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「私」と「俺」のラプソディー

作者: 虚言兵器

 書きたいことをつらつらと書いただけなので内容はないよう!←

 作者が転生して好き勝手したらこうなるだろうな、という。乙女ゲーム要素は薄いです。というか最後だけ。


 「元攻略対象の現捕獲対象」とは全く違います。読まなくてもお楽しみいただけるかと。

 どうしよう


 今の自分の頭の中にはこの五文字しか浮かばない。私が一体何をしたんだ、ただ銀行にお金をおろしに行っただけじゃないか。


 それなのにどうして。


「オギャー!」

「ああ泣かないで」


 美人なお姉さんに抱かれて泣きじゃくっているのだろうか? ……というか抱く? 私を? 成人とっくに越えた私を!?





 衝撃的な出来事からはや十数年。現在「私」は「俺」になっていた。簡潔に言うと転生したらしい。


 銀行に強盗が押し入りなんやかんやがあって強盗が周りに銃を乱射させた、そして私はそれに当たって死亡したらしい。らしいというのは確証が持てないからだ。


 考えても見てほしい。戸惑って赤ん坊生活を続けていたある日。


『やあ○○ちゃん、初めまして。ああ、名前は聞こえないかもしれないけど気にしなくていいよ。ただ僕様の話を聞き流してくれるだけでそれでいいんだ。単刀直入に言って君は死んだ、ただそれだけのことだ。ん? 死因かい? 君が行った銀行に強盗が押し入ってからの立て籠もりからの銃乱射、君死亡。ただそれだけだから。まあその原因がアレだったからあの事件で死んだ全員に第二の人生をプレゼントしているだけさ。ラッキーとでも思ってくれればいい。まあ死んだ時点でラッキーじゃないんだろうけどさ。別に勇者を倒せとか巫女になれとかそんなつもりは毛頭ない――というか、君が転生するのは元の現代、地球に似た世界だからだ。もっとも若干世界情勢は変わっているかもしれないけど、別に気にする必要はない。君は君の人生を歩めばいいんだ。チートとかスキルなんてものを貸し出す気も与える気もないけど、まあ第二の人生を楽しんでくれ。……おっと、もうこんな時間か。僕様は次の人にも話があるからこのへんで。いってらっしゃい』


 なんて一方的に話されただけなのだから、納得できるはずもない。いや理解はしたよ? でも納得できない。というか認めたくない。いくら自分がオタの入った発酵系女子だったとしても創作小説は書く側であり読む側だ。決して体験する側ではないはずだった。今までは。


 女から男に転生? いや私も結構な転性小説書いたけど意外と戸惑うもんよ? だって今までなかったモノがあったりなかったりするんだから、その衝撃は想像たる以上だ。メリットはある。胸で肩がこることもないし生理痛の心配もなし。歩き方や言葉遣いも気を使わなくてよくなった。だが。


 男って大変なんだね!


 男性の自身ってすごく不便。ちょっと性のこと考えただけで起き上がってくるし、毎朝ほとんど立ってるし。初めて夢精なんかした日はもう絶叫ものだった。いや悲鳴は上げてないけど。


 顔も前の自分に男らしさをプラスしただけで別にイケメンではない。よくいる平凡だ。まあ顔面偏差値的には中の上くらいはある、と、思う。いや思いたい。


 まあでもせっかく男になったんだから、どんなに戸惑っても男の人生を満喫しよう! ということで。


 目指せ! 俺の考える最強の男!


 これを掲げてみました。んで何をするか。


 そう考えると「男は強くないと」って思う。泣き虫で可愛らしくて守ってあげたくなるようなチワワ系男子もありとは思う。でも私的には爽やかスポーツ天然系とかワイルド不良系とか活発な性格に憧れる。女だったときは気にしなかったけどやっぱり運動って大事だよ。――というわけで。


 とりあえず片っ端から手を出してみた。サッカー、野球、バレー、バスケ、陸上、卓球、バドミントン、ラグビー、水泳、エトセトラ、エトセトラ。クラスで言う「人気者」はどちらかというとメジャーな運動部に集中していると思う。サッカーもしかり、野球もしかり。んで結局私が何に決めたかというと。



  《GAME SET! WON-BY6-4、MITITAKA-TYOZYABARU!》


 庭球(テニス)です! いや前世で一時期ハマったテニス漫画に影響されてしまったんだけどね。バスケとも迷ったけど熱気の立ち込める室内で他人と肌の擦り付けあいするのは嫌だなと思った結果テニスになった。某漫画に影響されてか必殺技考えるのがすごい好きになった。決まるとスカッとするしね。流石に観客の前で技名は言いませんよ、厨二病や黒歴史を今世で作るつもりは毛頭ない。


 そして今、テニス世界ランキング一位の人をようやく倒せたんですよ! おお、すごい。成せば成るんだね! 前世の私とは大違いですよ。人生二回目のアドバンテージがようやく生かされた瞬間……なんだけど。


 あれこれ勝っちゃってよかったの?


