表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/130

第43話 達成報告


「それにしても、分からないんだよなぁ……」


 受付場所へ向かう途中、考え事をしてつい呟く。

 分からないこと、それは俺がエリザへ抱いた意外な感情とエリザの急な態度の変化である。

 俺の方は現状不明のままだがエリザに関してはなんとなくだが心当たりがあり、それは「ゆるしの言葉」が関係しているのではないかと推測。

 すると、何故か同行するシャカが一言。


「あぁ、そりゃあジアン症候群だな」


「ジアン症候群? それは……って何故俺の考えていることを!?」


「あぁ? 何故ってお前、ブツブツ独り言呟いてたじゃねぇか」


「!?」


 シャカに独り言を聞かれ恥ずかしくはあったのだが、そのお陰で「ジアン症候群」の存在を知れた。

 ジアン症候群とは、憤怒・嫌悪・悲嘆・恐怖などによる重度のストレスが一気に解消されたとき、その原因や対象に真逆の感情を抱くという心理現象らしい。


「なるほど……つまり、俺の中でエリザさんは恐怖の対象では無くなったというわけか……」


「まぁ、そういうことだな。エリザの方は多分、ノビィ症候群に罹ったんだろう」


「ノビィ症候群? なんです、それ?」


「あぁ、ノビィ症候群ってのはーー」


 シャカから「ノビィ症候群」のことを教えてもらうことに。

 ノビィ症候群とは、憤怒・嫌悪・悲嘆・恐怖などにより過度のストレスが一気に掛かったとき、その原因や対象に真逆の感情を抱くという心理現象のようだ。


 どうやらこの2つの心理現象は、冒険者やそれに関わる人が罹りやすいらしく、巷では「冒険者病」と呼ばれているとのこと。



「そうですか……なら、エリザさんがソレに罹った原因はやっぱり……」


「あぁ、ゆるしの言葉だろうな……」


「ですよね……そうか、あのエリザさんが俺にストレスを……」


「……」

(まぁ、今はストレスっていうか、もっと甘いもんだけどな……)


「……」

(この切なくて苦しい感情は、本当にストレスからなの……?)


 俺が途中から独り言を呟いても2人からの反応は無く、どうやら無言で何かを考えているようだ。


(2人は一体何を考えているんだろう……?)




 それぞれが考え事をする間に受付場所まで到着し、早速エリザは受付台の向こう側へ移動して行く。


「そんじゃあ、俺様は戻るからな」


 そう言って自室へ戻るシャカ。

 本当に何故同行してきたのだろうか?



「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


 到着して早々、仕事モードに入るエリザ。

 そこで架空依頼ではなく代わりに貰った依頼を受注、そして達成報告を。

 実物確認のため、黒箱から浄化草を1本だけ取り出しエリザへ手渡す。


「……これは、確かに浄化草だわ……!?」


 実物を見ても未だに信じられないようで、様々な角度から浄化草を凝視するエリザ。

 その様子を眺め、誇らしげな表情をする俺。



(……ん? 背後から視線を感じる……?)


 そう思い後ろへ振り返ると、広場にいた冒険者達がいつの間にか戻ってきており、俺の達成報告を遠目から覗いていた。

 全員では無いが、少なくとも30人はいるだろう。


「何故、こんなに集まってるんだ……?」


 注目されている理由が分からずそのまま放置していると、1人の男が俺の隣に来て呟くのであった……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