殺し屋「金魚」の誤算
私は超能力を使う超一流の殺し屋、コードネームは「金魚」…変な二つ名だけど、その意味は後で。
今度の依頼は大仕事、相棒が必要よ。私がパートナーに指名したのはコードネーム「コイコイ」という同業者。顔見知りでもお互いコードの謂れを話したことはないわ。
ネクタイの模様から察するに、花札に由来するんじゃないかしら。
彼を指名したのは…ウフフ、恥ずっ!恋しちゃったからなのです。
切れるし、渋いし、何より顔が好み…。この仕事の後に必ず仕留めてみせるわ。殺し屋だけに。
コイコイとの仕事はあっという間に片付いた。
さすがにいい仕事するわ。頼りになるとこも超好み。
暴力団員の死体がたくさん転がっている現場を始末屋にまかせ、私と彼は近くのバーで祝杯よ。いつもだったら絶対ないけどね。今夜は特別。
「金魚、お前の超能力は噂では聞いてたけど、びっくりしたよ」
「照れるわ。あなたは古典的にナイフだったけど」
私の超能力は「金魚迷惑」…私の唇から発射された黒い金魚が標的に当たるとすぐ酸欠になって顔は真っ黒、目玉が飛び出て『黒出目金』のようになって死ぬわ。
赤い金魚はもっと悲惨で体中の穴から血を吹いて『緋蘭鋳』状態で亡くなるわけ。
「怖い女だな」
「コイコイ、私の恋人になって」
彼が眼を丸くして首を振る。
「冗談だろ。俺は妻帯者だぞ」
「知ってる。でもあなたは私のモノよ。チュッ」
私は奥の手のピンク金魚を飛ばした。
「何だ。これは」
「私の秘密兵器。『金魚日の妻』よ。あなたは不倫をしたくなる」
ゆっくり金魚が彼の方へ…ターゲットを追尾する恋のミサイルなの。
彼がため息をついたわ。あきらめがいいわね。
「仕方ない。俺も切り札を出すとしよう」
彼が欠伸のように口を開けると中から大きな鯉が現れた。
「これは」
「これが俺の能力だ。お前と似ているけれど金魚より強力だぞ」
錦鯉が空中を泳いでやって来る。すれ違った私の金魚が彼に命中した。
少し顔をしかめる彼のコードは…
「コイコイ…」
「そう、俺の名の由来だ。そしてこいつは『鯉の奴隷』。俺はお前を好きになったが…お前には俺の奴隷となってもらうぞ」
あらまあ。鯉の…いいえ、恋の罠に落ちた私だけど別に全然嫌じゃないのでした♡
読んでいただきありがとうございました。
書き直しても書き直しても1500文字から減らなくて。でも無理矢理1000文字以内にして読み直してみると…特に変わらないのですね。いかにいつもダラダラと余分な表現をしているかという。