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第31話 実力の証明


「……フフッ……」


 セリーヌは尚も怪し気な微笑みを見せる。

 俺も含め、その場にいる全員がセリーヌの言葉を待つことに。

 すると、先程までの笑顔から一変、真顔となったセリーヌが口を開く。


「……そうです。私が受けた依頼です」


『!?』


 その発言によりギルド内は皆騒然。

 エリザに至っては自慢げに「ほら見たことか!」と言いたげな表情を見せる。



「せ、セリーヌ? 何故、そんな嘘を……?」


「キュロス、ごめんね?」


 謝るセリーヌの表情は、何か吹っ切れたかのように明るかった。


「ほらね? これであなたが嘘を付いていたことが証明されたわよ? それで? 何か弁解はあるのかしら?」


「い、いや、はい……これは、確かに俺が……」


「はぁ、本当に見苦しいわね? これだから無能は……はぁ」


『……本当だよな……無能のくせに……見苦しいわよね……』


 エリザの言葉を皮切りに、その場にいる冒険者達も好き勝手に喋り出す。

 そうしたなか、その場で喋らないのはセリーヌただ1人。


(ど、どうすれば良いんだ? この状況を打開する方法は……?)


 戦闘時とは違い、打開策は全く閃かず。

 しかし、それでも俺は諦めずに方法を考え続けていると、傍観するセリーヌからまさかの言葉が。


「……嘘です。私はその様な依頼は受けていません」


『!?』


 セリーヌの発言に皆唖然とする。勿論、俺やエリザもである。

 その唖然とする最中、尚もセリーヌは発言を続けた。


「そもそも極秘任務の依頼なんですよね? それなら、私が知るわけがないじゃないですか?」


 そのもっともな発言に、エリザは狼狽えながらもセリーヌへ問う。


「な、何を言ってるの……? 何故、そんな冗談を……?」


 エリザからの問いに対して、セリーヌは謎の返答を。


「皆の唖然とする姿が見たくて? なんてね。まぁ、冗談抜きにキュロスを試したかったのよ」


「この無能を……試す……?」


「そう、あなた達が無能と見下し蔑むキュロスが、本当は誰よりも凄い人だってことを証明するためにね?」


『??』


 エリザだけではなく、俺や他の冒険者達も誰一人として理解できずにいた。


「ふふっ、それでは試してみませんか? 今のキュロスの実力を」


「!? えぇ、いいわよ? この無能の実力とやらを見せてもらおうじゃない?」


 セリーヌと張り合うエリザの発言により、これから俺は己の実力を示すこととなった。



(これは……チャンスなのか? でも、セリーヌは一体何故……?)


 セリーヌの行動を全く理解できないまま、どのように実力を示すかを考え始める……とその時、1人の冒険者が名乗りを上げた。


「この俺様が、無能で落ちこぼれなお前を試してやるぜ!」


 その男は「トサック」というCランク冒険者らしく、以前から俺の存在を疎ましく感じていたようだ。

 因みに渾名は「トサカ」とのこと。


「それじゃあ外で試してやる! ついてきな!」


「……は、はい……」

(……ま、マズい……緊張してきた……)


 緊張しながらも無言で頷き、トサックの後を付いていく。

 そして緊張を抑えるように、ニカナの入る御守袋をギュッと握り締めるのであった……


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