空飛ぶクジラ
空飛ぶクジラを開いてくれて、ありがとうございます。
空を飛ぶ事を夢見て、頑張るクジラのお話です。
短いですが最後まで、読んで頂けると幸いです。
広い海を泳ぐ、1頭のクジラが海面に顔を出し、空を見上げています。
クジラ「あんな、青い空を飛んでみたいな。」
クジラは毎日毎日、空を見ます。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ある日、空を見ていると、カモメがやって来ました。
カモメ「クジラさん、どうして空を見ているの?」
クジラ「空を飛んでみたいんだ。」
カモメは、ケラケラと笑います。
カモメ「クジラさんには、大きな羽が無いから、飛べないよ。」
クジラ「カモメさんには、大きな羽があるから、羨ましいな。」
カモメは、笑いながら、どこかに飛んで行きました。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
クジラが食事をしていると、イルカがやって来ました。
イルカ「クジラさん、どうして毎日空を見ているの?」
クジラ「空を飛びたいなと、思って。」
イルカは、クスクス笑いながら。
イルカ「クジラさん、ロマンチックですが、羽もないから無理ですよ。」
イルカは、笑いながら去って行きました。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
そんなある日、雨と一緒に、綿雲が一つ落ちてきました。
クジラ「何かが落ちてきたぞ。」
クジラは近づいてみます。
クジラ「お空の雲が、落ちてきたんだ。」
クジラは、ふと思いました。
クジラ「雲を食べたら、空を飛べるかな?」
クジラは、半信半疑で、雲をたべました。
モグモグ。
クジラ「少しは軽くなったかな。」
クジラは、雲を食べて、軽くなったと思いました、。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
あくる日から、綿雲が落ちてないかと、探すようになり。
クジラ「雲、落ちてないかな。」
辺りの海を、探し回る。
カモメ「今度は何をしているんだい?」
久々にクジラを見つけたカモメが声を掛ける。
クジラ「雲を探しているんだ、カモメさん見てないかい?」
カモメは、ケラケラと笑う。
カモメ「落ちてるワケないよ、雲は消えちゃうんだから。」
クジラ「雨の日に落ちてたよ。」
カモメ「わかった、見つけたら持って行くよ。」
カモメは、ケラケラ笑いながら、遠くに飛んで行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
大雨の日、朝からクジラは、確認に海面へ上がります。
クジラ「前は雨の日だったから、あるかな。」
すると、空から綿雲が一つ、落ちてきました。
クジラ「やっぱり空から落ちてきてるんだ。」
クジラは、落ちてきた綿雲を、食べました。
クジラ「また、軽くなったかな。」
クジラは、深く潜り、空へ向けジャンプした。
ザッパーン!
クジラは、海面を飛び出すと、1メートル程進んだ。
クジラ「ちょっと飛べた。」
クジラは、嬉しくなり、何度かジャンプした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
暑い日、クジラはのんびり泳いでいると、カモメがやって来ました。
カモメ「クジラさん、まだ探してるの?」
クジラ「今は、雨の降ってる所を探してるんだ。」
カモメ「雨なら、明日には来るよ。」
クジラ「ホントに!?」
カモメ「どうして雨?」
クジラ「雨の日に、綿雲が落ちてくるんだ。」
カモメ「信じられないけど、綿雲を探せば良いんだね。」
クジラ「カモメさん、よろしく。」
カモメは、明日の朝来ると言い残し、飛んで行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
次の日、カモメの言う通り雨が降っている。
クジラ「ホントに雨になった。」
そこへカモメがやって来た。
カモメ「クジラさん、手伝いに来たよ。」
クジラ「カモメさん、ありがとう。」
カモメ「どこを探せば良い?」
クジラ「僕じゃ、遠くは時間がかかるから、遠くの方をお願いします。」
カモメ「わかった、雨の境を探しでみるよ。」
カモメは、雨の境を探して、飛んで行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
クジラは、周辺を探していると、イルカがやって来た。
イルカ「クジラさん、綿雲を探してるんですね。」
クジラ「イルカさん、そうですよ。」
イルカ「私も手伝いましょう。」
クジラ「イルカさん、ありがとう。」
イルカは、クジラと逆周りに、探しに行ったら。
クジラ「カモメさんやイルカさんに負けないように頑張ろう。」
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
◆ カモメ ◆
カモメは、雨の境までやって来た。
カモメ「境までやって来たが、綿雲なんてあるのか…。」
カモメは、雨の境を飛び回る。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
