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代償魔法  作者: 若君
第1章は44話まで更新、9/1で停止します。第二章は年内に公開できると思います。
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第七話 王国を護る

第七話 王国を護る


私は師匠と共に普段着で街中を歩いていたが、町はすでに混乱に陥っていた。

「半分の人口が代償って、ランダムなんですか?」

周囲では泣き叫ぶ声が聞こえる。


「いいえ、年長者から順番よ」

師匠は淡々と答えた。

「もし自発的に犠牲になる者がいれば、状況は変わっただろう」

「だが民衆にこの事実を知らせると、事態は複雑になる」

自発的な者もいれば、拒む者も出てくる。


魔法が失敗する可能性も生まれる。

「だから通常は民衆に知らせない」

彼女の声は平静だった。

「貴族はどうなんです?」続けて聞く。

「彼らが犠牲になるかどうかよ」

「少なくとも、選択の権利はあるわ」師匠は言った。


---

城門へやってくると、さらに深い混乱が広がっていた。

「グレンヴァークが来る!」

「貴族どもは我々を犠牲にするつもりだ!」

「家の老人たちがいきなり消えた!」


「どうやらあの王女は魔獣襲来の情報を公開したようね」

師匠は興味深そうに言った。

「彼女が国王になれば、いい王様になるだろうに~」

彼女の視線の先には、城門の騒動があった。


「師匠、もし王国から出たらどうなるんですか?」

私は好奇心から尋ねた。

「出られないわ」冷静な声。

「転送門も使えない」

彼女は王国から脱出しようとする人々を見つめた。


すると、何人かが突然地面に倒れた。

「私以外の者も、もう出られない」

「あれは……」私は遠くを見つめながら首を傾げた。

まるで全ての人間が、この王国に閉じ込められたかのようだ。


「この王女の願いが『王国を救う』だからね」

住民も当然王国の一部に含まれる。

「一度出てしまえば、王国の一員とは言えなくなる」


「じゃあ私も出られないの!?転送陣で入ったのに!」

「ええ、入るだけよ」

師匠は踵を返して歩き出した。

「待ってください!」私は慌てて追いかけた。


「師匠には勝算ありますよね?」

「まあね……」彼女は足を止めた。

「だが本当はこんな面倒ごとに巻き込まれたくない」

(しかも、一度召喚されたということは、今後も他の王国から召喚される可能性が……)

彼女は首に手を当てた。

(今回奴隷魔法が不完全だったとしても、今後もそうとは限らない……)


【あなたの番です】


「やはり、魔法使いは強すぎてはいけないのよ」ため息混じりに言った。

(それに、最初に召喚されたのは私ではなく……)

彼女は傍らの私を見た。


その時、私は広場の中央で虚ろな目をして立っていた。


ガラリ!

周囲の空間が突然ひび割れた。

「またか……」

複雑な表情で私を見つめ、空中に手を振った。


---

王宮内。

大臣たちが王国の王女を取り囲み、激しく発言していた。

「王女陛下、衛兵からの報告では、住民が城門に殺到しているものの、誰も王国から出られないようです」

気絶するか、見えない壁に阻まれている。

「今や他の貴族たちも王宮に集まってきており、同様に出られません」

「国王陛下はどこへ行かれたのです!」

「魔法使いは今どこにいる!」


「王女陛下!」

一同の視線が彼女に集まる。


「公告を出しましょう……これは魔法を使うための代償です」

「国王の命と、半分の住民の命が代償となりました」

彼女は落ち着いた声でゆっくりと言った。

「そして私は残された住民と、この王国を守ります」

「全てが終わった後、私は……」

言葉を終える前に、彼女の瞳が虚ろになった。


「どうなさったのですか、ライラ様……?」メイドが心配そうに尋ねる。

「魔法使い……様……」ぼそりと言うと、そのまま倒れた。


「王女陛下!」

「ライラ様!」


---

部屋の中。


ベッドの上で彼女はゆっくりと目を開け、天井を見つめた。

「またか……」再び目を閉じ、弱々しい声。

「この件が終われば、私も王族として……死ぬことになるのでしょう」

「だが……それまで持つだろうか……」

そう呟く。


「人を召喚しておいて、今さらそんな弱気なことを言うのか?」窓の外から声がした。


振り向くと、成熟した雰囲気のオレンジ色の髪の魔法使いが、眠る黒髪の魔法使いを抱きかかえ、窓枠から飛び込んできた。

彼女の足は空中を平然と歩くように、軽やかに床に着地した。

「すまないね、王宮に入るのに衛兵に止められたから、こうして入らせてもらった」

ベッドの金髪の少女を見つめる。


「近すぎたせいか……」低く呟き、抱いている少女に視線を移す。


「ねえ、王女陛下」

「取引をしよう」


「どんな要求でも聞きます!」

金髪の少女は慌てて体を起こした。

「私がグレンヴァーク解決をお願いしたのですから……」

「手段が強引で、不快な思いをさせてしまったかもしれませんが……」

「傷つけるつもりはなかったのです!」

「この件が終わったら私も――」

少女は俯き、言葉を続けなかった。


「グレンヴァークは私が解決する」

オレンジ色の髪の魔法使いの声には力がこもっていた。

金髪の少女は彼女を見上げた。

「だから、この子を解放してほしい」

鋭い眼差し。


「そ、それはもちろん……」少女は慌てて何か言おうとした。

「あなたたちの魂はすでに繋がっており、彼女も影響を受けている」

「虚ろな状態になると、彼女は魔法を使ってしまう」

(睡眠魔法で眠らせることはできるが、夢の中で魔法を使う可能性も……)

「魔法の使用で自滅する危険性が高い」


ベッドの少女は目を見開いた。

「私は何度も止めてきた」

こんな状況は初めてではない。

「それに、彼女がそれまで持つかどうかも……」

黒髪の少女をしっかりと抱きしめ、焦りの表情を浮かべる。


「今すぐ解きます!」金髪の少女が叫んだ。

「解けば、きっと……」

「無理よ」遮る。

「魔法を使うには代償が必要」

少女の瞳が激しく震え、目の前の魔法使いを見つめたが、言葉が出ない。


「それも魂を代償にした」

これは魔法の中で最も重い代償だ。

「基本的に、この契約は死ぬまで続く」

しかも転生後も縛られたまま。

「だが、もしあなたが彼女を召喚した願いがグレンヴァークを倒すことだったなら――」

「私はあなたの願いを叶え、グレンヴァークを倒す」


「その時は、この子を解放してほしい」

淡い笑みを浮かべた。

「彼女をこんな形で失いたくない」

金髪の少女は上を見上げた。


「わ……わかりました」


ごめんなさい……

私のせいで、彼らはこの王国の危機に巻き込まれた。

せめて、私にできる範囲で償いたい。

魔法使い――伝説だと思っていた存在が、本当にいたなんて。


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