第三話 祈りの国、グリーフェス
バスが揺れ続ける。
学校職員「あなた達に探索してもらうのは、宗教国家グリーフェス。開花の種の落下記録があった地域のひとつです」
...探索?
庭師「す、すまない、質問がある」
学校職員「どうされましたか?」
庭師「なぜ探索なのだろうか、グリーフェスに頼めなかったのか?」
学校職員「ええ、頼めませんでした。グリーフェスでは開花の種を神聖化しています。それを取ろうなんて、国の反逆行為ですからね。」
学校職員は笑顔で言う。
学校職員「なので、開花の種を入手することに成功したらすぐに声をおかけください。」
そういって、謎のボタンを渡される。
学校職員「そのボタンを押すと、バスがあなた達の元へ走るようになります。」
庭師「初めから、逃げる気で...」
乗り物が急に止まる。
降りるように指示され、下りると町があった。
いくつもの場所に、協会と思しきものがある。
祈りのために装飾された黄金の建物。
そんなものがいつも見える。
庭師は、無意識に背筋を伸ばしていた。
宗教。
その言葉が、この町にはよく似合っていた。
人々は、歩きながら祈っている。
声に出す者もいれば、唇だけ動かす者もいる。
皆が祈っている。
庭師は、十人の生徒を振り返る。
メロディアは、少し身をすくめ、レアンスは、地図を広げている。
マリアは——
庭師「……えっ」
小さく、そう言ってしまった。
マリアは乗り物に乗っていた時と違い、
姿勢は正しく、聖職者のような服を着ていた。
もちろん、酒の匂いはしない。
学校職員「では、ここで私の業務は終了です。」
そういうと、乗ってきた乗り物の扉が閉まる。
庭師「ちょ、ちょっと!!」
学校職員「吉報を期待しています」
乗り物は急発進、声を通す間もなく行ってしまった。
庭師「 どうしよう」
悩んでいると、レアンスが話しかけてきた
レアンス「庭師様、まずは開花の種の情報収集のため、聞き込みをするのはいかがでしょうか」
庭師(確かに、今は"開花の種"の情報が少ない。この状況を打開するためには、情報収集しかないかな。)
庭師「え、あの……生徒たち、まずは開花の種について、聞き込みを……しようか」
生徒たちの反応はなかったが、行動はしてくれた。
聞き込みは、思ったよりも容易だった。
ただし、同じことしか話さない。
「開花の種? グリーフェス神の力によるものだ」
「祈らぬ者には、決して届かない」
「神はその道を示し、迷う者を導く」
どの言葉も、狂気的な信仰で語られる。
私は、困り、日記帳を開く。
マリア
出身:宗教国家グリーフェス
その情報が目に留まる。
マリアを呼ぼうと振り返ると、石像があった。
神の像だ。
顔は削られ、表情がない。
それでも、人々は祈る。
「気味悪ぃ町だな」
低い声。
リグレッドだった。
壁にもたれ、腕を組んでいる。
「神だの祈りだの。神なんていねぇのによ」
言葉を隠すには、この町は静かすぎた。
マリアが、ちらりとこちらを見る。
「……それ、あんまり大きな声で言わないほうがいいよ」
笑顔だが、目は笑っていない。
それどころか走る準備をしている。
リグレッドは鼻で笑った。
「事実だろ。グリーフェス神? 名前だけで、中身が知れるーー」
その先は、聞こえなかった。
鎧の音が、近づいてきたからだ。
人々は、何も言わず、祈る姿勢のまま道を空けた。
誰かが息を呑む。
——警備隊。
白銀の鎧。
装飾がついている盾と剣。
胸には、神の紋章。
殺気のようなものが体を貫く。
カイが頭を押さえながら、こちらを向く。
私は、思う。
——ここは、縛られた庭だ。
同じ形ではないと摘み取られる場所なのだ。
リグレッドが、攻撃の準備をする。
レアンスは、逃げる場所を確認している。
次の瞬間、警備隊が武器を抜いた。
金属が重なる音が、空気を裂くように響く。




