【第一話】 陸上部部長は、ヤバいんです。
こんにちは。
見つけていただき、ありがとうございます。
短編の予定でしたが、連載になりました。
よろしかったら、お楽しみください。
お話しは、十三話構成になっています。
毎日、二話から三話の投稿になると思います。
この物語はフィクションです。実在の人物や団体などは関係ありません。
部活の部長がヤバい。
リュックサックの中から出てきた銅鏡二枚。
泥だらけで、掘り起こした感が凄い。
どう見てもレプリカには見えない。
どうも、邪馬台国を見つけたらしい。
蝉の鳴き声が響き渡る夏休みの午後。
しかしこれ、見せてもらっても、それが本物か偽物か私には分からない。
ただ、本物っぽくみえるんだけどなぁ。
まあ、なんせ私は陸上部。
自慢じゃないが脳筋です。
二人だけの陸上部、部としての存続は?
いやいやそれより邪馬台国!
何でも、この銅鏡、邪馬台国の場所を内緒にしておくとの約束で、卑弥呼さんの霊にもらったそうだ。
そう、部長は異能者、それもかなりハイレベル。
ね、うちの部長、ヤバいでしょう?
これがどんなに凄いことか、さすがの脳筋の私にでも……分からん!
取敢えず自己紹介、所取小夜子(ところどりさよこ、と読みますジョシュではありませんよ)。
大門大第一高等学校の一年生、16才女子。
趣味、走ること、筋トレ、実はレスリング、格闘も好き。
得意は短距離走!
身長158㎝、体重54㎏……え?体重の公表、ヤバくないって?
でも体重の管理は大事だよ?
まあ……ちょっと恥ずかしいから、ここだけの話にしといてね。
ちなみに部長は男子、うちの陸上部は男女合同で部員2名なのだ。
部長は葉枷大鉄(はがだいてつ、はかせではありませんよ)、一年上の先輩で、身長182㎝、体重59㎏の細身だ。
長距離大好きの、ベーシスト……変わり者だ。
私がグランドで柔軟をしていると、逆立ちして私の周りを歩き始めた。
まあ、逆立ちして歩くとは、表現がおかしい気もするが、グルグルと回り始めた。
「部長、何しているのですか?」
「逆立ちだ」
……まあ、そうですけど……。
「……お臍見えていますよ?」
綺麗な腹筋、ほどよく割れている。
ふん!私だって!
部長は頬を染め、一言。
「えっち!」
部長、余裕ですね?
「しまって下さい!セクハラです!」
「……別に見せているわけではないのだが、視線そらせよ」
会話を変えるか。
「どうやって見つけたのです?邪馬台国」
「場所は教えないぞ、日御子さまとの約束だし」
「いや、私が知っても、意味無いです」
ぐるぐる。
走り出した!?
逆立ちで!?
凄い体力だな?
真夏の太陽がギラギラしているのに?
一応、ここは日陰だけど。
それでも汗、吹き出しませんか?
まあ、私も汗が凄いので、あまり皆さんには、近づいてほしくない。
はい、さすがに私でも、汗の臭いは気になりますデス。
ただ、汗を流すのは好きである。
「図書館の魏志倭人伝を読み解いた」
「え?でも、簡単に読み解けるモノなのですか?」
「俺は、解いた」
「ふーん」
まあ私はこの程度の興味しかない。
私の態度にカチンときたのか、お話しを始めた。
「魏志倭人伝にはかなり正確に距離と時間、通過する国の名前が記載されているんだ」
「ふーん」
足の筋肉、もう少し欲しいけど、付きすぎるとスタイルが……私、比較的小さいし、筋肉付くと重くなるし……うーん、でも記録は欲しい!できれば身長も!
「行程はまず、狗邪韓国から、対馬国、これは長崎県の対馬だね、一大国これは壱岐、末蘆国、伊都国、奴国、不弥国、投馬国、邪馬台国とある」
腹筋は部長に劣らず、割れているが、これって女の子的にいいのか?
可愛い女子に見えるだろうか?
可愛いは正義!可愛いは無敵だ!
陰で男子共にチビゴリとか言われているし。
酷くない?チビのゴリラ。
ふん、その内、チビゴリのパワー見せつけてやるよ!
