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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
五章 三変人
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【90】とりあえず宴




 ストラディアヘルバードを3匹も退治したエヴァンス達にストーンズの町の住民は歓声を挙げて集まった。ポポロはゆっくりと手綱を引きモンパカ車をトコトコ走らせ、荷台からエヴァンスはスパイダーを見付けると手招きして荷台へと乗せた。


 ワルキュリアは最近リシュタインと共に政務を手伝うために、観衆への対応に慣れてきて微笑みながらゆっくりと手を振っていた。ブラックは魔力を使いきり動けずに荷台の縁に身を乗せて死にそうな顔で民衆を見ている。エヴァンスはポポロへ


「とりあえず石神の神殿へ向かってくれ。」


そう言うと荷台の鞄からウィスキー瓶を取り出してグビグビと飲み始め


「やっぱり勝利の美酒は最高だな。」


と微酔いで悦に入って笑った。エヴァンスはもう一口飲むと瓶をブラックへ投げ


「お前のお陰で俺達は勝ったんだ。それを飲んでもっと喜べ。」


ブラックはその台詞に笑顔を見せてウィスキーを一口飲んでエヴァンスへ戻した。そしてエヴァンスも一口飲み笑顔を見せた。そうしているうちにモンパカ車は石神の神殿へと辿り着いた。


 石神の神殿へ辿り着くと舞台でクレアスティ姫がエヴァンス達を待っていた。そしてあれほどエヴァンス達を笑っていたストーンズ兵達も頭を垂れて神妙な顔をして受け入れた。エヴァンスは


「辛気臭えな。」


そう呟いて荷台から降りると、お辞儀をして舞台へと上がると兵士達の方を見て


「お前等、長年願っていたストラディアヘルバード討伐が叶ったんだぞ! 辛気臭え顔をしてんじゃねえ! 喜べ! 楽しめ! これからこの町の人間みんなで宴をするぞ! 」


そう叫び隣のクレアスティ姫は少し気不味い顔をして


「あ、あのこの町はわたくしの町でしてえ...... あのー、祝宴などはわたくしのほうで...... 。」


「ああそうなの? とりあえずお前は石を買う許可をくれ。なあもう良いだろ宴会やろうぜ。」


「えーっと...... 一応神聖な儀式的な...... 。」


「いいよそんなの。ほらお前も飲んで楽しもうぜ。」


そう言ってクレアスティにエヴァンスはウィスキー瓶を蓋を開けて渡して、瓶を口元でクイッとする仕草を見せるとクレアスティもとりあえず真似をしてウィスキーを一口飲むと顔が一気に赤く染まった。エヴァンスはそんな事も気にせずに


「よっしゃ! 宴だ! 」


と拳を突き上げた。それに慣れているワルキュリアとポポロも拳を突き上げ


「宴だー! 」


と叫ぶと、酔っ払ったクレアスティ姫も気分が盛り上がり


「いぇーい! 」


と手を振ったので、兵士達や民衆も流れで拳を挙げて


「おーーーっ!!! 」


声を合わせて歓声を挙げた。エヴァンスはそれを見ると満足そうな顔をして懐からもう一本ウィスキー瓶を取り出して飲み始めた。ポポロとワルキュリアは呆れた顔を見合わせて笑い、ストーンズの町は宴の準備を始めた。


 市場の人間達は店の食料や酒を持ち寄り、兵士達や民衆も神殿の前へ沢山の食べ物や飲み物を集めて宴会の準備が整い、酔っ払ったクレアスティ姫とエヴァンスがウィスキー瓶で乾杯をすると皆が乾杯を始め飲み始めた。


 スパイダーとブラックもストラディアヘルバード誘導の成功を称え合い乾杯して飲み始め、モンパカ車を預けて来たポポロとワルキュリアもいつもの如く飲み始めた。兵士達もワルキュリアの存在に気付くと珍しいもの見たさにひっきりなしに乾杯を求められ、気付けば町中が賑やかに盛り上がった。エヴァンスはその姿を実に楽しそうに酒を飲むと大笑いした。


 クレアスティも気分良く酒を飲み、踊り始めると兵士達や民衆は拍手を送った。何故かそれにエヴァンスは嫉妬して衣服を全部脱いで舞台へと上り、クレアスティは踊りを邪魔されて怒りエヴァンスの頬っぺたをつねった。エヴァンスも両手でクレアスティの頬をムギューと押さえて笑い、周りの人達に引き離された。そんなこんなで人々は飲み続けて時間を忘れて朝まで楽しんだ。






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