【第七話】勾玉出てきて、コワいんです。
こんにちは。
投稿です。
「!」
瞬時に反応するロズマリ。
椅子をはねのけ、呼吸を整える。
戦闘態勢、スイッチ入った!?
「サヨ、何を言っているの?」
「だ、誰かが、返事した!私がロズマリ、いるって聞くと、いますよって!」
おおおおお父さん!早く帰ってきてっ!
娘がピンチで危険ですっ!
真っ先に飛び出す、お母さん。
手には包丁。
「だれもいないわよ?聞き違いでしょう?ロズマリがいると思ったから」
「そ、そうかな?」
聞き違い?え?でも何回もお返事してくれたよ?
狭い脱衣所、勿論誰もいない。
狭いながら、見渡してみる。
隠れる所など、どこにもない。
「あ」
「どうしたの!?サヨ」
「なんですの?サヨ!?」
サブバック!
汚れ物と一緒に、洗濯機横に放置されている!
これ確か……。
恐る恐る開けてみる。
うう、怖いよぉ。
中から出てくる泥だらけの銅鏡二枚。
まあ、ビニール袋に入っているけど。
「なにそれ?大きいわね?銅鏡!?」
「葉枷部長にもらったの」
「あら!?あら、あら、あら?プレゼント?銅鏡って言ったら鏡よね?あら、まぁ!今度、家に呼びなさいっ!いいわね?ロズマリもいい?」
「ハイですの!」
お母さん?鏡は鏡でも、銅鏡だよ?
ロズマリも、暢気にお返事しないでよっ!
「お父さん、泣くかしら?サヨに彼氏が!」
「違いますっ!先輩です!」
それもかなりヤバめの!
ホント、陽気だね、お二人さん。
聞き違いだったのかなぁ?
ロズマリがいると思ったから、聞こえた?
いや……でも……。
手元の銅鏡を見つめる。
この銅鏡……ご飯の後に……いや、今すぐ洗った方がいい気がする。
だって、私はお風呂には行ってピカピカ、銅鏡さんは泥だらけ。
……はいそうですね、洗います、すぐに洗います。
「これ、洗ってからご飯食べる。残しておいてね?いい?食べてしまったら駄目だからねっ!?」
「「はいはい」ですの」
返事2回。
あっやしいなぁ!
取敢えず、綺麗なタオルと、たわし?場所は外の水栓、洗い場だね、あとハンドライト!
ここはブラシがいいかな?
あ、歯ブラシとかいいかも!
……歯ブラシは新品がいいよね。
……新品は勿体ないかな?
私の歯ブラシならいいかな?
私がもらった銅鏡二枚だし。
これは私の銅鏡、イコール私が、自由にしていい?
チラリと歯ブラシホルダーに挿してある私の歯ブラシを見る。
コトン。
「!」
歯ブラシが……頭の部分が折れ……た?
……もちろん私の歯ブラシ。
目の前で歯ブラシが!?
……。
お、折るなんて酷い!
怖さよりも怒りが上回った!
物は大事にしないといけないんだからっ!
言いたいことあるなら、言いなさいよ!
これ、父さんやお母さんが働いて、買ってくれた歯ブラシ!
態度で示さなくても、口で言えば分かるわよ!
ギロッ!
いや、ちょっと待て、口で言われたら怖すぎる!
今の訂正!
じゃ、文字か?
文字?鏡とかに浮かび上がるとか?
うひーっ、もっと怖いではないかっ!
取敢えず……何か知らんが、ごめんなさいっ!
そして私は、手元にある銅鏡二枚を睨む。
…………偶然。
そう!偶然よ!折れる歯ブラシなんて初めて見たけど、チビゴリの私が、この凄い握力で、毎日使っていたんだもの!
それで折れたのよう!
と、いいながらも清掃は新品の歯ブラシで、と。
外に出てごしごし。
どうせ、洗うんだったら、ピカピカにしてやろう!
