表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

第六話:鎧としてのスカート

第六話:鎧としてのスカート


高校の制服採寸に行った。


手際よく測られていく数値は、中学の頃からほとんど変わっていない。期待していたわけじゃないけれど、あらためて「146センチ」という数字を突きつけられると、小さな溜息がこぼれる。


私の進学する坂ノ井高校は、最近女子のスラックスも選べるようになった。採寸の担当者は「今は両方買う人が多いですよ」と勧めてきたけれど、私は迷わずスカート一択で通した。


だって、私にとってスラックスは全然「自由」じゃないのだ。


この身長でスラックスを穿くと、どうしても裾を大胆に詰めなきゃいけない。そうすると本来のシルエットが台無しになって、余計に足の短さが目立つ気がする。私にとって、それはただの「着られている感」の塊でしかない。


それに、雪深い信州の冬を越すには、意外にもスカートの方が理にかなっている。


パンツスタイルは一見暖かそうだけど、実は布地が肌に密着する分、外気で冷え切った生地がダイレクトに体温を奪っていく。


その点、スカートは優秀な「魔法瓶」だ。


広がる布の内側に温かい空気の層を溜め込めるし、何よりその下にどれだけ厚手の裏起毛タイツを履こうが、冷え対策の毛糸のパンツを重ねようが、外からは一切わからない。表面上の「凛とした制服姿」をキープしたまま、内側で徹底的に重装備ができるのだ。


「可愛さ」って、意外とこういう狡猾な戦略の上に成り立っている気がする。


ハイウエスト気味に穿けば、少しでも重心を上げて見せることだってできる。どうせ穿かないスラックスに何万も払うくらいなら、その分を質の良い防寒グッズや、本を買うために使いたい。


新しいブレザーに袖を通すと、まだ生地が硬くて、少しだけ肩が重かった。


この「鎧」を着て、私は春から新しい生活へ向かう。


誰かに見せるための可愛さじゃなく、自分が快適でいるための戦略。


冷たい風の吹くこの街を、私は私なりのやり方で、賢く歩き抜いてやるのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