「ん?え?地名、みんな載っているのですか?」
「載っている。伊都国とかは福岡県の糸島群付近とか糸島付近とか言われている。末蘆国は呼子、唐津あたりでは?とか」
「じゃ、地名を辿ったら、そのまま着きませんか?邪馬台国!」
「地名どころか、距離が記載されている」
「ええっ!?」
「なんと方角も!」
「そ、そこまで記載されていて、なんで見つからないのですか?」
「……興味ある?」
「うっ」
ぷいっ、と私はよそを向き、柔軟を続ける。
「高千穂、と言ったらどーこだ?」
「えっと……宮崎県、でしたっけ?」
私は地理に疎い。都道府県、かなり怪しい。
「そう、でも、もう一つある」
「えええっ!?高千穂って二つあるんですか?またまた嘘でしょう?」
「同じ九州の鹿児島県に、高千穂って地名がある」
あ、鹿児島は知っている、桜島だ!
「大事なものは二つ以上示してある」
「?」
「不思議だよね、神社やお寺では本殿と奥の院がある、昔は神社とお寺は分離していなかった」
本殿?奥の院?一般用と専門用ってところかな?
「要は二つあると、これが言いたい?」
「そ」
「……もしかしてその邪馬台国も二つあるとか?」
「大和大国だよ、その二つを見つけたんだけど、日御子さまが出てきて、これ、銅鏡あげるから内緒にしてって言うんだ」
ふんふん。
私は腕立てをしながら聞き流す。
「で、ヒントだけでも公表していい?って交渉すると、日御子さま、それは面白いですね、っていってヒントの公表は承諾してもらったんだ」
「ふーん」
柔軟、柔軟。
「おい、聞いているか?」
開脚うううううっ、と。
ぺたぁっ!っと。
「聞いていますよぉ」
「興味、ない?」
「ない」
「……」
うわぁ部長、泣きそうなお顔だよ、困ったな。
「……部室で聞きます」
ぱああああっと明るいお顔になる部長。
……何か危険を感じる。
私は柔軟をやめ、更衣室に向った。
シャワーで汗を流し、髪を完璧に乾かす。
髪、完璧に乾かさないと、即、謹慎3日である。
うちの高校、校則緩いのか厳しいのか、よーわからん!
口紅、ピアスは派手でなければ基本OKだし、眉ソリも問題なし。
髪染めは駄目だが、ミディアムパーマはギリOK。
でも濡れた髪は駄目!
なんで?
私は汚れたジャージや下着をパックして、バックに詰め込むと、部室を目指した。
部室にはいつものように居候のごんちゃんとロズマリがいた。
ごんちゃんは黒岩艮、何でも、午前3時、うしとらに生れたからこの名前らしい。
眉毛が太く、岩みたいなガッシリした体格の同級生男子だ。
身長168㎝体重80㎏、腕相撲がとんでもなく強い、アニメ大好き男子だ。
柔道部なのだが、なぜかサボって陸上部の部室で勉強している。
夏休み!他に行くところないの!?
ロズマリは万年麗香名前がローズマリーなのだ。
ローズマリーの和名は万年香、そこからついた呼び名だ。
ロズマリは私と一緒に住んでいる、フリル好きの可愛い女の子。
だがその実体は、小学、中学、全国制覇の空手少女!
でも、高校はどういうわけか、美術部である。
ロズマリも部活が終わると(サボるとも言う)我が部室で、宿題やらデッサンやら、苦手な英語の勉強だったりをしている。
みんな!夏休みだよ!?
他に行くところ……ねえ?
何しているの?他にお友達いないの?
まあここは、確かに冷暖房キッチン完備だけど。
「ロズマリ、海外行く予定ないから、英語の勉強、免除して欲しいですの!」
うんうん……そうだね、私も行く予定無いけどね。
「AIが直訳してくれるし、勉強する意味あるか?それよりも、俺、物理得意だからこっちを伸ばしたい!」
うんうん……そうだね、ごんちゃん。
ここ、陸上部、部室だよ?
まあ、いいけどさ。
先輩男子と二人きりじゃ、変な噂が立ちかねんし、この二人、以外と役に立つ。
でも、この二人、いようが、いまいが、部長はいつも部室の扉、全開にする人なんだよね。
この気遣い、ホントに部長は高校生かしら?
しかし、扉を開けるのはいいけど、クーラーガンガンだよ?いいの?
連続投稿です、しばしお待ちください。
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よろしかったらこちらもご一読ください、ちょっと長いですけど。