泥を水で流して、タオルで拭いて、この繰り返し。
小さいところは、ブラシで……ここは優しくコショコショ、と。
何回もハンドライトで確認して、一枚目終り!
次、2枚目!水で……コトン。
「?」
なんだ?今の音?
泥の固まり?石が混じっていたのかな?
気になって泥を水で溶かすと?
!?
何か出てきた!?
……変な形の……石?
ハンドライトで確認してみる。
「?」
なんだこれ?教科書で見たことある?
「あ、これ、勾玉だ!」
古代のアクセ!
もう!葉枷部長ったらっ!
素直に渡せばいいものを!
普通、泥の中にプレゼント、隠したりしませんよ?
……脳筋思考中。
あの部長が?私に?今更アクセのプレゼント?
有り得ない!んナこと、するわけない!
あはははっ、笑うしかない!
……そう……これが本物だとしたら、これは副葬品?
いや、よく考えたら、銅鏡自体が副葬品?
では、これ、本物の勾玉!?
どないせーと?
……さて、どうしよう?
取敢えず、洗うか。
詳細は明日、学校で聞こう!
連絡しても、どうせ部長、今夜はライブハウスだ。
ごしごし、よし!綺麗になった!
あ、勾玉は無くさないように、ポケットに、と。
「?」
玄関?
「あ、お帰りなさい!お父さん!」
「おう、ただ今!」
「ん?辺りが?」
白い?これ霧?
「ああ、最近多いな、夜霧だ。車とか注意しないと」
静かに霧が漂い始めていた。
いつの間に?真夏だよ!?
「俺の酢豚、まだある?」
あ、私の酢豚!
「あのね、お父さん、聞いてよ!今日ね……」
家族で一日のお話しをする。
我が家は4人家族、賑やかである。
お母さんは近くのお花屋さんで働いている。
お父さんは道路の矢印を描いているお仕事だ(作者注*路面標示施工技能士です)。
いつもは夜間のお仕事なんだけど、今日はお昼の仕事だったみたい。
お母さんは17才で私を産んで、高校中退、お父さんは16才でパパになった。
え?お父さんの高校?お父さん、中卒だよ。
で、今の私が16才でしょう?
え?結婚?私?私は無理!だいたい、同級生男子が無理。
男子、乱暴だし、声やたらとデカいし、すぐ威張るし、私は静かに燃えている男子が好み。
燃えでも萌えでも可、野心家が好きなのだ!
病院で私を産んだお母さんは、ロズマリと出会う。
そこの病院は、なんでも、助けてほしいお母さんと赤ちゃんを、無記名で助けてくれる病院だそうだ。
ロズマリの本当のお母さんは、ロズマリを抱きしめ、必ず向え来るから、と何度も言って泣いていたそうだ。
そのロズママは、火傷の痕や、お顔や腕に、沢山、怪我をしていたらしく……お母さんはDVだ、ドメスティックバイオレンス、と直感した。
「その子は私がもらう!」
金髪、眉なしの当時のお母さん。
肩に掛けた特服の背中には、摩利支天の金の刺繍。
まあ、よくロズママ、預ける気になったわね?
「え?」
「捨てるなら、私がもらう」
「す、捨てるんじゃないっ!捨てたりしない!」
悲鳴のような、悲痛な叫び声。
「その叫び、信じてやるよ、私は所取さくら、ケーサツに尋ねれば皆知っている、必ず迎えに来いよ?」
「あ、え……で、でも」
「なあに、乳は二つある、立派に育ててやる!」
……さすがお母様。
アルバムの写真、怖くて見れません……。
お父さんの意見は?
まあ、聞いた話によると、娘が二人出来た、と喜んだらしいが……はたして?16の男子がそんなこと言うか? (作者注*言っています)
連続投稿です。
暫しお待ちを。
サブタイトルは 再生回数がヤバいんです。 を用意しています。