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つづくゆめじを2

 ある程度満足して興奮を治め、さて何をしようかと考える。

 見渡す限りの草原は、現実の日本では北海道くらいでしかまみえる事はないだろうなぁと思う。草と灌木と、青い空しかないのは、清々しくも何処か物悲しくて。


「う~ん、どうせなら草原じゃなくて、どこかの町にでもいる夢を見ればいいのになー」


 寂しさを紛らわせるように呟いてから、ふと思いついて、メニューからアイテムボックスを表示させる。中身のリストが縦にずらーっと並ぶのを眺めていき、目的の物を探し当てて、いざ取り出そうとして、はて?と動きが止まった。

 これ、どうやって取り出すんだろうと。アイテムをぽちっとタップしてみたが、反応がない。こういうのって、読んだことがある投稿小説とかでは、空間に穴が開いたりする光景をよく描写されていたものだが……。

 しばし悩んでから、メニューの時のように頭の中で左手に現れるようなイメージを思い浮かべる。


「お、出来た」


 アイテム:騎乗の召喚笛【ペガサス】


 『ラスト・サーガⅪ』における移動用の騎乗NPCを呼び出す召喚アイテムである。ゲーム内では組み紐を通して首に掛けられる白く滑らかな材質の角笛アイコンなだけだったが、実物として取り出した見た目もそのままの様だ。だからと言って、別に身に付ける必要はないのだが。

 ゲーム内では使用すれば『YES/NO』の仮想窓が浮かぶのだが、夢の中だと実際に吹く必要があるのかね? 突いても振り回しても、反応ないし。

 と言う訳で、恐る恐る口に咥えて、息を吹き込んでみる。がしかし、音が鳴る様子が全くない。


「あれ? これじゃダメなのか……おぉ?」


 首を傾げて口から話した途端、目の前の地面に光り輝く魔法陣が描かれ、完成したそこから大きな光の塊が生まれ、それが翼持つ大きな獣の体躯へと変貌していくのを、呆然と見やる。


『ヒヒンッ』

「おっ、おぅ。……いやいや、そういえば設定で簡略しないと、ゲームでもこういうエフェクトだったな、確かに」


 初期に手に入る普通の馬とかまでは、面白がって演出ONにしてたけど、ゲームに慣れた後半は色々な演出設定OFFにしていたからなー。今更ながらに見ると驚かされるわ、しかもこっちだと物凄い臨場感だしさ。

 ま、いいや。さて、これに乗って……の、乗れるよな? 俺の夢だし、現実で乗馬経験皆無だけど大丈夫だよね?


「ぉ、おぉ、よしよし、いい子だ」


 乗れました、無事に。

 鐙にちょっと足を掛けた途端、自動で体が動かされた感じでスッとペガサスの背に跨がれましたわ、流石ゲームの夢補正やな。ご都合主義万歳。


「それじゃあ、とりあえず高く飛んでみようか。どっかに道が見えるといいがなぁ。

 では頼むよ、『銀嶺』」

『フヒヒィ~ン!』


 俺の意思を組み、手綱を握っているだけにも関わらず、答えるように嘶いてで翼をはためかせ、徐々に浮かび上がっていく天馬に任せる。ちなみに『銀嶺』というのが名付けた名前だ。元ネタは有名な『シルバー』からである。最初はそうつけようとしたが、重複しててだめやったん。こういうの早い者勝ちだからなぁ、ゲームとかではさ。

 大きく羽ばたく翼だが、こちらに伝わる振動は殆どない。天馬の飛行は、設定では風を翼に込める魔力で操って飛んでいると解説にあるので、そのせいだろう。

 どんどんと高度を上げていき、広がる果ての地平線までの壮観を眺めてから、地上を見下ろし始める。


「ん~、結構上がったが……あっちが森で、あっちが山か。あそこから結構距離があったんだなぁ、見えないはずだわ。……お、あれは道か? 街道って奴っぽいな」


 方位が全く分からないが、ゆっくりとカーブする地肌の線が草原を割いて続いているのが見つかった。あそこを辿れば、きっと人里に辿り着ける筈。俺の夢だし、多分。


「さて、問題はどっちに行くのか何だが……どうしようかね」


 とりあえず、道の方まで一度行ってみようか。

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