第六十九話 真の意味での一緒
第六十九話 真の意味での一緒
黒髪の少年が少し興奮した様子で金髪の少年の手を引き、二人が共用する部屋へと足早に入っていった。
彼は注意深く廊下を振り返り、誰も近づいていないことを確認すると、素早く、そして軽やかにドアを閉めた。
「どうしたの、ラン?」部屋の中で、金髪の少年ライラが小声で尋ねた。その口調には一抹の困惑と、かすかな期待が込められていた。
「珍しく、あなたから積極的なんて」彼女の頬はほんのり赤らみ、心の奥底から微かな期待が湧き上がってくる。
「また変なこと考えてるでしょ……」黒髪の少年ランは振り向くと、相手の「よからぬ」考えを察知したかのように、少し嫌そうな口調で言った。
「とにかく……」彼は被っていた魔法帽子をひょいと取り、滑らかな黒髪がそれに合わせて広がった。
「あなたも帽子を脱ぎなさい!」ランは彼女を指さし、有無を言わせぬ切迫した口調で命じた。
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二人の少女が並んで立ち、互いにくっつきそうなほど近寄った。
黒髪の少女ランが手を伸ばし、自分の頭頂とライラの頭頂の間を行ったり来たりさせながら計測している。しばらくして、彼女は大きな衝撃を受けたように、魂が抜けた様子でその場にへたり込んだ。
「私って……背が低い!」ランは愕然として呟き、この事実を受け入れられない様子だった。
「どうして? ずっと私の方が背が高いと思ってたのに!」
普段、背を高く見せる効果のあるあの魔法帽子を被っている時は、ちゃんと一頭分は高く見えていたのに。
「変だよ!」ランは抗議せずにはいられなかった。
「私は普段から魔物退治を日常の鍛錬にしてるんだよ!」魔物と戦って体力を鍛えている魔女として、どうして背丈で負けなければならないのか。
ライラは彼女の興奮した様子を困惑しながら見つめていたが、やがてしゃがみ込むと、優しく彼女の頭を撫でた。
「心配しないで、ランはこのままで可愛いよ~」彼女は微笑んで慰めながら、指先でそっと漆黒の髪を梳いた。
「可愛いなんて言われたくないよ!」ランは彼女の手を振りほどき、不満げに抗議した。
「私は最強の魔法使いになるんだよ! 『最強』と呼ばれる人物で、こんなに小柄な奴を見たことある?」
「そうは言っても、十六歳の女の子じゃもうあまり背は伸びないでしょう。現実を受け入れようよ。ランがどんな姿であろうと、私は受け入れるわ」ライラの口調は落ち着いていて、むしろ少し残酷なほど率直だった。
(これじゃ、慰めない方がマシじゃないか!)
「私はあんなにケーキを食べたのに、どうして背が伸びなかったんだろう……」ランは悲しそうに膝を抱えて呟いた。
「どうしてケーキを食べると背が伸びると思うの?」ライラが不思議そうに尋ねる。
(ケーキは乳製品の一種だろ!)ランは当然だと言わんばかりの顔でそう考えていた。
「普段ずっと帽子を被っているから、全然気づかなかったんだよ! 私の背丈、こんなに低かったなんて。もう全てが手遅れなのか……。いや! 魔法使いたるもの、魔法の力で問題を解決すべきだ!」
ランは突然闘志を再燃させ、目に決意を宿した。
「背を高くする魔法があるかどうか考えてみよう……」彼女は考え込んだ。
彼女はその場に床に座り込み、自身の魔法書を召喚して素早くページをめくり始めた。
「確かあったはず……『体重を増やせば、それに比例して背が伸びる』魔法……」彼女が書頁に集中して目を通す間、ライラは静かにそばに座り、彼女をじっと見つめていた。
「あった! どれどれ……『身長を一センチ伸ばすには、その代償として体重を一キロ増やさなければならない』」ランは魔法の説明を見て、葛藤に沈んだ。
「さっき比べた感じ、彼女とは四、五センチの差かな。ということは、彼女を越すには五キロ体重を増やさなきゃいけないのか。五キロか……」彼女は躊躇した。
「もっといい魔法、他にないのかな……」彼女は諦めずにページを素早くめくり続けた。
「そういえば、ランはあんなにケーキを食べるのに、全然太らないね。どうして?」
ライラがそばで疑問を口にした。視線は本をめくることに集中するランに向けられている。
「これはね、別の便利な魔法を使ってるからだよ」
ランは説明しながら片手を上げた。すると、手のひらの上に一掴みの細かい砂が空中に現れた。
「食べたもののカロリーを、その場で砂に変えちゃう魔法なんだ~。毎日の摂取カロリーの合計を、ある基準値以下に正確にコントロールできれば、太らないんだよ!」
「でも、さっきの背を伸ばす魔法……」身長一センチにつき体重一キロ。
「その代償は『体重の増加』であって、単なる『カロリー』じゃないから、あの砂の魔法じゃ相殺できないんだ。つまり、増えた体重は自分で後から落とさなきゃいけないってこと。悩ましいな……」
「そんな風に魔法を使うの……本当に大丈夫なの?」ライラが尋ねた。その眼差しはいつになく真剣に見えた。
「大丈夫だよ」ランは短く答え、視線はまだ魔法書の上にあった。
「こんな明確な代償を伴う魔法、本当に気軽に使っていいの?」ライラは問い続けた。ランはようやく顔を上げて彼女を見た。
