表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

第四話:背中を追い越されて

第四話:背中を追い越されて


春から中二になる弟、耕介。私とは二歳違いの、かわいい弟だ。


ついこの間まで、私と耕介の目線は同じくらいだった。中学校に入学した頃の私が、耕介の成長に気づいたのは本当に些細な瞬間だった。


「えっちゃん」


いつの間にか、彼は私のことをそう呼ぶようになった。昔はあんなに無邪気に「お姉ちゃん」と纏わりついていたのに、お父さんの真似をしているのか、あるいは彼なりの「背伸び」なのか。両親の呼び方も、いつの間にか「パパ・ママ」から「お父さん・お母さん」に変わった。


久しぶりに並んで歩いたとき、私は思わず足をとめた。


いつの間に、こんなに大きくなったんだろう。今の私は、耕介の顔を見るために、はっきりと首を上に向けなければならない。お父さんと二人で並んでいるのを見ても、もう私がかつて見ていた「小さな弟」の面影は薄く、一人の男としての輪郭がそこに現れていた。


客観的に見れば、もう彼は立派な少年だ。


それなのに、私の目には相変わらず「かわいい」としか映らない。なぜだろう。


多分、それは長い年月をかけて積み上げてきた、私たちだけの記憶のせいだと思う。古語で「かなし」は、胸が締め付けられるような愛おしさを意味するらしい。


かなすべき弟。


どれだけ背が伸びても、呼び方が変わっても、彼の中に残っている幼い頃の面影を私は知っている。その「かつての彼」と「今の彼」が重なるとき、私の胸の奥が少しだけ熱くなる。


高校生になっても、私はきっとこの弟の成長を、少しだけ切ない気持ちで見守り続けるんだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