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第五話 魔族、魔人、魔王

祭司は、微笑んだ。


祭司「では、少し子供たちを見ていてください。私は買い出しに」


扉が閉まり、足音が遠ざかる。


孤児院には、静かなざわめきが残った。


ルーティル「いやー、オル爺が優しくてよかったよ。」


庭師「え?知り合い?」


ルーティル「んーん、オルージだからオル爺。いいでしょ」


ルーティルには距離感というものを教えなければならないだろう

そう、日記に書きこんだ


楽しそうに子供をあやす生徒。

壁を見つめ続ける生徒。

床に座り込み、ふてくされたままの生徒。


子供の世話をするのはあっという間だ。

もう夜の時間のようだ。


エミリー「マリア様―、今日は泊まっていってよー」


祭司「エミリー、マリア様を困らせるようなことはしていけません」


レアンスが私にささやく。


レアンス「もう宿は取れませんし、先ほどの騒動で顔がばれているでしょう。ここに停泊することをお勧めします。」


庭師「ああ、分かったよ。」


庭師「祭司さん、すまないが、ここに泊まらせてもらえないか?」


エミリー「えええ!!?お父さん!!お願い!!」


祭司「ふーむ、かまいませんが、ここは孤児院です。寝れるところが、ございませんが。」


庭師「いえ、泊まらせてもらうだけでありがたい。」


祭司「なら、かまいませんが。一応、こちらを使ってもらっても?」


そこは、物置のようなところだった。

だが、今の我々は泊まれるところがない。

寝れる場所があるだけでありがたかった。


庭師「ああ、分かった。お礼は必ず。」


電気が消される。

今日は色々あった。

色々起きた、だからこそ横になって初めて疲れを感じた。

疲れによる睡魔によって、すぐに眠りにつくことができた。



庭師「ここは...?」

目を覚ますと、真っ黒な部屋?空間だった。

月のない、夜の野外を思い出させる。


いつもの癖で、地面の土を触っていみる。

土は、植物が育つには固く、乾燥していた。


少し歩くと、草がある。

いや、なにかの花だろうか。

まだ、つぼみは開いていない。


触れようとした瞬間、あたりが一気に明るくなる。



ルーティル「にわっち!!朝だよ!!」


庭師「え、あれ。私は?」


夢を見ていたようだ。

だが、夢は鮮明に思い出せるし、土の感触も手に残っている。

不思議な夢、それで片付けるには難しかった。

焦り、なのだろうか。

深呼吸をして、リラックスをする。


グリーフェスに来て二日目の朝だ。

今日も何が起こるのか分からないというのに、

心地いい風が辺りを駆け巡る。


こんな心地の良い朝は初めてだった。


祭司には感謝しかない。

朝ごはんまで用意してくれたのだ。


皆がご飯を食べながら、様々なことを話している。


祭司「私は書斎にいますので、何かあれば」


そういうと、一番に奥の部屋へ戻っていく。


生徒たちもやることがあるように、それぞれが散っていく。


とりあえずはリグレッドの傷が治るまではかくまってもらえることになった。


二日目にやることは、魔王に関しての情報収集だ。


祭司に話し、本を見せてもらう。


「魔族について」という本を見つける。


内容を要約するとこうだ。


---

魔族:意思のない生物

紫色の肌をしており、巨大な体で押しつぶすなどの攻撃を行ってくる。


魔人:人間と同じ思考を持った生物

紫色の肌に、角が生えている。人間と同様の知能があるため、非常に危険。


普段は魔界と言われるところに存在している。

---


魔王に関しては情報が、見つからなかったが、魔人が魔王を名乗っていると推測した。


エミリー「ねぇねぇ、マリア様。一緒にお出かけしようよ!!」


マリア「エミリーさん、私たちは諸事情があり、町に行けないのです。ごめんなさいね。」


エミリー「だったらさ、裏山に行こうよ!!川もあっていいところなんだ。」


マリア「うーん」


マリアは悩みながら私を見る。


エミリー「庭師さんお願い!!私、開花済みだからさ。」


その一言で生徒たちは動きを止める。


開花済み、多分この単語だろう。


庭師「レアンス、開花済みとはなんだ?」


レアンス「...開花済みというのは、まず開花について知る必要があると思われます。」


レアンス「開花、別名は防衛本能の覚醒です。人が、命の危機を感じたとき発現すると言われています。開花すると、才能、および能力が得られます。」


エミリー「戦闘には自信があるよ!!」


奥の部屋から祭司が出てくる。


祭司「エミリー、いつも言っているでしょう。剣を持ってはいけません。」


エミリー「えー...」


祭司「あなたの能力は、確かに強い。ですが、エミリーはまだ18歳。血を見る必要はありません。」


エミリーが何かを言おうとする。


マリア「エミリーさん、あなたの気持ちは十分伝わりました。ですが、あなたを私のせいで傷つくのはもっと嫌なのです。」


そういい、エミリーを見る。


エミリー「マリア様がいうなら。それじゃあ、エミリーさんじゃなくて、エミリーって呼んで!!」


マリア「えぇ、」


マリアがまた困った顔をする。


ルーティル「ずるーい、エミリーちゃん、わたしも呼んでいい?」


エミリー「いいですよ!!」


ルーティル「やったー!!ありがとうねエミリー!!」


生徒たちがこんな顔を見るのは初めてだ。

楽しい、そんな感情がこんな状況の中でも芽生える


セオン「失礼、エミリー殿。能力をお聞きしたいのだが」


エミリー「私の能力はね、見せたほうが速いかな」


エミリーはリンゴを持って、外に出る

そうして、空高く投げた。

辺りはもう暗い。

リンゴをキャッチするのは至難の業だろう。


地面に落ちる寸前、リンゴが遅くなる。

エミリーはその遅くなったリンゴを簡単にキャッチする。


エミリー「これが私の能力、遅くする能力だよ。相手が小さければ小さいほど、効果時間も長いんだ。」


鼻高々にいう。

能力とは、私のしっている物理法則が通用しないらしい。

何を消費して、そもそも消費をしているのか。

分からないことだらけだ。


だが、少しずつ知れている。

この日記の空白が埋まっていくのは、少し楽しかった。


三日目の朝がきた。

マリアの姿が、ない。

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