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つづくゆめじを3

 跨る天馬が、こちらの意を汲んで翼を一度羽ばたかせ、滑空するようにして緩やかに進行方向を変えていく。

 草原を割く地肌へと向けて、徐々に高度を下げていくのを気楽な面持ちで眺めていれば、やがてふわりと優しく降り立った天馬に、感謝を込めて首筋を一撫でしてから、ひらりと飛び降りる。


『ブフフッ、ブル……』

「ふむ、こんな人気のない街道だというのに、奇麗な平らに固められているなぁ」


 暫く下を向いて、街道を観察しながらウロウロしてみる。

 草原以外何もない辺鄙なところを通る道だが、石もほとんど転がっていない。草原の草も侵食していないとなると、定期的に整備するのか、あるいは何らかの技術が使われているのだろうか?

 まあ、夢だけに単なるご都合主義ってだけかもしれないが。


「それよりも、この道をどっちに行こう? 方角も分からんし……いや、待てよ?」


 メニューを呼び出し、思いついた項目を探せば、やはりちゃんとあった。

 ぽちっとすれば、目の前の中空に四角い仮想窓が開き、そこに地図が映し出されて……ないな。


「いや、一部だけオープンしてる? これは最初に歩き回ったところと、ペガサスで飛んできた範囲、か?」


 殆どがグレーアウトしている暗い画面の中で、一部だけ明るくなったところをズームアップしてみれば、空から見たのと似た配置の地形の中を、グネグネと蛇行したり、かと思えばスーッと筆を引いたように奇麗な線を描いてオープンになった部分がある。

 記憶に照らし合わせてみても、多分間違いがないだろう。


「地図の上が北に固定の仕様の筈だから……この道は緩やかに北西から南東に走っていたわけか」


 取り敢えず、方位がはっきりしたのは何よりだ。問題は、やはりどっちに行くかだけど……。

 さっき空から見下ろした感じ、北には山岳が多かったから、山越えよりは南下する方が人里が見つけやすいかな?

 よし、そうしよう。どうせこれは夢なんだ、行き当たりばったりの展開を楽しめばいいさ。


「それじゃ銀嶺、この道を辿る感じで、あっちの方向に頼むよ」

『ブルルッ、ヒィンッ』


 こうして再び、のんびりと空から遊覧にと戻った訳なんだが。

 一時間ほど飛び続け、変化のない状況に眠気が酷くなって来た頃かな。

 眼下の街道をふと見降ろした時、何やら土煙が上がっているんだよね。何だろうあれ、イノシシでも爆走してるのかね?


「銀嶺、ちょっとあの辺が見やすい位置まで下りてくれ。気分転換になるかも知れない」

『フヒヒンッ!』


 俺の言葉に逆らう事無く、四肢に風の魔力を纏って馬身を翻してくれる天馬に跨り、高度を落としていくと、状況が何となく見えて来た。

 なんか馬車と騎馬が、サイみたいなでかい動物に追われてるっぽいな。ただ角がトリケラトプスみたいに突き出て、背中が剣山みたいな無数の針山になっているサイなんて見た事も……いや、あれゲームのモンスターにいたな?

 確かグリムトプスだったか……【調べる】っと。


 LV63【グリムトプス】

 計り知れないほど弱い。


 やっぱゲームの夢なんだなぁ、これ。ラスト・サーガの【調べる】スキル使えたし、出て来るログも一緒だし。自分のLVと比べて、おおざっぱな目安しか出ないのも変わらんのね。

 まあ、それはいいとして、どうしたモノか。随分必死に逃げているようだし、これなら横殴りしてもよさげかな?

 でも一応、確認だけは入れてみようかねー。ネチケは大事だしな。

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