなこともありつつ、エールは片手剣と短剣を手に入れる。

 一度言ってしまったからなのか、詫びの証だ、お代はいらん、今度素材を持って来いと、その一点張りであった。


 防具の方は、この辺では極端に体を軽くするか、重い装備の方が良いとのことで、服の中に楔帷子を着けるだけになった。

 店を離れるとチアが口を開く。


「エールは好かれる才能があるのかな?あの人ドワードっていう人なんだけどね、無愛想で有名なんだよ?」


 エールは貰った業物そうな剣を見ながら、話し相手がいないだけなんじゃ、と思ったが、言わないことにした。

 彼には格好良いおじいさんでいて欲しい。

 理想と現実のギャップに、エールは苦笑いをする。


(コミュニケーションって難しいよな…)


 ふと思い空を見上げると、夕暮れ空が待っていた。


(お金って、どうするつもりだったんだろ…チアが払う気だったのかな…勇者よりヒモの道の方が近いかもな…)


 勇者までの道のりはまだ遠い。

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