暫くすると、海面に白い何かが浮いていた。
カモメ「ひょっとして、あれが綿雲が?」
カモメが、近づくと、空の雲の様な形をしている。
カモメ「きっと、これが綿雲だな。」
カモメは、足で摘んでみると、とても軽く摘んでいる事を、忘れそうになった。
カモメ「クジラに持って行こう。」
カモメは、クジラの元へ飛んで行った。
◇ カモメ ◇
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
◆ イルカ ◆
イルカは、仲間に呼び掛けた。
イルカ「仲間達、お願いがあるんだ。」
すると、他のイルカ達から、返事が返ってきた。
仲間全員「どうしたんだい?」
イルカ「海面に、綿雲がないか、探してくれ。」
仲間全員「わかった!」
イルカは、仲間達と海面を泳ぎ回る。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
暫くすると、1頭の仲間から。
仲間①「おーい、あったぞ!」
イルカ「ホントか!」
仲間1①「白くてモコモコした物だぞ。」
イルカ「わかった、今から行くよ。」
仲間①「待ってるよ!」
イルカは、仲間①の元へ向かった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
仲間①の元へやって来ると、仲間②と仲間④が居た。
イルカ「お待たせ、何故一緒に?」
仲間①「綿雲見つけたんだって。」
仲間②「あったぞ。」
仲間④「あったわよ。」
イルカ「皆んな、ありがとう。」
海面で体を左右に振り、喜びを伝える。
仲間①「綿雲って、これで良いのか?」
イルカ「多分、合ってると思うよ。」
仲間①「えっ、本物は見てないの?」
イルカ「うん、雲みたいって、聞いただけだよ。」
仲間①「じゃあ、3つを持って行くしか、わからないのか。」
イルカ「うん、1つにまとめて持って行くよ。」
仲間①「わかった。」
仲間①は、仲間②と仲間④の綿雲をまとめると、イルカに渡した。
イルカ「皆んな、ありがとう、また何処かで。」
仲間達は、手を振り、別れた。
イルカ「さあ、クジラさんに持って行こう。」
イルカは、背中に綿雲を載せると、クジラの元へ向かった。
◇ イルカ ◇
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
クジラが、辺りを探し回っていると。
カモメ「おーい、クジラさーん!」
綿雲を掴んだカモメが戻って来た。
クジラ「カモメさん、綿雲あったの?」
カモメ「あったよ、これで良いのかな?」
カモメは、掴んでいた綿雲を落とした。
クジラ「そう、綿雲だよ。」
カモメ「良かった、間違ってたら、探しに行く所だったよ。」
クジラ「カモメさん、ありがとう。」
カモメ「じゃあ、またね!」
カモメは、何処かへ、飛んで行った。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
クジラは、カモメが持ってきた綿雲を食べた。
クジラ「見つかって良かった。」
クジラは、また軽くなった気がした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
クジラが、喜んて泳いでいると、空から2つ、綿雲が落ちてきた。
クジラ「綿雲だ!」
クジラは、綿雲をまとめ様としていると、イルカが戻って来た。
イルカ「クジラさん、持って来たよ。」
イルカは、綿雲を背中に載せ、近づく。
クジラ「大きい綿雲だね。」
イルカ「仲間に手伝ってもらったんだ。」
クジラ「そうなんだ。」
イルカ「これで合ってるよね?」
イルカは、背中の綿雲を下ろす。
クジラ「うん、綿雲だよ。」
イルカは、立ち泳ぎで、拍手をした。
イルカ「良かった、良かった。」
クジラ「イルカさん、ありがとう。」
イルカ「どういたしまして。」
イルカは、片手を挙げ、泳いで去って行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
クジラは、2つの綿雲を食べると、ふと思った。
クジラ「大きな綿雲を食べたら、飛べるかも。」
期待を胸に、大きな綿雲を食べた。
ピチャン、ピチャン。
何と、体の下で波が当たる音がします。
クジラ「う、浮かんでる!」
とうとうクジラは、浮き上がったのです。
クジラ「ヤッター!ヤッター!」
クジラは、海に潜りますが、軽くなったからか、深く潜れません。
クジラ「も、潜れない!」
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
尻尾を激しく振り、やっと海底に辿り着きました。
クジラ「集中しないと、浮き上がってしまう…。」
クジラは、尻尾を岩の隙間に入れ、体を固定します。
クジラ「ここから、海面に飛び出せば、空に届くはず。」
クジラは、岩の隙間から尻尾を外すと、全速力で海面を目指します。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
どんどん速度が上がり、海面が近づきます。
クジラ「さあ、ジャンプ!」
ザパーン!
