魔王討伐任務 #0.5
「おいおい、ちょっと待ちなって・・・君達が強いのは認めるが、だからって、いきなり魔王討伐任務に行くのは早いっての!」
「それに、リーダーの彼は表世界で使ってた強化装備が使えなくて、今は"こんなん"だしねぇ〜」
そ・・・そうだそうだ!
ギアーヌとコロックって少女の言う通り、まだ魔王を倒しに行くのは早いんだって!
若干 "こんなん" と評された事は、多少気に触ったけど。
事実、"こんなん" な状態を晒してるから、そう言われるのは仕方ない事だろう。
「お……お二人もこう言ってますし・・・」
俺は "ね?【魔王討伐】受けるのは、また今度にしよっ?ねっ?ねっ?"・・・という視線をセフィーに向ける。
「リクは他のパーティーに先越されて良いの?女神様が言ってた事が本当なら、裏世界の魔王を倒せば、表の魔王も消える。それって、どこかのパーティーが私達より先に魔王を討ったら、もう私達、魔王と戦えないんだよ?」
ああ――――そうだった、そうだった。
アニーに負けず劣らず、セフィーもなかなかの戦闘狂だって事を今思い出したわ・・・。
そういや、俺のパーチィーに騎士団を抜けて入った理由の一つに・・・
「君と冒険すれば、もっともっと強い魔物と自由に戦える気がするから!」
なんて言ってたなぁ・・・。
「リクは魔王と戦いたくないの?」
「い・・・いやー……?メチャメチャー…タタカイタイッスヨーーー」
「ぜってぇ戦いたくないって思ってるな・・・これ」
「あきらかに、戦いたくなさそうだね・・・あれ」
「びっくりするぐらい、片言だったな・・・彼」
「ちょっとそこぉ!余計な口を挟まない!!」
俺は俺の心を読んで余計な一言を呟いたギアーヌとコロックとジェラルにツッコんだ。
「まぁ、もうリク自身が戦いたくないって言うんなら、それで良いんだけど」
あれ?意外とすんなり、わかってくれた・・・?
「シーラさん、このギルドに、まだパーティーに属してないソロの冒険者は何人いますか?」
「ん?あぁ、昨日調度はぐれ冒険者が4人パーティーを結成したから・・・今は16人だね」
「そうなんですね・・・それと、確か……パーティー結成に必要な最低人数は冒険者3名……ですよね?」
「あぁ、3人から冒険者を結成できるよ」
「それなら、悲しいけど、ここでリクとはお別れだね」
え・・・えぇ!?い……いきなり!?
「だって、魔王ともう戦いたくないんでしょ?」
「いやいや、そ・・・ソンナコトハ・・・」
「アニーはどう思う?」
「俺か?俺はリクが魔王倒しに行きたくねぇんなら仕方ねえと思うが・・・」
「なら、決まりだね」
「へ?・・・何が?」
「""パーティーの解散""がだよ、私とアニーはもう一人はぐれ冒険者を探して【魔王討伐】に行くから、リクも新しい仲間探し頑張りなさいね!」
え・・・?それって、これから俺一人ってこと?
もうGXモード使えない、"""この有り様""で、この世界に一人になれと?
「いやいや!ちょっと待ってくださいよ!セフィーさん!!俺……まだLv50代に入ったばかりなんですよ?そんな冒険者を受け入れてくれるパーティーが裏世界にあるとお思いで・・・!?」
「ないな・・・」
「ないでしょうね・・・」
・・・・・・でしょう…?そうでしょう…?
