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【第三話】こんなの渡されても、ヤバいんです     

2023/08/01 本日の投稿、ここまでです。

 聞いてはいけない!って気がした。


 ん?部室の室温が下がった!?

 いつの間にか、ごんちゃんもロズマリも静かにこっちを見ている。


 張り詰めている?


 ちょっと……いや、かなり怖い?恐怖を感じる?


「聞けないだろ?」


 こくこく×3人


「何かの圧を感じるだろ?」


 こくこく×3人


「でも話す!邪馬台国は範囲が広く、前期、後期みたいなところがあるんだ。元々は九州のそれ程大きくない国なんだけど。で、行った場所は奈良」


「奈良県!?」


「ここは本殿、そして参道が瀬戸内海、大事な鳥居が九州北部、表参道が宮崎で裏参道が熊本、奥の院は鹿児島、この奥の院で日御子さまに会って銅鏡をもらったんだ。話せるのはここまで、これ以上話すと俺でもヤバい」


「九州北部を中心に、表と裏に別れているの?」


 取敢えず質問してみる。


「そう」


 と、部長のお話が終わった瞬間!


 パン、パンッ!


「!!!!!!!!!!!!!」


 声にならない悲鳴!


 ここで爆竹のような、柏手のような音が二回鳴り響いた。


 偶然にしても、見事なタイミングである。


「び、びっくりしたですの!り、陸上部の爆竹ですの?」


「……おい、ロズマリ、陸上部の2人はここにいるぞ?」


「そうですの……ごんちゃん、い、今のなんですの!?」


「く、車のパンクかなぁ?」


「日御子さまか、その眷属だろ?」


 やーめーてーくーだーさーいーいいいいいっ!

 部長!もう黙ってええええっ!


「またまた、ほんと部長、作り話が上手いんだから!」


「そ、そうですの!危うく騙されるところでしたの!きっと何かの練習の音ですの!」


 なんの、どんな練習?ああ、詳しく聞くのが怖いっ!


「あ、今日、生配信が!」


 慌て始める皆。

 もちろん私も!


「んじゃ、みんな、帰るか!」


 こくこく×3人。


 部長の一声に頷く3人。

 片付けをして、部室をロック。


 ここでふと思いついた。


「部長、で、その銅鏡、どうするのですか?」


「あ、これな、二枚ともお前にやるよ」


「……は?」


「やる」


「なんで!?」


「渡すように言われた」


「誰に、言われたのかな?」


「日御子さま」


「!!!!!!!!!」


「どうした?」


 いいいいいいりまっせんっ!こえーです!恐怖です!


 普通、現役JKに銅鏡プレゼントするかぁ!?


 銅鏡って鏡でしょう?

 

 本当に私が映るの!?

 他の人のお顔とか映らない?深夜動いたり、光ったりしない!?それにあっさり卑弥呼さまとか言わないで!私を巻き込まないでえええええええええっ!粗末にしたら祟るよね?


 もう一回、祟るよね?どんなに霊とか信じない人でもビビりまくると思うんですけどおおおおおおおっ!


「いやか?」


 ぽろぽろ。


 涙出てきた。

 断ったら怒られる?その、卑弥呼さまから?

 折角の私のプレゼントを!とか?


 呪われたりする?


 卑弥呼さまって、日本を代表する呪術師だよね?


 私ごときが、もらっていいの?


 さっきのお話しが全て、作り話でも銅鏡なんて怖いです。


 何処かの考古学者か、偉い教授かなんかに渡して下さい。博物館でも可。


「欲しくない?」


 銅鏡欲しがるJK存在するか?


  挿絵(By みてみん)


 ああ、考古学部とかは欲しがるかな?

 でも、うちの高校には無い!


 なら、個人ではどうだ?


 うーん、そうだな……欲しいJKは存在するだろうけど、大半のJKはドン引きしないか?


 もっと喜ぶモノください!


 たとえばドーナツのタダ券とか、ヌイグルミも可。


「国宝級の銅鏡だ、しかも二枚だぞ」


 ますます駄目じゃん!国宝ってなに?正倉院にでもしまってなさいよ!


 なんで私!?


 私何かした?


 いりまっせっん!怖いです!


 しかも泥付き!


 が、ここで不思議なことが起きた。


 私はサブバックのファスナーを開け、銅鏡二枚を受け取ったのだ!


 コンビニのビニール袋に入れて、はい、終了。


 ええええええええええええええええっ!

 な、なんで!?なんで、受け取るの?私!?


 これ、持って帰るの!?


 お手入れは?保存は?


 国宝って?


 ねえ!何処かの秘密機関から狙われたり、怒られたりしない!?


「もらうんだ!」と、ごんちゃん。

「もらいますの!?」と、ロズマリ。


 私と距離をとる二人。


 出来るなら、私も自分と距離をとりたい……。


 そして、夕暮れの街をトコトコと4人で歩く。


 ごんちゃんは駅まで、私と部長は同じ町内なのだ。


 夕日に照らされて、長く伸びる影。


 今日も一日、部室で過ごした……夏休みとは?


 ……気が重い。帰ったら、泥だらけの銅鏡、洗うか?


 綺麗にしないとバチ当たりそうだし。


 ゴシゴシとたわしで洗っていいのか?


「ねえ部長、これ、洗っていいの?」


「そうだね」


「どうやって、洗うの?」


 もう、縋るよう目つきである。


 自分でもわかる。

 財布も持たず、残高10円でコンビニに行った気分だ。


 どうしよう?


 部長!あなたが原因!あなただけが頼りですぅ!


「さあ」


 ……さあ?

 さあ!?

 はああああああああっ!?


 し、知らんのかいあああああいっ!


 ど、どうしよう?動画、あるかな?


 探してみるか?


 で、洗った後、どこに置く?仏壇?神棚?リビングとかに飾っていいの?


 押し入れとか駄目だよね!?


 うう、なんでこんなことにっ!


 ロズマリを見る。


 あ、目ええええそらしたああああっ!


「ロ、ロズマリ!今あんた目ぇ逸らしたでしょう!?」


「ロ、ロズマリ、呪われたくありませんの、自分の身が、一番かわいいですの」


「ひっっど!それでも親友!?」


「一時間前までは親友でしたの」


「……今は?」


「……顔見知りですの」


 くっ……まあ、親友から顔見知りになるくらい、この銅鏡には迫力がある。


 この銅鏡、重いのだ。


 見た目より、断然重い!


「あ、ほら、ぼちぼち魔の交差点ですの!」


 話題を逸らしたなっ!


 でも逸らした先が悪かった。


 リアル魔の交差点。


 月に2、3度必ず事故か発生する交差点だ。


 大きな事故もあり、いつも警察官が起立して交通整理をしている、ヤバい場所だ。


 今日もほら、お巡りさん、2人も立っている。


「なんかヤナ予感、河川敷通ろうぜ」


 そう言ったのはごんちゃん。


「え?ごんちゃん、いいの?駅、遠回りだよ?」


 ごんちゃん、変なこと言い出した!部長の悪影響?


「後輩ゴン、言い判断だ」


 そう言うのは我が部長。


 何がいい判断なのかな?


 帰り、遅れない?


「帰りは遅れるかも知れないが、怪我はしなくて済む」


 またまた、この部長は!


 ん……部長、何かを見ている?


 信号機?

次回投稿は 2023/08/02 16時から17時の予定です。

サブタイトルは 魔の交差点がヤバいんです となっております。

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