【88】フラアイラとリーゲイル
炎と戦いの女神フラアイラは普通の人間のサイズで、リヴァイアサンのリーゲイルも大きいが10メートル程度の水龍であったため、上空から見ていたエヴァンスは少し心細さを感じた。しかしブラックは不適な笑みを浮かべていたので、あの2体が普通の召喚獣ではない事を感じた。
フラアイラは赤い下着の様な服装で長い黒髪で大きな槍を持っていた。フラアイラは槍を構えてストラディアヘルバードへと向かって行った。巨大なストラディアヘルバードに対してフラアイラは普通の人間の大きさであり、豆粒が鯨に向かっている様であった。そこへリーゲイルが『水龍の加護』を唱えてフラアイラと自分の守備力を高めて状態異状防御を行ない、ストラディアヘルバードが羽を飛ばしてフラアイラを攻撃したが、フラアイラはそれを弾き飛ばした。
そしてフラアイラは槍をストラディアヘルバードへと向けて『太陽の粛槍』と唱えた。するとフラアイラの周りに太陽の様な炎が上り、その炎が槍先へと集まりまるで小さい太陽の様に輝きフラアイラはそれをストラディアヘルバードへと放った。
その光の槍は小さくはあるがストラディアヘルバードの硬い羽を貫き、その炎が一気に身体へと燃え広がりストラディアヘルバードは火だるまになった。一見勝負有ったかに見えたがストラディアヘルバードは地面を転がり炎を消すと口から超音波を発してフラアイラをブラックの元まで吹き飛ばした。そして怒り狂ったストラディアヘルバードは更にフラアイラへ襲い掛かるとリーゲイルが魔力を高め『星を洗う洪水』を唱えた。
するとリーゲイルの周りに水の竜巻が複数の起こり、そこから激しい洪水がストラディアヘルバードを襲いそのまま流して行った。しかしストラディアヘルバードは洪水に流されながらも体勢を立て直し、上空へと逃げて今度はリーゲイルへ向かって鋭い嘴で襲い掛かった。しかしそこへ上空からエヴァンスが爆弾を大量に落として攻撃した。それでもストラディアヘルバードはリーゲイルへ向かって進むと、リーゲイルは高水圧の舞踏会を唱え高水圧の光線が無数に拡散してストラディアヘルバードの身体を貫いた。
普通の生き物であればとっくに命を落としている攻撃であったが、何せストラディアヘルバードは1キロメートルと言う巨体であったために僅かな傷を負った程度であった。フラアイラは槍を空に掲げて『太陽の断罪』を唱え、巨大な炎の柱を起こしてそれをストラディアヘルバードへと叩き付けた。普通ならば両断されるがストラディアヘルバードは硬い羽とその巨体で攻撃を耐えた。
それからフラアイラとリーゲイルは幾度と無く攻撃を繰り出すが、決定打とはならずにフラアイラとリーゲイルの魔力は切れてしまった。それでもストラディアヘルバードは襲い掛かって来たのでブラックはフラアイラとリーゲイルを戻した。ストラディアヘルバードは2体が消えたのでブラックへ目を向けて攻撃しようとした。ブラックは魔法陣を起こしたがストラディアヘルバードの攻撃に間に合いそうもなくエヴァンスはシルバードラゴンでブラックを助けようとしたが間に合わない。
しかしストラディアヘルバードは突然口の中から煙を出して苦しみ出した。そしてその隙にエヴァンスはブラックの手を掴みシルバードラゴンの背に乗せた。そしてエヴァンスは
「やっと兵士達から盗んだ魔石の砲弾が効きやがった。朝の砲撃で外れた砲弾を拾って回って肉人形の中に仕組んでたんだよ。」
そう言ってブラックへガッツポーズを見せた。砲弾の中には毒魔法も仕込まれていたらしく、ストラディアヘルバードは泡を吹いてもがき苦しみ、暴れはしたが次第に弱っていきそのまま動かなくなった。エヴァンスはそれを確認すると地上へ降りてブラックとハイタッチを交わした。




