愛を求めるが故の哀(あい)
「君が居るだけで世界は汚れる
よって君は虐げられるのが正しき理」
わたしが常日告げらるる酷な御伽
夕暮れと唯一滴の雨がわたしの空を占領する
雨水が枯れて私と共に夜を迎える
そんな非常など他所は見向きもせず過ぎてゆく
「誰が為にも私が此処に居る訳で無し」
わたしの哀劇などには眼も呆れ
泣崩の果て彩覚を欠く
何時わたしが哀を数えても
私は何を問う迄もなく声発する
「唯私に時を預けて永く休め」
わたしが空床に着き
私が静かに封滅を偽る
四半時を駆けて瞼を開けば
其処は哀の沼
「之程星亡き処が現世とは
皆を愛の泉に迎えなくては」
非人の力に現世は為す術なく
哀の沼は愛の泉へ変景する
現世が如何様か、様を知る者其処に居らず