 向こうは二十台にようやく入ったばかり、こっちは高校生になったばかり。やるからには世界タイトルとか取りたかったと思ったのは事実なんだけど。だからと言ってやり過ぎた感が否めない。


 相手選手と爽やかに握手をしてコートを去る。嬉しいのは嬉しいんだけど、何か釈然としないなあ。




 入学したのは普通の公立高校。テニス――というかスポーツで生計を立てていくレベルの人なら誰でもそうだけど、スポーツするには金がかかる。テニスの場合はシューズやタオル、スポドリはまだしもラケットにグリップテープ、ガットなどあらゆるものに金がかかる。実際俺がテニス始めた時、両親はあまりいい顔をしなかった。ピアノとか算盤とかにさせたかったんだと。ピアノはともかくあまり算盤はかからないからね。両方前世で習っていた身としては今世ではご遠慮したい、ということで謹んで辞退させていただいた。別に検定受けなくてもいいじゃんか、前世では算盤も暗算も段まで行ったんだし。さすがに十段は無理だけど。そんなわけで国立高校に入った。推薦は来てたけど高校でテニス続ける気は全くないし、というかテニスは俺にとっては娯楽兼スポーツであって一生を左右するものじゃないんだよな。ただ体を鍛えるためにやっていたことであって、それで有名になりたいかと聞かれたら俺は首を横に振る。……いや有名になったのは結果であってだな。俺としては別に……うん、まあ、その……。嘘です。テレビに出て見たかったです、はい。


 まあそんなわけでとりあえず高校ではおとなしく文化部にでも入るよと両親に言ったらまた渋い顔をされた。いいじゃんか別に。将来設計なんて大学でも決まってないやつ多いんだよ? その点俺は何するか決まってるからいいじゃんか。もうすでにそっち方面では稼いでるんだし。



 俺のやりたいこと、それは「小説家」。


 前世でも投稿してたけどそれはあくまで「趣味」であって「義務」ではなかった。ただ日刊ランキングやお気に入り登録者数が上がればそれでよかった、んだけど。


 やっぱり書いている側からすれば書籍化は夢じゃん? 印税とかアニメ化とか漫画化とか憧れるじゃん? 自分の作品が店頭に並ぶんだよ!? 恥ずかしいけど嬉しいと思うじゃん!


 そんなわけで前世から温めてたネタを執筆、投稿した。前世とは全く違うIDから心機一転してみた。両親が共働きなせいか自由時間はたっぷりあったし、パソコンにもパスワードがなかったからやりたいほうだいだった。いやさすがに年齢詐称はしてないよ? R15もR18も年齢が来るまで我慢したさ。まあ誕生日に一挙投稿したけども。


 それが見事書籍化が決まった時は全力でガッツポーズしました。あの感動は忘れられないと思う。正直テニスで優勝した時より嬉しかった。……こんなこと言ったら本職に怒られるね、うん。


 テニスは一応は続けてる。ストリートテニスなんてないから家にテニスコート造った。意外と頼めばしてくれるもんだね、まあ両親より稼いでるから。でも案の定コートは高かった。整備もあるしではっきり言っていらなかった気もしないでもないけどまあこれもある種の経験か。印税で入った小金が全部吹っ飛んだけどしょうがないよね、人生はギャンブルに近い節があるし。


 とりあえず最終目標は自分の小説がアニメ化されて、その声優を俺がすることだ。いや作者が声優するとかあまりないじゃん? 別に主人公役したいわけじゃないしサブキャラでもなくていい。でも自分の作品に自分の声が出るなんて夢だよね。


 ってことで。


「放送部ってここですか?」

「あ、入部希望者?」

「はい。長者原ちょうじゃばる 路貴みちたかです」

「ありがとう! あまり人気がない部活だからねー。あ、私は部長の颯海さとうみ りん。よろしくね」


 放送部に入部してみました。発声とか音調とかを整えるには最適な部活です。前世でも所属してたしちょっと懐かしかったり。それなりに優しい先輩と面白い同級生に囲まれて放送を続けてる。ちなみに演劇部はなかった。なぜだ。


 一応俺が学生小説家ってことはほとんど知られてないし知らせてない。とくに言うつもりもないし恥ずかしいからだ。


 でもだからと言って。


「あれ、先輩。それ曾我部そかべ 斬親きるちかの『現代シリーズ』じゃないですか」

「あ、長者原君も読むの? うん、私このシリーズ大好きなんだ」


 よりにもよって作者()の前で俺の本を読んでしかも褒めるのは止めてもらいたいかな!


 曾我部斬親。俺、長者原路貴のペンネームである。本名の頭文字から連想した歴史的に有名な彼、長宗我部元親からヒネってつくった。親を斬るってある意味斬新なネームだと思う。いや斬親ざんしんなネーム?


