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第41話 日陰者の神


「……言い忘れていたが、この話は絶対に、絶っ対に、口外するなよ?」


「はい! 絶対に!」


「ならよし! そんじゃあ、先ずはーー」


 こうして、シャカから俺の髪色についてと、俺が無能と呼ばれる理由を聞かされることとなる……



 この世界『ガンダルシア』には5柱の神が存在し、その中でも一般的に知られているのが、地の神・水の神・火の神・風の神による計4柱。

 そして残りの1柱が空の神『ネロス』通称「日陰者の神」と呼ばれており、その神こそが今件の俺が無能と見下され蔑まれる元凶のようだ。


(5柱目の神様がいたなんて初耳だ……あれ? でも何故、そのネロス神が元凶なんだろう……?)


 ネロス神は他の4神とは違い、下界に天啓や恩恵をほぼ与えないという怠惰な神のようで、この国の神殿や教会ではネロス神に関する話が禁句となるほどに聖職者達から嫌悪されており、しかもネロス神は黒髪なので黒髪の者が神聖な場所へ入ると、必ず白い目で見られ唾を吐かれてしまうとのこと。

 なお、聖職者達の頂点である教皇が『黒髪無能説』つまり「黒髪は無能者の証である」と説いたらしい。


(ネロス神が黒髪だから俺まで無能者扱いされているわけかぁ……うーん、釈然としない……)


 冒険者ギルドは教会から援助を受けているので、黒髪無能説がより顕著になっている様子。


(だからエリザさん達はあんなにも俺を無能と呼んでいたのか……でも、主導者は一体誰なんだ……?)



 残る疑問はあるが、ある程度の納得もできた。

 すると、シャカがある情報を話し出す。


「実はお前の名前にも由来する事なんだがーー」


 ある情報とは、この国『ファウスト』より西方に『セイド』という国があり、その国には黒髪の者だけが住む村が存在するという。

 そしてその村では生まれた男子に必ず「○○ロス」と名付けるようで、その理由は村全体がネロス神を崇拝しているため、崇拝するネロス神の名から頂いて名付けているそうだ。


「でも、何故ギルマスがその情報を?」


「ん? あぁ、俺様が超現役冒険者の頃に、その村出身の奴と超出会ったことがあってな……」


「因みにその人の名はなんと?」


「あぁ、なんだっけなぁ……? 確か、カルロス……だったな」


「カルロスさんですね? 分かりました、ありがとうございます」


「お、おぉ……もしかして、その村に超行くつもりか?」


「……分かりません」


「……そうか、分かった」


 今の会話で村へ行こうとしていることがバレているとは思うが、この国にとって俺は重要な存在ではないので何も問題は無い。

 そのことを理解しているからこそ、シャカは何も言い返さずに黙認してくれたのだろう。


(とは言え、今すぐに村へ行くつもりはないけど……)


 一人考え事をするなか、シャカが別の話題で話し掛けてきた。


「そういやお前、なんか極秘任務の依頼を超受けてたんだって?」


「……はっ!? そうだ! また忘れてた!」


「忘れてたのか……そうか……」


「??」


 シャカの神妙な面持ちにより、底知れない不安感が漂い出すのであった……


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