勢い良く飛び出したクジラは、カモメが飛ぶ高さまで上がりました。
クジラ「飛んでるー!」
クジラは、とても喜び、その場を旋回します。
クジラ「ヒャッホー!」
クジラは、尻尾と手を使う事で、自由に飛び回ります。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
飛び回る事を止め、海に潜ろうとしますが、潜れません。
クジラ「あれ、潜れないぞ?」
クジラは、こまってしまいました。
クジラ「どうしよう、餌が食べられないよ!」
クジラは、涙を流します。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
暫くすると、イルカがやって来ました。
イルカ「クジラさん、どうして泣いてるの?」
クジラ「綿雲を食べて、空を飛べるようになったら、海に潜れなくなっちゃったんだ…。」
イルカ「それは、可哀想。」
クジラ「どうしたら良いか、わからないんだ。」
イルカ「お腹空いてるなら、お魚食べる?」
クジラ「歯が無いから、お魚食べれないんだ…。」
イルカ「クジラさんは、ヒゲクジラの仲間なんだね。」
クジラ「うん、だから食べるのは、小さい生き物なんだ…。」
イルカ「綿雲を吐き出したら?」
クジラ「飛べなくなるから嫌だな…。」
イルカ「うーん、他の方法か。」
クジラ「何か方法無いかな?」
イルカ「仲間に聞いてみるよ。」
イルカは、仲間に呼び掛けた。
イルカ「皆んな、こっちに集まってくれないか?」
呼び掛けに、暫くすると、返事が返ってきた。
仲間①・仲間②「良いよ。」
仲間④「わかったわ。」
仲間③・仲間⑤「ちょっと、行けないかも。」
イルカ「来れる仲間だけ来て。」
クジラ「来てくれそう?」
イルカ「来てくれるかも。」
クジラとイルカは、仲間が集まるのを待つ事にした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
雨があがった頃、仲間①・仲間②・仲間④がやって来た。
仲間①「どうしたんだい?」
イルカは、クジラの悩みを説明した。
仲間④「綿雲を吐き出すべいよ。」
仲間①「だけど、再び集めるの大変そうだぞ?」
仲間④「飛ぶ事よりも、食べる事の方が大切よ。」
仲間①・仲間④「どっちが、正しい!?」
仲間②「どっちも大切だよ。」
仲間①「絶対、綿雲は、持ってるべきだよな?」
仲間②「そ、そうだよな、大事な物だしな。」
仲間④「命の方が大切よね?」
仲間②「ま、まあ、食べなきゃ死ぬからな。」
クジラ「何か、挟まれてますよ?」
イルカ「くじらさんの事でですけどね。」
仲間②「と、言うか、重くなれば良いのでは?」
仲間①・仲間④「なるほど。」
仲間②が、イルカの元にやって来る。
仲間②「体を重くすればって、結論になりましたよ。」
イルカ「なるほど、確かに重たくなれば、潜れるかもな。」
仲間②「クジラさんの、2つの条件に当てはまるはずだよ。」
イルカ「そうだね、皆んなに、ありがとうと伝えておいて。」
仲間②「わかった。」
仲間②は、仲間①と仲間④の元へ、戻って行った。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
イルカ「クジラさん、良い方法があったよ。」
クジラ「ホント!?」
イルカは頷く。
イルカ「海水を沢山飲めば、重くなって潜れるよ。」
クジラ「おぉ!」
イルカ「だから、試してみてよ。」
クジラは頷く。
クジラ「やってみるよ。」
クジラは、大きな口を開き、海水を飲んでいく。
イルカ「すごいすごい、どんどん吸い込まれていくよ。」
ある程度飲んだ所で、体が海に浸かった。
イルカ「これで、きっと潜れるよ。」
クジラ「うん、イルカさんありがとう。」
イルカ「飛びたい時は、吐き出せばいいよ。」
クジラ「うん。」
イルカ「クジラさん、バイバイ!」
クジラ「またね!」
イルカは、何処かへ去って行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
クジラは、潜ろうとすると、あっさり潜れた。
クジラ「イルカさんのお陰で、ご飯食べられるよ。」
クジラは、大きく口を開き、プランクトンを食べていく。
クジラ「お腹イッパイ食べるぞ。」
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
クジラは、たらふくプランクトンを食べると。
クジラ「お腹もイッパイだし、空を飛ぼう!」
クジラは、体内の海水を、3分の1吐き出すと、体が海面に向かい始めた。
クジラ「行っけー!」
クジラは、どんどん加速し、海を飛び出した。
クジラ「雲まで登れ!」
クジラは、尻尾を振り、雲の高さまでやって来た。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
クジラ「雲だ、雲だ!」
クジラは、空を飛び回り、喜びを爆発させる。
カモメ「クジラさん、夢が叶ったんだね!」
クジラ「そうだよ、カモメさんと飛べるんだよ!」
クジラは、カモメの周りを回る。
カモメ「そうだね、クジラさんが飛べるなんてビックリだよ。」
クジラ「カモメさん、綿雲ありがとう。」
カモメ「いえいえ、今度何処か行こうね。」
クジラ「うん!」
こうして、クジラは夢を叶え、カモメやイルカと楽しく過ごしましたとさ。
※ おしまい ※
読んでいただきありがとうございます。
クジラが、カモメやイルカの力を借り、空を飛ぶ夢を叶えました。
感想や評価を頂けると幸いです。