【第四話】魔の交差点、ヤバいんです。
こんにちは。
投稿です。
ああ、魔の交差点の黒信号!
そう、この交差点は信号のトラブルが絶えない。
事故が起きた場合、お互い青だった!と言い張るのだ。
そこで付いた名前が黒信号。
そしてこの交差点、変なお話しが沢山ある!
怖いのが二時の五叉路。
午前二時、この交差点、十字路は五叉路になるってお話し!
五叉路の先には昔の処刑場に繋がっているらしい。
変わったところでは、とても背の高いビルを見た、とかお屋敷があるとか、なんとか。
「どけよっ!ごら!」
「じゃまじゃまっ!」
ん、単車の排気音?うるさいなぁ!
素早くロズマリが私の手首を掴み取り、引き寄せる。
「あ」
私は小さな声を上げるだけだ、それしか出来ない!
うう、陸上部短距離の反射神経はどうした!?
凄い速さですり抜けていく自転車群と原付2台。
ここ、歩道なんですけど!
交通整理の警察官、二名立っているが、立っているだけだ!
一瞬、こっちを見たけど、溜息ついて、信号機に目を移した!
何!?あの態度!みんな何処かで見ているよ?
私の視力、2.5!
目には自信、あるんだからっ!
すり抜けた奴等は全部で7台!うち、二台は原付!免許持っているの!?
こいつら、隣のクラスの男子達だ。
クラス合同の体育で見たことある。
あまりいい噂は聞かない、クズセブンだ!
ん?後ろから声が?
背の高い女子3人?
(よくあいつらうちの高校入れたよね?)
あ、女子バスケ部の部長さん?
(親が理事長と、教頭らしいよ?)
(うわっ、最悪!)
(あんなのクラスにいたら、高校生活おわりじゃん!)
(そう!折角の3年間、全て潰されるわ!)
(やめた子、いるそうよ?受験やり直すんだって!)
(うわっマジ最悪!)
「ロ、ロズマリ、あ、ありがとう」
ロズマリに、後ろから抱きしめられている私。
「サヨ、大丈夫?」
コクコク。
ちょっと怖かったけど、大丈夫。
……少し涙目かな?
「手」
ポツリ、と、ごんちゃんが呟く。
「て?なに?」
「左手の甲」
「ごんちゃん?あ!?」
擦り剝いたらしく、薄らと血が滲む。
あ、見たら痛くなってきた。
手の怪我って、痛いんだよね。
ロズマリが、ゆっくりと動き出す。
慌ててロズマリの手を握り返す私。
「ロ、ロズマリ!だ、駄目よ!?」
「……ゆるさん、あいつら、ロズマリのサヨを!」
イヤだから、そのいいかた、いいかた!
誤解を招くって!
「わ、私大丈夫だから!ご、ごんちゃんも駄目だよ!?」
立ち止まる、ごんちゃん。
「ご・め・ん・な・さ・い、は言わないとな?人として駄目だろ?」
ヤバ、ごんちゃん切れてるっ!
「そうだ、ゴン、やめとけ」
そうそう、あんな奴等相手に怪我したら大変!
……いや、私はいいよ、擦り傷だし。
「……だけどよ、部長」
目が怖いって!いつもの優しいごんちゃんに戻って!
大魔神モード、駄目だって!
「いいからやめとけ、俺が行く」
は?
ちちちちっちょっと!部長!
いや、そうじゃなくて!
部長、背が高いから、威圧的に見えて、ヤバいって!
私が止めに動こうとすると、サブバックがその重さを増した。
え?
ええええええ!?
引止めるように重くなったのだ!
明らかに重くなったサブバック。
……え?
手も離れない!
「富田!止まれ!」
次々に止まる原付と自転車、7台。
……部長?
「お前ら、そこ動くな!」
「なんだ?あいつ?」
「2年の葉枷じゃねーか?」
「あ、あの先輩はヤベェ、呼び捨てはだめだ!」
うわぁ、歩道で渋滞?周り迷惑なんですけど?
「今、ぶつかったヤツいるだろ?ここは歩道、しかも逆走だ」
「はあぁ?馬鹿かこいつ?車道走ったらあぶねぇだろーが!?」
「行くぞ!カラオケ、カラオケ!」
「魔だ動くな!」
大きな声で叫ぶ部長。
部長、囲まれたら助けに行きますね、いや、私じゃなくて、ロズマリとごんちゃんが。
はい、私は格闘好きでも、実践向きではありません。
あんなギラギラ、テラテラしたGみたいな男子、気持ち悪くて、怖くて近づけません!
「はあぁ?まだ動くな?命令するんじゃねーよ!」
「富田、お前だけでも動くなよ?」
「……はい、先輩」
「なに言うこと、聞いてんだよ!行くぞ!」
「葉枷先輩の言葉だ!お前ら、動くな!」
「はあぁ?」
「みんな動くな!この先輩はヤベェんだよ!」
「お前、富田、何言って……」
その時、信号無視したトラックが、交差点に侵入してきた!
凄いスピードだ!
ブレーキの軋む音も、白煙も、何も、見えない聞こえない!
居眠り!?
吹飛ぶ軽自動車2台、横転するトラック……。
皆の声は轟音に消される!
……あのまま自転車で進んでいたら?
ボン!と重い音が響き、燃え上がるトラック。
う、運転手は!?
のろのろと動き出す警察官。
その時、私は見てはいけないモノを見た。
信号がみんな、全部黒いのだ!
点滅?煙?違う!
自然となぜか部長を見る。
あ、部長も信号機を見ている。
そして私と目が合う。
かくん、と膝が抜ける私。
ぐっ、とロズマリが私を支える。
「サヨ、ここはなんか怖い!離れよう!ごんちゃん!部長!」
私は引きずられながら、魔の交差点から離れていった。
その時、信号機が私を見た。
明らかに意思を持って私を見た。
部長が私の視線に反応する。
「ジョシュ!何か他のことを考えろ、意識をそらせ!あいつらを見るなっ!」
部長が近寄り怒鳴る!
あまりにお顔が近いので、えっ?と思うと、もう信号機はタダの信号機になっていた。
連続投稿です。
サブタイトルは 【第五話】帰宅中の会話が、ヤバいんです 暫しお待ちを。