「師匠が言ってた。魔法そのものはただの道具で、使い手がどう使うかが問題なんだって。自分が負担できる、受け入れられる代償を伴う魔法を選んで生活を良くするのは、魔法使いの知恵の一つなんだ」
ランはエイブリンの教えを繰り返した。
「もし……使った後に後悔したらどうするの?」ライラは彼女を見つめた。
「それも経験すべきプロセスの一つで、選択の一部だよ。だからこそ『師弟契約』が存在するんだ。師匠は弟子がかけた魔法を無条件で解除できる。これも一種の保護なんだよ」
これはつまり、師匠の下を卒業したら、全ての魔法の代償は魔法使いが自分一人で背負わなければならないということでもある。
しかし、もし双方の自発的な意思で結んだ「約束」ならば、師匠でさえ手を出せず、解除することもできない。
(二人の間の誓いは、師匠でも干渉できない……)ランの視線は、目の前で考え込む金髪の少女に向けられた。
(でも、『約束』は双方が心から認め、目的が達成されれば自動的に解除されるって聞いたけど……)彼女は内心でそう考えた。
「私のそばにいること……楽しくないの?」ランは単刀直入に切り出した。ライラはわずかにたじろぎ、彼女を見上げた。
「どうして? 私はとても楽しいよ」彼女はすぐに優しい微笑みを浮かべた。
「じゃあ、どうして私たちの魂の繋がりはまだ消えないの?」ランは首をかしげ、目が少し虚ろに見えた。
「願いが叶ったなら、『約束』もそれに合わせて解除されるはずだよ」互いを繋ぐあの無形の糸も消えるはずなのに。ライラは彼女の言葉を静かに聞いていた。
「つまり、あなたが心の底から『もう私と一緒にいるんだ』と感じれば……約束は解除されるはずなんだ」
ランが真剣に分析するのを、ライラは見つめたまま、すぐには言葉を返さなかった。
「それは……ランがずっと、本当の意味で私を受け入れようとしてくれないから。だから、私たちは本当の意味で『一緒にいる』ことにはなっていないんだと思うわ」ライラは小声で言った。その口調には、捉えどころのない一抹の寂しさが込められていた。
「えっ!?」もしかして問題は私の方にあるの? ランは再び困惑の渦に陥った。
(師匠は確かに、約束を解く鍵は彼女にあるって言ってた……)街で師匠がこっそり教えてくれたことだ。
(それに、彼女は私に『命令』で縛られているから、私から離れられないのかもしれないって……)
師匠が私に何かをさせたくないなら、まず彼女との約束を解かなきゃ。
(でも具体的にどうすれば……)彼女は悩みながら考えた。
「ラン……」ライラは彼女の名を呼びながら、同時に手を伸ばした。彼女はそっとランを床に押し倒し、両手をランの体の横について、彼女を見下ろすように俯いた。
「ランは、私ともっと深く繋がりたくないの?」彼女はランを見つめ、その目には淡い悲しみがあった。
「当たり前でしょ! 師匠を操る奴め!」ランは床に寝転がったまま、怒って彼女を睨みつけた。
「ラン、考えたことはある……?」ライラは彼女を見つめ、手を伸ばしてランの頬をそっとなでた。
「もし私があなたを好きじゃなかったら、エイブリン様を連れてどこかへ消えて、二度とあなたの前に現れないこともできたはずよ。私がまだここにいて、あなたと主従契約まで結んでいるのは……」彼女はゆっくりとランに顔を近づけた。
「全て、私があなたのことが好きだからだよ、ラン」
「私と一緒にいて、くれない?」ライラは小声で乞うた。その吐息はすぐそばにあった。
ランは彼女の手をぱっと払いのけると同時に、鋭い頭突きを繰り出し、ライラの額にまともにぶつけた。
「ゴンッ!」という鈍い音がして、二人の額が激しくぶつかり合った。
誰もいない廊下。部屋の中で二人の少女に何が起きたかを知る者はいない。
「嫌だ」ランは座り直し、あっさりと断った。その口調に譲歩の余地は一切なかった。
ライラは赤くなった額を押さえ、彼女を見上げた。
「家族を奪った奴は、絶対に許さない」ランの目は今、果てしない深淵のように虚ろで、その口調は霜のように冷たく、一切の温度を感じさせない。
さっき激しくぶつかった額には、今、はっきりとした赤みが浮かび上がりつつあった。
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翌朝、食堂には焼きたてのパンの香りが漂っていた。
「あなたたち二人の額、どうしたの?」エルリスは眉をひそめ、鋭い視線で並んで座るランとライラを見渡した。
「別に」黒髪の少年ランはむっつりと顔をそむけ、彼女の視線を避けた。
「ただ……ちょっとぶつけただけです」金髪の少年ライラは、相変わらずの優雅な微笑を保ち、何事もなかったように答えた。
「嘘はつかないでって言ったでしょう?」エルリスはため息をついた。体内の正直魔法の警報が、とっくに無音で鳴り響いているのを感じていた。あの腫れ具合を見る限り、単なる「ぶつけた」程度ではないはずだ。
「今日、私は学院に行かなくちゃいけないのだけれど……」彼女は二人の様子を伺いながら、心の中に一抹の不安が湧き上がるのを感じた。
(二人とも連れて行くべきかしら……)彼女は頭痛を覚えながら考えた。
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