第八十一話 夢
ルーベルカイム郊外のハイディの屋敷
「アンリ、男の身体に戻ったのか」
ハイディはアンリから淵術士の装備を身に着けたガラテアへ目を向ける。
「ん、変装か?……ガラテア君、今回は以前より強めだったが抑制剤の具合はどうかね?、問題があれば調整しよう」
「魔力抑制はあの薬で問題ないのですが……身体からまるで淵術刻印から発せられる瘴気の匂いに似た……いえ、それとは少し違うのですが異質なリゾームと魔力を感じるのです」
「恐らく肉体の変異で魔術資質が変わったせいだろう、淵術刻印なしでも淵術の行使や瘴気の魔力への変換出来るようになっているのではないか」
「ハイディ、ディアスの様子はどうなんだ」
「ああ、それがな、奥へ来てくれ」
アンリとガラテアは奥の部屋へ向かう……部屋に置かれたベッドに金髪のシェイマの女が座っていた。
「……村で魔女に操られていた金髪のシェイマか、どうしてここに?」
金髪のシェイマが口を開く。
「アンリ来たのか、見てくれ大変なことに……」
「?」
「アンリ、ガラテア、見てくれ肉体の融合が解けないんだ……これはどうやら普通の融合魔法とは違うようだ」
ハイディはシェイマと融合したディアスの身体に触れる。
「……あれから頭の中に自分じゃない何かが語りかけてくる感覚がしておかしいと思ったんだが……うっ!」
突如、顔が紅潮し、呼吸が荒くなる。
「うっくっ!ああっ」
……背中から羽が生え、肉体がリンアルドの女の姿へと変化していく。
「……はあはあ……あっ、うっ、……アタシが喋る番か?」
ディアスと融合した女は腕を頭上に伸ばした後、顔の汗を拭う。
「……アンタは誰なんだ?」
アンリがディアスと融合した女に問いかける。
「アタシはベネラ、シェイマの傭兵だ」
「アンタはなんであの村にいたんだ?」
「行方不明者の捜索とあの村の領主が隠してた財宝があるって噂を聞いて、傭兵仲間と一緒に調査に来たんだ」
「一緒にいた仲間はどうなったんだ?」
「……記憶が曖昧で思い出せない……戦闘になって……アタシ以外は……多分みんなやられた、生きてるかはわからない」
「……そうか……魔女に操られてオレ達と戦ったことは覚えてるか?」
「いや、覚えてない、魔女に取り込まれて幸せな夢を見ていたことは覚えてる……子供の頃に死んだ母親が出てきてさ」
「……夢……ディアスも似たようなことを言ってたな……あの魔女、確か……石の魔女アヴローラって名乗ってたか、あいつのこと知ってるか?前に因縁があったとかないか?」
「……あの魔女のことは何もわからない、記憶をいじられてなければ会ったのもあの時が初めてさ……」