「それに、2人の強さに見合いそうな冒険者も、このギルドには残ってないしな」
「ギアーヌそれを自分で言って悲しくならないのです?」
「いやぁ・・・だってよ?実際、そうだしな?俺らも魔王討伐に行った事はあるけど・・・」
「魔王が住んでる所の前のマモノノ森の何十倍も黒魔霧の濃度が濃い森【絶の大森林の魔物に殺されかけて引き返して来たんだよね〜」
「なんとか、全員命は失わずに済みましたが・・・」
「俺は片脚を、コロックは片腕を失った」
ギアーヌがそう言うと、コロックは体を覆ってるマントを左腕側だけ払って腕を俺達に見せた。
「ふふーん、これはこれでカッチョいいでしょ?」
「た、確かに・・・!片腕だけ義手ってなんかカッコイイ!」
「ああ・・・!確かに!こりゃあカッコイイなあ!!」
「へへーん、ここに近接用の隠しナイフを仕込めるんだぜ〜?」
コロックは銀色の義手の腕の側面の部分をパカッと開けて、俺とアニーに見せびらかした。
「おお〜!!!」
「・・・ちょっと2人とも?」
「は・・・はい・・・」
コロックが見せた銀色の左義手を見て""男子""らしく興奮していた俺とアニーであったが、セフィーの笑顔の裏から向けられた「今そこに注目するとこか?お前ら」
という視線を受けて自重した。
「コホン・・・つまり、魔王討伐は私とアニーでも無茶だと?」
「えぇ。それに……貴方々はこの世界に来たばかりなのでしょう?この世界は私達が転移した以前の何十年、何百年前から存在してるのにも関わらず、未だに魔王は討伐されていない現状が答えですよ……」
「そうですか・・・それなら仕方ないですね・・・」
ホッ・・・良かった〜。一旦、魔王討伐任務の受諾は白紙になりそうだ。
「私達はこれから、このギルドを拠点として、各々ソロで魔王討伐に向けて修行します!それで良い?アニー?」
「構わねえぜ?」
「え?""魔王討伐に向けて""って俺も・・・?」
「だって、リクは魔王討伐に行きたくないんでしょ?それなら、無理に私達に着いて来なくて良いよ?ギルド登録は済ませたんだから、仕事は受けられるでしょ?」
そ……そもそも俺が一人で受けられる難易度の冒険者の仕事……この世界に無い気がするんだけど・・・
「という訳で、冒険者リクのパーティーは今日で解散!・・・じゃあ私は修業に向けて鍛冶屋で刃こぼれした剣を治しに貰ってきますね」
「えっ?マジで解散なの!?」
「シーラさん、リクの事を、よろしくお願いします」
「あ・・・あぁ・・・」
セフィーは俺からの問いをアッサリと無視して、ギルド長に一言伝え、そのままギルドハウスから退出した。
「なぁ、アニー今のって・・・」
「あー、俺も暫くジッとしててウズウズしてたから鍛錬してくるわ、じゃあなっ、リク」
「いや、""じゃあなっ""じゃなくて・・・」
セフィーに続いてアニーも俺を置いてギルドハウスから退出してしまった。
「ねぇ、冒険者リクのパーティーって・・・君がパーティーのリーダーなんじゃないの?」
「パーティーの解散って普通リーダーが決めるものなんだけどな・・・」
「そっ・・・そうだよね!?パーティーのリーダーは俺なんだから、解散を決める権限は俺にある筈だよね!?」
「まぁ・・・""普通""はな?」
「なんか……気づいたらムカついてきた!なんなんだアイツら!俺を置いて勝手に話進めやがって!ちょっと俺も外で空気吸ってきます!!」
「森は君一人じゃ危ないから入らないようにねー」
ギルド長の忠告を後ろ耳に、俺はギルドハウスを退出した。
「しっかし・・・リーダーを置いて強行解散するなんて・・・あの嬢ちゃんも酷い事するもんだぜ」
「いや、あれは本気じゃないでしょう」
「え?」
「そりゃそうだろう」
「うん、ボクも思った〜」
「ウチも」
「え?みんな嘘の奴だって気づいてたの・・・?」
ギアーヌを除いた4人がコクリと頷いた。
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俺はギルドハウスを出てムカムカを和らげるために街を散歩した。
街を歩きながら、広い場所に行きたいと思った俺は平原まで辿り着いた。
平原を歩いていると、平原を囲っている森の目の前に一人の男の子の存在が見えた。
森の入口をウロウロしていて明らかに森の中に入ろうとしている。
「おい!君!そっちはあぶないよ!」
「だ、誰!?」
振り向いた男の子は急に声を掛けてきた俺を警戒している。男の子が何かを大事そうに両手で持っているのが目に取れた。
「怪しいもんじゃありませんよー」
「・・・最近来た勇者さん?」
「うん!そうそう!そっちは怖い魔物がいるからこっちに戻ってきな!ねっ?」
「でも、これを戦士さんに届けないと…」
「これは…何?」
俺は男の子に近づく、男の子が抱いていた物は大きな指輪だった。
「これ大事なものらしいんだけど、置いてっちゃったみたいで…!だから…!」
やばい、これ俺が届けに行かなきゃいけないパターンじゃん!?やだなーーこんな禍々しいオーラを放っている森に入りたくないなー…声掛けるんじゃなかったなー~………。
でも、声掛けてしまったからには、しょうがない。
「まだ出てからそんな経ってない?」
「う、うん!!」
「じゃあ、お兄さんが届けてあげるよ!貸してみ?」
あーーーいっちまったーーー!もう逃げられないよー~
…!
「本当!?」
「その必要は無い。」
「は?」
禍々しいオーラを放つ森からより濃く禍々しいオーラを放つ人型の魔モノが現れた。




