レベルチェック
・・・・・・・・・・。
「リク?おーいリクーー?」
「ん…?」
瞼を開けると目の前に大男の姿が。
「誰?」
「終わったぞ。」
見上げると、それはアニーだった。
「そっか…・・・ッ!?俺、気絶してからどれくらい経ってた!?」
「知らねえな、俺こっちに来たばかりだし、そんな経ってねえんじゃねえか?さっき顔合わせた時から」
「あ、あとお前そろそろ魔霧ポットに入れねえと消えるぜ?」
言われて気づき俺は倒した囮アントローの死体に目を向けると死体から漏れ出た魔霧が今にも消えそうなくらい薄く揺らいでいる…。
「それを早く言ってよ!?」
俺は急いで魔瓶の蓋を開けて死体の近くに薄く滞留している魔霧を採取した。
ザッザッ…ザッザッ…と複数の何者かの足音が聞こえた。
アントローはもう倒したんじゃ!?
「誰か来るな…」
「おーい!お前そこで何をしている!!」
「お前達こそここで何をして…ん?」
「なんだお前らじゃないか。」
その複数の何者かの正体は冒険者ギルドに居た男の内の一人と、そのパーティーメンバーらしき3人だった。
「ギルドに居た奴…確か…ギアーヌだっけ?」
「あぁ、そういや、お嬢さんの名前は聞いたがお前らの名前は聞いて無かったな。良かったら教えてくれないか?」
「いいよ。俺はリク」 「アニーだ」
「リクとアニーだな。ここは最近住み着いたアントローの住処だ、おそらく仕事を受けて素材集めに来たんだろうがとっとと森から出た方が良い。ヌシのアントローに見つかったら俺らでも戦えるかどうかだからな…」
「あぁ、その心配はいらねえよ。もう倒した。」
「え?いや、よせよせ、そんな強がりは!お前達がどれだけ強いか知らんが、そう簡単に倒せる魔物じゃ…」
「でもギアーヌ、森中の木の幹の上部を斬るなんて芸当、アントローが出来るかな?」
ギアーヌという男のパーティーメンバーらしき少年が耳打ちする。
「いや、確かに…まさかここらへんの木斬ったのお前達の仕業か?」
「あぁ、アントローをまとめて倒すのにな。」
「おーいギアーヌ〜こっちこっちー」
いつの間にかギアーヌの傍から離れていた彼のパーティーメンバーらしき少女が離れた所に生えてる木の近くからギアーヌに呼び掛ける。
「何だ?」
確か、あっちは親玉アントローとアニーが戦っていた…。
「あれ。」
ギアーヌが仲間の女性が指差した方に目を向けると、底には巨大なアントローが縦真っ二つに両断されて倒れていた。
「ま、まじかよ………」
ギアーヌと女性が近くに戻ってきた。
「お前ら…ほ…本当に倒しちまったんだな。」
「おう。」
「もしかして、素材欲しかったりします?分けましょうか?」
「そ、そうか…それは有難いが…。」
何か不味いことをしてしまったのだろうか?俺ら。
「いやね、私達アントローを使ってレベリングしてたからさ…全滅させられたら…。」
「そのレベリング用の相手が居なくなっちゃうんですよ」
「と…とは言え、昨日から急激にここのアントローの強さが急激に上がっててな。」
「だから、手を出さないで居たんだけど、まさかこんなにあっさり倒されてしまうなんて…て、めちゃめちゃ腰抜かされてるワケ私ら。」
「そ……それは悪いことしちゃいましたね……俺ら……」
☆☆☆
「いやはや、すまない…まさかアントローをヌシごと全滅させてしまうとは、思いもしなかったんだ…」
ギルドに戻った俺を治癒しながらギルド長はギアーヌ達に詫びた。
「それはまたレベル上げに使えそうな魔物探すから良いが問題は”あの状態のアントロー”に転移してきたばかりの冒険者を戦わせた事だ。」
「どういう意味だい?」
「なんか知らないけど、めちゃめちゃ強化されてたわ。昨日から。」
「あぁ、成体アントローを俺ら4人で2体倒すのでギリギリだった後追いしてくるアントローとは戦わずに離脱したよ。」
「そうか…終わったよリク。」
「ありがとう」
アントローとの戦いで受けた内蔵の損傷が完全回復した。体力もだいぶ回復しているようだ。
「へへん!ギルド長は凄いノコなんですよ〜」
自慢げな顔をしながらルドがレベルチェックの本型の魔具を抱えてカウンターからやってきた。
「何でルドちゃんが自慢げなんだよ」
「当たり前ノコ!だってギルド長の治癒魔法はSランクの中でも更に上位、傷の治癒に魔力の回復に体力の回復と全部一度に治せるノコ!!」
そういえば、セフィーの治癒魔法でも体力と傷を同時に回復は出来なかったっけ…。
「凄すぎる…だって普通治癒と回復って別なのに…」
セフィーもかなり驚いてる様だ。相当ハイレベルな技を見せてくれたみたいだけど、今の俺にはさっぱりだ。
「それが出来るのが我らがギルド長ノコ!なんてたってギルド長は・・・」
「それ以上言うんじゃないよ、ルド」
「ご……ごめなさいノコ…!」
「それより、彼のレベルチェックをしよう」
「は……はいノコ…!」
一瞬だけルドとギルド長の間に緊張が走った気がした。
ルドは目の前まで寄ってくると俺の腰ポーチを指差した。
「これからレベルチェックしますノコが、瓶にまだ残ってますノコね?摂取しなくて良いノコです?」
ボーチの中を覗くとアントローから採取した魔霧が残っままの魔瓶が中で光っていた。
「あ……そういえば…腰の魔瓶に入れたままだった」
「ルドは鼻が良くってね、魔瓶に魔霧が残ってると臭いで気づくんだ」
なるほど。だから、ポーチの中の魔瓶に魔霧が残ってるってわかったのか!
俺はポーチの中の魔瓶を取り出して魔霧を体内に摂取した。
「さ、レベルチェックしますノコ」
俺が手を出すと
ルドがその上に手を置く
すると・・・。
【リク Lv55】
「リクさんの現在のレベルは55ノコですな」
・・・え?
「ちょ……ちょっと!よーーく見せて!」
「・・・ほ……本当だ……」
ルドの手の上に浮かんだ総主力値表に書かれている文字を自分でも確認したが
確かに【リク Lv55】と表記されている。
「てか、リクお前レベルそんな低かったのかよ。」
「あれじゃない?ドジな女神様が”あの扉”を開く場所をまた間違えちゃったとか?」
「あーありえるわー…最近調子が悪いのかな?」
「ちょ、調子悪いだけで済むミスじゃない気がするんだけどな…」
「前に魔王城に向かって行った刃の勇者の仲間も別の所に飛ばされてたらしいしね…ドジしすぎでしょ女神様」
ギアーヌとその仲間達が会話してる中俺は嫌な汗をダラダラ流している。
「お、おめでとうございますノコ!目標レベル達成ノコ!」
「……あ?あぁ…うん……」
表面上は作り笑いをしながら俺は心の中で叫んだ。
・・・な……なんでこんなにアッサリ目標レベルに到達しちゃうんだよおおおおお!!!!!!!
※魔瓶の管理・・・魔瓶はポーチやリュックに直接入れず、魔瓶ケースにセットしてからリュックに入れるのが裏世界と表世界共通の常識となっています。




