新たな敵
通常の刑事事件も彼らの活躍で解決されていた。
テロ事件とはかけ離れた扱いに不満を募らせる。
「警察だけじゃ何もできないのか」
シュンは声を荒げる。
「テロは起きてないし難事件も解決できたからいいじゃないか」
ジョーはシュンをなだめるが疑問を抱く苛立ちは隠せなかった。
「自分の能力が発揮できないのは分かるけどな」
リョウもまた手持ち無沙汰を感じていた。
「おまえもそう思うのか」
「フフッ」
お互い共感したのか口元が緩む。
「まあ、変な仲間意識ね」
ケイが言うと場が和んた。
海外で起きているテロ行為。
反政府、右翼、革命家、宗教とさまざまだ。
その海外のテロ集団が日本に入国するのではという情報があった。
日本の周りは海。
不審な船が近づくのもしばしばある。
大半は密漁だが漁船とは違い武器を装着している。
海上保安庁の船が近づいた時も攻撃を受けている。
中には工作員の可能性があり、海上自衛隊も目を光らせている。
千葉沖で怪しい船がいると情報が入る。
禁漁区域で密漁の可能性もある。
そこでサイボーグたちも一緒に調査として巡視艇に乗りこんだ。
一見、漁船のように見える。
リンは透視能力で漁船を調べた。
「機関銃とか装備しているわね」
やはり武器を搭載していた。
さらにリンは
「彼らも小銃を持っている。うかつに近寄らないほうがいいかも」
「まずは通信を阻止しよう」
ジョーが言うとリンはアタッシュケースから電波感知器を取り出し漁船に使われている無線の周波数を突き止める。
リンの電波遮断波で無線の機能を停止させた。
「無線がおかしいぞ」
漁船の乗組員が無線機のスイッチを何度も確かめるが作動しない。
ジョーは針の穴も通すレーザーで漁船の機関銃を破壊。
乗組員は慌てる。
ケイは液状化となり漁船に忍び込む。
警戒する中シュンは漁船に向け糸状のネットを張り巡らせ自ら漁船の屋根へ飛び乗った。
「誰だ!」
乗組員が物音に気付くと銃を取り出した。
乗組員は三人。
各所持する銃にジョーはレーザを放つ。
「あっ」
たじろぐ乗組員にシュンはワイヤーネットで金縛りにさせる。
そこへ海上保安員と自衛隊が乗りこみ三人を確保。
サイボーグたちは確保を確認すると瞬間移動で漁船から離れた。
「密入国と銃刀法違反の疑いで逮捕する」
捕まった三人は悪びれる様子はない。
「我々を捕まえても、空港では何人来たのか分かるまい」
彼らはオトリかも知れない。
空港でも厳重に警備されているがテロリストが入国してないとは限らない。
サイボーグたちは早急に空港へ向かった。
ケイの運転する特別車内。
「なるほど能力を活かして犯人逮捕か。だが、まだ甘いかも知れないな」
今回は出番がなかったリョウは言う。
空港の情報は全くの無のままだった。
そんな中、警察機関の一部が爆破された事件が起こった。
「なに?もうすでに侵入しているのか?」
防衛省、警視庁が色めき立つ。
空港へ向かっていたサイボーグたちも現場へ切り替えた。
現場へ着くと爆破物の破片を調べる。
特に軍で使用されている物でなく一般的に手に入るものだ。
「なるぼど、部品を組み合わせたのか」
ジョーは破片を手にして言う。
「普通に家電を持ち込まれたら分からないな」
リンは赤外線を使い痕跡を追う。
「どうやら一か所に滞在してないようね」
「連絡を取り合い爆破物を作り、仕掛けるのは個人だろう」
ケイは犯人の行動を分析する。
「足跡は残っているだろ。データを共有し各個人で足取りを追おう」
サイボーグたちは手分けをして捜査にはいった。
潜伏されていると思われるホテルやアパートを捜査すると幸いにも都内に集中していた。
移動するのに時間がかかっては実行にズレが生じるからだ。
それに長距離の移動は特定されやすい。
「それはそうと次はどこが狙われるかだ」
シュンは軽く拳を握る。
「警視庁は関連施設を警備してるというが」
「いや、個人まで広げると相当な数になるぞ」
「彼らにとって一番厄介と思われるのはないか」
リンは警視庁のデータによる犯罪履歴を調べる。
「首謀者はこいつか」
データの中からリーダーと思われる人物を割り出す。
「でも何かおかしいわ」
人物像、経歴、犯罪歴などがまちまちだ。
パスポートも複数使われて入国した形跡もある。
「これは偽造集団もいるな」
米国出身のリョウが言う。
「アメリカのテロリストも身分は明かさないそうだ」
「そうなると厄介だな」
シュンは腕を組む。