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ゆめかうつつか

 目覚めてから一時間ほど。

 あの場から立ち上がり、ふらふらと歩き回って自覚したのは、この世界が現実とは思えないという事。

 何故かというと、俺は立ち止まり心の中で『メニュー』を呼び出す。

 すると視界の中に、半透明な馴染みのあるウィンドウが複数立ち上がった。なぜ馴染みがあるかと言えば、寝る前に遊んでいたあのゲームとそっくりそのまま同じであったからだ。

 ちゃんとログアウトまであったのは一安心したよ。

 最初は声に出して『メニュー!』とかで出したんだけど、誰もいない草原で独り言するのが寂しくなって、心の中で思うだけを試したら出来たんだよね。


「しっかし……完全に夢とも思えんのだがなぁ、リアルすぎて」


 着ていたローブを払いつつ、額に滲んだ汗を片手の甲で拭う。そう、ゲームの夢であるならば、俺の体がこういった生理反応を示す筈がない。でも疲労はほとんど感じないのが、なんとも言えないのだが。ずっと歩き通しなんだけどなぁ。

 それに着衣と装備は、俺があのゲームで装備していたいつものお気に入り装備で、腰にはしっかりと愛用の剣が釣り下がっていた。


「めっちゃ銃刀法違反だよなぁ。いや、こっちにそんな法律があるかもわからんが」


 視覚は当たり前だが、触覚、嗅覚、そして味覚(試しに草噛んでみたらくそ苦かった)があって、しかしゲームのメニューが出てくる体験ができる事例など、当然だが俺は知らない。なお痛覚も、よそ見しながら歩いていて、足元の石に躓いてすっ転んだ時にあるのは確認済みだが、何というかかなり鈍かった感じで。

 しかし、途中で見かけた小川を覗き込んで水面に移して確認した容姿が、やはりゲームのファーストキャラの姿であった為、これはゲーム世界に入り込んだ感じの夢を見てるんじゃないかなー?という暫定的判断を下しているのだが。

 ふと思いつくのは、たまに読むネット小説投稿サイトでの『異世界転生・転移』物のあれだが、だったらログアウト出来そうなのはおかしいよな?


「いや、そもそもほんとにログアウトできるのけ?」


 一気に不安感が押し寄せてくる。そうなると居てもたってもいられず、開いたままにしていたメニューに触れてログアウト項目を呼び出し、バクバクと動悸のうるさい音を耳に響かせながら、震える指先でそこにタッチすれば――。



「くぁ……はぁ~……。うん、なんか変な夢を見ていたような……?」


 ぼんやりと起き上がった寝室のベッドの上で、しばらく夢の内容を思い返そうとする。だが悪夢でもなかったようで、うっすらと輪郭しか思い出せない感じだな。

 ただ、ゲームのような夢を見ていたというのは何となく分かった。


「ふふ、いい年になっても夢の中までゲームか。ま、それだけ好きだし楽しんでるって事なんだろうなぁ」


 色んなオンラインMMORPGをやって来て、今のゲームに出会ってかれこれ十年以上。ロングセラーのヒットタイトルだからな。

 『ラスト・サーガⅪ~終焉の世界に導かれて~』、それがあのゲームのタイトルだ。

 ストーリーはありがちな魔王討伐タイプのメインストーリーだが、繰り返されてきたアップデートでシナリオが追加される程に、それだけでは済まないという伏線や急展開、正義と悪が朧になり、プレイヤーに色々と考えさせたり、感動させたりしてくれる内容だった。

 同時にサブコンテンツのミニゲームも秀逸で、まだまだプレイヤー人口が巨大市場を保っているらしい。

 いつかはサービス終了を迎えるのだろうが、それまでは遊び尽くす所存である。


「さて、飯食って仕事に行きますかね」

 

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