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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
六章 ゲンシュタット帝国
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【94】副社長任命




 エヴァンスはもう1つミカンを袋から取り出して、皮を剥いているとカモミールは


「何か北から嫌な風が吹いているの。エヴァンスちゃん、あなたは素敵な運命を持っているわね。この歳になるとわかるのよ。」


「俺に出来る事はなんですか? 」


「たーくさん有るわよ。でもねあなたは私が思っているよりも素敵な運命を持っている気がするの。楽しんでね。」


そう言ってエヴァンスの手からミカンを取り房から外してひと粒口に入れた。エヴァンスは


「俺からミーガンを取り上げる程元気になりましたね。カモミール様、俺はもっともっと自由に楽しくやります。貴女がもっと元気になるぐらい。」


そう言って立ち上りお辞儀をするとカモミールの部屋を出た。表に立っていたダージリンへ


「ダージリン様は軍人だけど、戦争は好きですかい? 」


「好きなものか。已む無く戦うのだ。」


「そうか、なら俺の仕事だな。」


そう言ってポケットから緑色の石を取り出してダージリンへ渡し


「これはストラディアアイランドって島で手に入れた薬石と言って粉にして飲ませると病気が治るそうだ。」


エヴァンスはドルトリア城を出て自宅へと帰った。そして一人で色々と考えていると誰かがドアを叩く音がした。エヴァンスはドアを開けるとそこにはスペーディー達が立っていた。エヴァンスはスペーディー達を家の中へ入れるとテーブルにカップを並べて紅茶を注いだ。


 エヴァンスはベッドに座り、四人をテーブル席へ座らせると


「早目の帰国に、真っ先に俺の所って事は良い話しじゃないな。」


そう言ってスペーディーに問うと


「どうもゲンシュタットは大きい戦争の準備をしてるみたいで、兵士の募集を大々的にやってたんですよ。しかも軍隊や軍備が集まっているがドルトリアの隣、ワルシュク領なんですよ。」


「あー。協定破りなんて軍事国家の常套句だな。」


「小国のドルトリアじゃ一溜まりもないですよ。」


「そうだな。普通なら慌てるんだろうけど、うちはあれだ最強の戦士ワルキュリアが居るもんだからさ。その一手で武力制圧出来ちまうんだよ。」


「儲け時とかそんなんも無いんですか? 」


「無いなぁ。あんまり戦争を商売にしたくないんだよ。俺、人が死ぬのとか嫌いだし。」


エヴァンスとスペーディーの会話の横で、ハートゥが不思議な顔をして


「エヴァンスさんって本当に変わっていますね。最強の武力を持っているのに戦わない。お金は持っているのに着飾らない。変わっていますよ。ひょっとしたら三変人よりも変人なんじゃないですか? 」


「俺は面白い事がやりたいだけだからな。」


エヴァンスはベッドに寝転がり天井を見ながら欠伸をして


「なあ? ゲンシュタットってのはそんなにおっかない国か? 」


スペーディー達は少し考えて、少し間を置き激しく頷いた。するとエヴァンスはニヤリと笑い隠し棚から金貨を取り出し


「俺は今からこの戦争を止めるけど、お前達も来るか? 来ないなら安全な国を探索しててくれ。」


スペーディーは仲間達を見渡すと首を横に振り、クラビィも首を横に振ったが、何故かハートゥとダイヤンは


「俺で」「私で」

「良かったら。」


エヴァンスと共にゲンシュタット帝国へ行くことを宣言した。エヴァンスは


「じゃあお前達だけ来いよ。スペーディーとクラビィは引き続き南の大陸を調査してくれ。」


そう言って金貨を二枚渡して家を出た。そしてハートゥとダイヤンは慌てて追い掛け出ていった。エヴァンスは金庫屋へ行きローバインへ


「ちょっとゲンシュタット行ってくるから、後の業務は任せたぞ。」


そう伝えると、ローバインは真っ直ぐに立ち、最近おとなしくしていたエヴァンスがそろそろ出ていくだろうと予想していたらしく


「了解致しました。お任せください。お帰りの際にはまた宴会と行きましょう。」


浅くお辞儀をしてニッコリと笑顔を見せた。エヴァンスは笑顔で紙とペンを取り


『ここにローバイン=ハンネスを副社長に任命する。ウォーレン=エヴァンス』


そうサインをして拇印を押すとエヴァンスは翻り、手を振り旅立った。





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