【第1章】古代の宝…?①
更新は不定期です。
「ん…っ?」
扉の先に入るなりシンは首を傾げぽかんとしている。そうなるのも無理もない。シンの予想では扉の先はお宝の山でキラキラしてる部屋だと思っていたのだ。しかし実際はだだっ広く普通の家のような部屋だったのだ。いや、ホテルに近いかもしれないが普通に暮らせそうな感じだ。あとから来たエンラも戸惑ったような顔で部屋を見渡していた。ただ1つ違うのは操縦席なような椅子と機械が真ん中にあるだけ。
「なんだこれ…ここ遺跡の中だよな?もしかして誰かここに住んでんのか?」
シンが中に入り色々物色しながらエンラに問いかける。
「いや、埃かぶってるし住んでたとしても随分前だろ。にしてもこんな所に部屋を作るなんて相当変な奴だな」
エンラも続いて中入り、机や椅子についている埃を拭き取り珍しそうな顔で周りを見回している。それもそうだ。この世界では椅子や机、クローゼット等は基本的に木材を使っている。それに比べここにある家具はほとんど頑丈そうな木材と鉄でできている。普通鉄は武器にするためにこんな贅沢に家具にしないのだ。まあ一部の貴族やその土地独自の文化などである事もあるらしいがこんなにいっぱいに家具にするのは珍しい方である。
「エンラの家より鉄で家具作ってんだな。でもほとんど全部とか初めて見たなぁ」
物色しながらも何も出てこないことにシンは家具に目を向け苦笑いをしている。エンラの家も金持ちなので一個や二個、鉄でできている家具はある。しかしこの量はおかしい。鉄は安い方だと言うが売ればそこそこの金になる。だから大抵は売ったり武器にしたりしてこんな贅沢な使い方はしない。
「多分、ここに住んでるやつが相当な貴族の変人で、古代の遺跡なんかに家を建てるほどおかしい奴なのかも」
腕を組んで苦笑いしながらエンラは答えた。まあそうなるのも分からなくはない。なんて言ったってこんなに広くて家具も十分にある。そのくせ鉄も使ってる。エンラは金持ち、シンは貧乏ではないが、金持ちって訳でもない。ごく普通の家庭だ。その2人がお互いにに苦笑いする程なのだ。その部屋がどれほど異常なのかがわかる。
「こんだけあるなら少し、いや、全部売ったらいい金になるんじゃね?」
ニヤリと笑うとシンは嬉しそうに家具を見ている。まあ元々2人がここにいるのは宝を持ち帰り売って金にすることなので(主にシンが)。軽々と家具を持ち出そうとしたら
「やめてください」
2人の声ではない声で止められた。2人は驚きお互いに顔を見合わせると声がした方に顔を向ける。そこに居たのは見たことない珍しい服を着た女性が立っていた。
誤字脱字があれば教えてください。