 「現代シリーズ」というのは俺が主に手掛けている作品の一つで、ラノベチックになっている。主人公の「俺」がふとしたことから別人に転生してしまって、しかもその転生先がやんごとなき身分――たとえとしては天皇レベル――だということから、前世との激しいギャップに苦悩しながらも必死に生きていく、という若干シリアスで重い文庫である。章が変わるごとに主人公も変わり、しかも世界観がつながっていることから読みやすい。デビュー作でもある「現代日本王道学園にファンタジー要素が追加されました」は日本にラノベブームを巻き起こした。……らしい。別にラノベしか書いてないわけじゃないからよく分からんが。転生してからは前世読まなかったジャンルにも手を付けたからね。主に前世で苦手だった分野に。



 それなりに手を抜いた学園生活と本気を出した部活。授業は適度にサボってテストは限りなく手加減した結果、可もなく不可もなく(ただし素行は不可より)になった。前世知識がなかったら授業なんてサボれないし。

 テストには本気で取り組んだ。流石に手を抜くのは失礼だと思ってね! おかげで全教科七十七点±三点の範囲で点取った。一度全教科七十七点だったときは感動したね。「ヤバイ何コレキタ――!」と叫びかけた。ええ、叫んではいません。


 部活――というか将来を考えて声や身体にはいつも気を使っていた。男性でも頑張れば可声域が広くできると知ったのは今世でだ。ピアノの端から端まで声が出せるとか何コレ化け物? それとも転生の恩恵? どっちでもいいけどありがたい。まあ部長はこれ以上出来るけど。あの人なんなんだろう。学園中から人気があって成績優秀者。先生受けもいい、それでいて生徒会に所属してないばかりか部員が片手で足りるほどの放送部なんて所属してるし。



 晴れて高校を卒業した俺は大学に進学した。前世私立で涙をのんだ教訓を生かして今世は国立です! 先輩は声優の専門学校に進んだらしい。俺は声の出演ができればそれでいいから声優になろうとは思わない。――そんな折に。


「曾我部さん。アニメ化、してみませんか」


 ようやく誘いが来た。書籍自体は数年前から出てるし去年漫画化もしたから来てくれるかな~と期待していたら案の定来た。よっしゃあ!


「……アニメ化自体は構わないんですが」

「何か問題でも?」

「……イメージを壊されたくないんです。やるなら完璧にしたいんですよ」


 曾我部斬親は渋メン寡黙キャラ、と名を打ってあるから受け答えが下手。でも流されませんよ、待ちに待ったアニメ化ですからね!


「……なるほど、では反対ではないんですね?」

「はい。声優自体はそちらにすべてお任せします。ただし」


 イメージと少しでも違ったらこの話はなかったことにさせてもらいます。


 そう言って速やかにおかえりいただいた。何か考えていたから心当たりがあるのかなーなんて考えていたら後日。


 「ピッタリの人選をさせてもらいました。安心してきてください」


 なんてきた。やけに強気だったのが少し気になりつつもスタジオに行く。そして驚いた。


「次、颯海凛」

「はい」


 声優オーディションの隣の部屋からマジックミラーで覗いていたら何と先輩がいた。え、マジ?



 そこまで考えて「私」は思い出した。ここは乙女ゲーム、『春夏秋冬ひととせ巡りシリーズ』の世界だと。今は原作で言う『春夏秋冬巡りの恋模様』の続編、『春夏秋冬巡りの恋愛論』の時間だと。そして部長だった先輩は――そのヒロイン、颯海凛だと。



 ……てかアレ? もしかして私の高校が乙女ゲーの舞台だったとか?


 ……気づくの遅すぎるだろう、私!



 長者原君はモブキャラです。(でもイケメン)

 「元攻略対象の現捕獲対象」の設定を使ってありますが実際はどうか知らない。ヒロインかどうかも未定。でも乙ゲー要素は入れたいなあ(願望)。

 作者はテニスもテニヌも知らない。



 以下、人物設定。

長者原ちょうじゃばる 路貴みちたか

 TS転生した腐女子、現腐男子。前世は24歳OLで死んだ。「春夏秋冬シリーズ」は制覇してる。実は三部作だったり。ヒロインは変わるが攻略対象者には何かとつながりも……?

 テニス世界ランキング現一位。これ実は転生トリップの影響でついたチートの影響だったらいい。本人にチートの自覚は若干アリ。

 学生小説家というある意味有名な人。「現代シリーズ」は有名です。

 実は潮越しおこし ようとは親友関係。


  ・曾我部そかべ 斬親きるちか

 長者原路貴のペンネーム。由来は長宗我部元親から。とても斬親なネームです←



颯海さとうみ りん

 「元攻略対象の現捕獲対象」の主人公。高校時代、放送部の部長だったという裏話を突っ込んだ。主人公よりもチートっぷりを発揮しており主人公以上に自覚がなかった。自分の実力も周りの実力も把握しているがゆえに物事をさっさとと終らせてしまいたいタイプですね、分かります。この頃は高校三年生、つまり主人公としては二歳差。



 こんな風に物語が続いていくのもあり、かもしれない。

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