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第35話 明確な殺意


「さぁ、いつでもいいぞ?」


 挑発というほどではないが、気心の知れた相手なので臆することなく言える台詞だ。


「その挑発に乗せられてやるよ!」


 どうやらミカゲには挑発の台詞に聞こえたらしく、早速仕掛けてくるようで、当のミカゲは地面に片膝と右手を突いて迅速に魔法を唱える。


「行け! シャドーメイク!」


 ミカゲの足元から影が這い広がり、俺の足回りは影で埋め尽くされる。


「喰らえ! シャドースティング!」


「!?」


 ミカゲが魔法を唱えると同時に影から殺気を感じたため、咄嗟に俺は影の鎖を引き千切り空中へ跳ぶ。

 すると、跳んだ直後に影の中から無数の影の棘が飛び出してきた……が、それを読んでの事前回避であった。


「!? こ、この感覚は……そんな……」


 ミカゲは本気で俺を殺す気のようで、明確な殺意をミカゲ本人から感じ取れる。

 しかも今の魔法は、黒葬ほどではないが殺傷力の高い闇属性魔法のようで、直撃すれば確実に致命傷となり得るだろう。



「はぁ!? 嘘だろ!? なんでコレを避けれんだよ!?」


 どうやら先程の攻撃で倒したかったらしい。

 だがそれよりも、殺したいほどに疎まれていた事実を知ってショックを受けた自分がいる。


「ミカゲ……そこまでセリーヌのことを……」


 余程惚れているのだろう。

 俺という存在が邪魔で邪魔で仕様がないことが今の攻撃で充分に理解できた。

 しかし、俺もただで負けるわけにもいかず、無論死にたくもない。

 それに死よりも何よりも、セリーヌの前では負けたくないのだ。

 そのことを考えた瞬間、勝たなければと気力が湧き、空中にいる状態だが狙いを定めて即座に魔法を唱えていた。



「俺は絶対に負けない! 雷霆らいてい!」


 上空から猛烈な電雷がミカゲに目掛けて落下する。

 

「なんだ!? これはヤバーー」


 落下した雷霆により地面は深く抉れて土埃が立ち、そしてミカゲの姿が完全に見えなくなった。


「うーん、やり過ぎたかな……」


 そう呟いたあと、地面に着地してはミカゲの様子を見ることに。



「な、なんなの……なんなのよ! この魔法は!?」


 エリザが取り乱しながら俺に問う。


「これが、今ある俺の実力です……」


 俺の座右の銘でもある「驕らず謙虚であれ」の精神を以ってエリザに返答する。


「あ、あり得ない……絶対にあり得ないわ! あなたみたいな無能がこんな実力を持つなんて!」


(そんな必死になるなんて……そこまでして認めたくないのか……)


 頑なに俺を認めようとしないエリザに対して、悲しみよりも憐れみの眼差しを向ける。


「やっ、やめなさい! そんな目で私を見ないで!」


 今のエリザにはいつもの傲慢で高飛車な姿が見られず、それでも一応は強気な態度を取っているようだが、あれはただ虚勢を張っているだけであろう。


「……」

(エリザさん……何故そこまで……)


 エリザを見つめながら考え事をしていると、雷霆が落下した場所からミカゲの声が聞こえてきた。


「あぁ、くそぉ……本気で死ぬかと思ったぞぉ……」


 その力無い言葉の直後、ひび割れした影の球体が粉々に砕け、球体の中にいたミカゲが姿を現す。


「ははっ、よかったぁ……!」


 ミカゲの姿を確認すると、悪態ではなく安堵の言葉を思わず呟いていた……


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