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僕は君で、お前は俺で
よろしくお願いします
「君は、誰?」
「俺はお前だ」
「あなたは僕?」
「ああ、そうだ」
「どこに君はいるの?」
「そうだな……複雑すぎて上手く説明できないんだが………」
「君もわからないの?」
「わからないわけじゃない。説明してもお前が理解できないからしないだけだ」
「変なの……」
「変じゃないだろ。ただ、お前の為を思って言ってるだけだ」
「ふ~ん」
「これも理解できないよな……」
「何のためにここにいるの?」
「お前の"力"になるためにここに来たんだ」
「"力"って?」
「まあ、いつか説明してやる」
「え~……今教えてよ!!」
「いや、だから理解できないだろお前………」
「できるもん!」
「そうか?」
「うん!」
「まあ、教えないけどな」
「えぇ!?」
「いつか、わかるときが来るから。そんときにな」
「絶対だよ?」
「ああ、約束だ」
「うん、約束!」
「覚えとけよ?」
「絶対忘れない!」
「なら良いんだけどな」
「うん!絶対!!」
鏡を前にして、言葉を話す筈のない生後3週間の赤ん坊は、1人で何かを呟いていた。