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第四話 祈りの影で

度重なる金属音が、町の静けさを裂く。

いつの間にか祈っていた人々はいなくなっていた。


警備隊「異端を排除せよ」


白銀の鎧が、無機質に光る。


リグレッドが、肩を鳴らした。


リグレッド「面倒くせぇ……」


私は、声を出せなかった。

何かを言えば、余計に悪化する気がしたし、

なにより、恐怖で体が動けない。


セオン「指示をお願いする。」


セオンが私の背中をたたく。


庭師「とりあえず、撃退だ。」


見たところ警備隊は5人で構成されている。

撃退してから逃げても問題ない、そう判断した。


リグレッド「やっぱり、こうこなくっちゃなぁ!!」


庭師「あ、まて!!」


リグレッドが斧をもち、警備隊に突進する。

素早い動きで、一気に警備隊の最前列に到達し、斧を振りかぶる。

だが、盾でうまく受け流された。


庭師「ま、まずい、」


たしか、生徒の中に魔法を使える人がいたはずだ。

そう思った時には、剣は振り上げられていた。


その時、剣を振り上げていた警備隊の一人は吹き飛ぶ。


カイ「まったく、急がないでくださいよ。」


片手て頭を押さえながら、リグレッドを見ている。


ルーティル「よーし、私もいっくよー!!」


カイとはまた違う、魔法。

赤色の、いや、これは炎だ。


ルーティルの放った魔法は、相手を燃やし...尽くさなかった。


ルーティルの方を見る。


ルーティル「え、違うからね!?失敗とかじゃなくて、」


後で聞こう。

幸運なことに食らった相手はよろめいている。

必然的に言えば、狙うならあいつだろう。


庭師「みんな、あいつに集中砲火だ」


セオン「理解した。」


セオンが刀を抜き、相手に切りかかる。


だが、相手の鎧が切るのを邪魔する。

相手が鎧では衝撃は与えられても、切るのは無理だろう。


庭師「魔法組を主体として攻撃する、近接はすべて防御に回れ!!」


そう呼びかけると、近接武器を持っている生徒は集まってくる。

リグレッド以外は。


リグレッド「ははははは!!」


リグレッドは笑いながら、攻撃を続ける。

だが、一人だ。

そこを警備隊は見逃してくれるほど、甘くはない。


警備隊は一斉に襲い掛かる。


一人は攻撃を外したが、残り四人はそうはいかない。

一人目の攻撃は、リグレッドは斧で受け流し、反撃する。

残り三人の攻撃をよけ続けることは、体勢的にできないだろう。


だめだ、救えない。

目を背けようとした。

だが、後ろから音が多数聞こえる。


魔法組が吹き飛ばしてくれたのだ。

ただ、即興だったのか。

三人は一人、二人はもう一人に当てて

残り一人はどうすることもできない。


鮮血が舞う。

リグレッドは腕を犠牲にして、何とか急所は免れた。


誰かに腕を引かれる。

ウェルだった。


ウェル「庭師さん!逃げましょう!!」


庭師「ま、まて、リグレッドが、」


ウェル「遠くから増援が来てます。僕の頭痛も激しくなってきて、早く逃げないと。」


強引に後ろへ引かれ、理解する前に足が動き出す。


鈍い衝撃音。

背後で、何かが倒れる気配。


生徒たちは走りながら、それぞれの手段で応戦していた。

できる限り数を減らし、路地へ飛び込む。


背後で怒号が上がる。


「待て!」

「神への冒涜を――」


言葉は、途中で途切れた。


——これが、戦い。


そう思った瞬間、足がもつれそうになる。


「止まるな!」


セオンの声。


細い道。

崩れた石畳。

祈りの塔の影。


町の奥へ、奥へ。


やがて、古い建物の前で立ち止まった。


扉は歪み、十字の跡だけが残っている。


セオン「入るぞ」


刀を抜きながら、扉を開ける。

中は、暗かった。


埃の匂い。

古い木の床。

小さなベッドがいくつも並んでいる。


——教会。

いや、違う。


「……孤児院」


誰かが、そう言った。


扉を閉め、息を殺す。

外の足音が遠ざかるまで、何分、何十分だろうか。

もしかしたら、一瞬だったかもしれない。

音が無くなるまで、静かにしていた。


静寂。


生徒たちは、その場に座り込む。

私の膝は、まだ震えていた。


隣を見ると、レアンスがリグレッドを抱えている。

腕からは血があふれ出ている。


急いで手当をしなければ、そう思った。


???A大丈夫?」


声をかけられる。


一瞬で臨戦態勢をとるが、目の前には

十八歳ほどの少女が立っていた。

うすい緑髪で、強い目をしている。


???Bお怪我はありませんか?」


その背後から、年配の男が現れる。

穏やかな表情。祭司服。


???B私は、この場所を預かる者です」


深く頭を下げた。


マリア「...申し訳ありません」


マリアが一歩前に出る。


祭司「マ、マリア様...?」


マリア「ええ、そうです。少々、荒事が起きてしまいまして」


???Aマリア様ー?!私、大ファンなんです!!」


マリアは変わらない笑顔だった。

けれど、どこか張りついたようにも見えた。


マリア「まぁ、うれしいです、ありがとう」


エミリー「わたし、エミリーと言います!!本物にあえるなんて、幸せ...」


祭司「こら、エミリー。欲は出してはいけないよ。」


男がたしなめる。


祭司「失礼しました。私は祭司オルージと申します」


私は、レアンスに小声で尋ねた。


庭師「...マリアってそんなに有名なの?」


レアンス「いえ。ですが、この町に来てから様子が変わっています」


マリアは、静かに話を切り出す。


マリア「開花の種について、何かご存じでしょうか」


祭司は、わずかに沈黙した。


祭司「噂、程度なら」


そう前置きして、言う。


祭司「ここから西に、魔王、と呼ばれる存在がいます」


祭司「彼が、開花の種を持っている、と」


マリア「教えてくれたお礼として、何かお手伝いを」


セオン「ふむ、人道的に言えばそうだが我々の任務は開花の種の収集。今回ばかりは見送るべきだ」


マリア「お礼として、何かを返す、当然の義務です」


カイ「まぁ、まぁ、マリアさんとセオンさん、どちらの言い分もわかります。今は、喧嘩をするほど余裕はないです。」


マリアは一瞬固まるが、笑顔は絶やさない。


レアンス「まて、管理役は庭師様だ。庭師様の判断に任せるのが適任だろう。」


庭師「え、私?」


マリアの人道的部分も、セオンの論理的部分もすごくわかる

だが、


庭師「お礼をかえそう」


マリアの真剣な目が、いやマリアに従ったほうがいい

そんな気がした。


リグレッド「...俺のこと、忘れんな」


そうだった。

リグレッドの場所を見ると、血だまりが出来ていた。

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